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【ノルマンディー上陸作戦70周年記念(2)】 6月6日Dデイに向けて・・・連合軍側の事前準備・編成(戦闘序列)と攻撃目標編 〈3JKI07〉

オーバーロード39e5bcfa662946eef40e3ae0409c0a464前回は、『オーバーロード』作戦全体の概要を紹介したが、今回は事前の準備のあらましと『ネプチューン』作戦参加の連合軍の編成/戦闘序列や、各々の部隊の攻撃目標などを説明する。

この段階の作戦行動の中心は、情報戦も含めた各種準備活動であり、特に補給や兵站の整備と航空戦であった・・・。

 

1943年に入り、『ネプチューン』作戦の細かな戦術立案が進められていたが、この時に役立ったのが、1942年8月に実施されたディエップ(Dieppe)上陸/『ジュビリー』作戦の戦訓であった。

これは、フランスのディエップ(ル・アーヴルとブーローニュの中間あたりにある港町)にカナダ軍第2歩兵師団基幹の約5,000名と米英(一部フランス)のコマンドやレンジャー部隊500名以上の兵力が奇襲上陸をかけたものであった。

しかし結果としては参加部隊の多くを失い(カナダ軍の生還率は45%以下、英海軍も含む他の部隊でも約930名の戦死傷者を出す)、ほとんどの作戦目的を達成できずに、瞬く間に撤退を余儀なくされるという大失敗に終わった。

連合軍はこの犠牲の多かった作戦の失敗原因を徹底的に調査・分析し、特殊兵器の開発や運用方法の改善、海峡越えの進攻作戦や上陸時の戦術ノウハウの習得など、各種の研究に努力し、2年後のノルマンディー上陸作戦の礎石としたのだ。
最初の課題は、事前の準備砲撃についてであった。上陸に先立って実施する艦砲射撃や空爆の重要性が改めて認識されたのである。敵の沿岸防御陣地や砲台を砲爆撃で破壊もしくは無力化しなければ、上陸第一陣の部隊が海岸で粉砕されるか身動きが出来なくなることは、ディエップ上陸作戦の結果、明白となっていた。

海岸から遠い地域への艦砲射撃は、戦艦や重巡洋艦などの大口径の主砲が担当したが、駆逐艦などとともに上陸部隊への直協支援を実施する喫水の浅い小型の砲艇が多数建造された。これには小口径の砲や迫撃砲、多連装のロケット砲が搭載され、上陸部隊にとって一番脆弱なタイミングである上陸直後の浜辺にいる間に、間断ない砲撃により敵の海岸防御陣地を破壊・制圧するものであった。

次いで、上陸直後の海岸地帯でも、戦車や特殊車両による支援が重要だということが認識された。特に熾烈な敵の銃砲撃の最中での工兵作業の遂行には是非とも必要であり、この為、連合軍(主に英軍)は上陸に備えて特殊装備や車両を数多く開発した。

中でもパーシー・ホーバート(Percy Hobart)少将指揮下のイギリス第79機甲師団所属の特殊車両は、その異形の姿から「ホバーズ・ファニーズ(Hobart’s Funnies)」とか「ザ・ズー」と呼ばれた。

同師団が開発し装備した車両群は、キャンバスの浮袋をつけた水陸両用戦車のシャーマンD.D. (Duplex Drive)や、工兵隊の援護・支援のための多くの車両たちとして、敵の拠点や障害物を爆砕するための臼砲搭載工兵戦車のチャーチルAVRE (Armoured Vehicle Royal Engineers)、架橋戦車のチャーチルARK (Armoured Ramp Carrier)、地雷除去戦車シャーマン・クラブや火炎放射器搭載戦車チャーチル・クロコダイルなどがあり、シャーマンD.D.を除き、主に英軍上陸地点で大活躍した。

そして作戦面では、強力な拠点は側面攻撃か迂回包囲すべきであることや、防御が強化された街区や港湾地区は直接の上陸地点からは外すべきだということ。臨機応変で適宜な判断を下すためには上陸作戦が行われている海岸地帯の至近距離まで上級指揮官を乗せた艦艇が近づかねばならないことなどが決定されたが、そしてこれは、みなディエップの敗戦から得た教訓であった。

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One thought on “【ノルマンディー上陸作戦70周年記念(2)】 6月6日Dデイに向けて・・・連合軍側の事前準備・編成(戦闘序列)と攻撃目標編 〈3JKI07〉”

  1. 諸子 百家 says:

    順之介さん、大作の連載、お疲れ様です。まだまだ先は長いでしょうが、頑張ってください。

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