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龍の創造 -前篇- (東洋/中国における龍の成立の背景と過程) 〈2354JKI11〉

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海北友松 「雲龍図(一部)」  京都 建仁寺 所蔵

十二支の中でも龍(辰)だけが実在しない生物です。なぜ龍という伝説上の生物が唯一、十二支に採用されたのかは未だに不明であり定説がありません。

かつて十二支が定まる頃は、龍は実在の生物と信じられており、後に伝説化したのだとする説もあるのです。

そんな龍の成立の背景(バックグラウンド)と過程(プロセス)を改めて調べてみました・・・。

 

龍の創造

龍は、中国で生まれた想像上の生物であり動物ですが、太古の昔に激しい風雨の中で発生する雷・稲妻を見た人々が、自然現象への興味や関心を持つと共に恐れや敬いを抱き、そこから龍という動物を創造し、水や風、雷の支配者・自然神として(死者の霊魂を天界に運ぶ役割を担ったともされ)祀られ崇拝されてきたのだろうと考えられています。

「龍」や「竜」という文字は、既に紀元前17世紀~11世紀頃の殷(商)王朝の甲骨文や、次代の周王朝に鋳造された青銅器の金石文(『龍在故宮』など)にも見られるといいます。

そして古くは、紀元前7世紀頃の「管子(かんし)」に龍の様子(大小や変化は自由自在、どこにでも飛行可能など)が記されています。その後、中国における龍の形態は、時代による変遷があるにせよ、既に紀元前5世紀頃には現在の我々が龍だと認識できるものになっていた様です。

また紀元前2世紀末の「淮南子(えなんじ)」では、龍には飛龍・応龍・蛟龍・先龍がおり、これらからそれぞれ鳥類・獣類・魚類・甲殻類が生まれたと説いています。

その容姿については、紀元後2世紀、後漢の王府(おうふ)の「九似(きゅうじ)説」(後年、宋の羅願曾が自らの「三停説」と合わせて紹介)が特に有名です。

この九似の内容は、鹿の角を持ち、頭は駱駝、目は鬼に似て、項(うなじ)は蛇、腹は蜃(みずち)、鱗は魚、爪は鷹、掌は虎、耳は牛に似ているとされました。また「九似説」は、実在の揚子江鰐(ヨウスコウワニ)などの外観が影響しているとも考えられています。

因みに「三停説」は、龍のプロポーションについての解説で、首から腕の付け根、腕の付け根から腰、腰から尾までの三つの部分の長さがそれぞれ等しいことを意味しています。また「九似説」にはありませんが、漢以前の龍の絵には翼を描かれているものも多くあります。

時代が下ると、龍は、口辺には長髯をたくわえ、喉下には一尺四方の逆鱗があり、顎下に宝珠を持っているとされました。

どうも蛇を基本に、様々な動物のパーツを組み合せて理想的な複合動物を創造したようなのです。

その生態は、普段は水中か地中に棲むとされており、その啼き声は雷雲や嵐を呼び、自身は竜巻のような姿で自在に天空を飛翔するとされています。また秋には淵の中に潜み、春になると天に昇るともいいます。

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