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【日本の兵器歴史】勝敗を決したのは銃だったのか?〈1549/3TFU29〉

BakufuTroopsToEzoこの正月も、テレビでは歴史ドラマが多かった。紀行番組や特集番組でも歴史、特に戦国と戊辰戦争は根強い。群雄割拠する戦国と違い、幕府軍と新政府軍の戦いである戊辰戦争。雌雄を決したものは時の勢いだけなのか。そこに私は火器、特に銃に興味を持った。

 

TobaEncounter

戊辰戦争絵図

 

戊辰戦争は白兵戦ではなく、銃撃戦であった。銃の性能が勝敗を決したと言っても過言ではないだろう。たとえば、慶応四年、戊辰戦争の緒戦ともなった鳥羽伏見の戦いでは、5000名の薩長連合軍が、25,000名の幕府軍を破っている。この時、両軍が使用した銃をみても連合軍は最新式の銃を使い、ひと世代前の銃を持つ幕府軍を撃破している。幕末、日本には実に60種類を超える銃が輸入され、さながら銃の見本市のようであった。当時の世界に存在する銃は、すべて日本にそろっていたと言われるほどだ。その中で、幕府軍の主力はドイツのゲベール銃。当時、西洋では時代遅れだった銃を幕府はおしつけられてしまった。弾薬は先込め式(鉄砲の銃口から弾薬をこめる)で弾薬は丸い球、発火装置はフリント・ロックといわれる火打石式。弾薬は遠くまで飛ばず、命中率もひどく悪かったようだ。事実、照準もついていなかったという。なにしろナポレオンの頃の銃だ。軍楽隊の音楽に合わせて、四方八方に打ちまくり、敵を追っ払うように威嚇のために使われていたような銃なのである。一方、薩長はじめとする新政府軍はフランスのミニエー銃。性能はゲベール銃を大幅に上回った。元込め式(手元で弾薬を込める)と先込め式と両方あったらしいが、弾薬は椎の実型、命中率も飛距離もかなり向上した。鳥羽伏見、会津をはじめとする東北各地での戦闘で、銃撃戦になると圧倒的に差が付いてしまうのも当然であろう。ただ、反政府側にあって越後の長岡藩だけは、多数このミニエー銃を所有していた。実際、北越戦争においても、長州軍を主力とする新政府軍と互角の銃撃戦を見せている。(榎峠、朝日山攻防戦など、数の上では勝っている山県有朋率いる新政府軍が敗走している)さらに高性能なものは、新政府軍の使用していたスペンサー銃。

スペンサー銃

世界初の7連発銃。この銃も、五稜郭で最後まで新政府軍に抵抗した榎本武揚率いる脱走軍が、しっかりと装備していた。最後の戊辰戦争と言われる北海道で、新政府と互角に戦ったのも、銃の性能ではなかろうか。他にもフランスのシャスポー銃、イギリスのスナイドル銃、エンフィールド銃、ウィンチェスター銃など。輸入された数は70万挺と言われているが、廃藩置県の後、諸藩は銃器を政府に返還したが、その数18万挺に及んだという。

さらに、「最後の国内戦争」と呼ぶべき、西南戦争でもその差が出てくる。まあ、この戦いでは銃の性能というより、弾薬が尽きて勝敗を決したのであるが・・・。それはさておき、西郷隆盛率いる薩軍も政府軍もエンピール(ミニエー銃の改良型)が主力であったようだ。発射速度は1分間に2発程度だったという。続くスナイドル銃はエンピール銃を元込め式に改良したものだ。こちらは主に官軍側が多く保有していた。seinann発射速度も1分間に5~6発。この火力を双方が消耗しながら戦ったのが、「田原坂の戦い」だ。この戦いは、豪雨の中で狭い山道の塹壕に隠れるように撃つ薩軍と、その隘路をぬけようとする官軍の激戦だ。この戦いで、薩軍は先込め式のエンピールを主に用いていたようだ。雨に弱いが、当時の水準では大量に弾薬が撃てるのは先込めのほうであったらしい。官軍はスナイドルを主力に戦ったようだが、とにかくこの戦いでの官軍の弾薬消費量がすさまじい。1日平均32万発。多い日は60万発にも上った。日露戦争の旅順攻撃の倍だ。当時の政府の弾丸製造能力は1日12万発というから、外国からの輸入でなんとかしのいだという。薩軍はもっと悲惨で、鍋や釜を溶かして手作りしたり、付近の農民を雇って官軍の弾薬を拾わせたりしたという。それでも、銃の性能と気合で互角の戦いを繰り広げたのだろう。heisiその後は、数の上で勝る官軍が抜刀隊の突撃を中心に、勝利に終わるが、弾薬飛び交う銃撃戦だったのだ。世界各地の銃の性能比較は、この戦いで幕を閉じた。ちなみに、このあと日本軍は洋式銃を廃止し、薩摩藩士だった村田経芳の開発した「村田銃」で統一されることになる。村田銃はフランスのシャスポー銃をベースに、各種様式銃の良いところを取り合わせた国産銃であった。

 

参考までに弾薬消費量は、近代の戦闘の記録でも増え続けている。一人の敵を倒すのに使用する弾薬は、アメリカ軍の記録によれば、第一次世界大戦で7000発。第二次世界大戦では25,000発。ベトナム戦争では30万発と言われている。こうなるともはや、銃の性能云々ではないかもしれないな。

 

 

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