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【懐かしの時代劇】 鬼平犯科帳 (中村吉右衛門版) 〈22JKI28〉

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昨年末(2016年12月2日・3日)、中村吉右衛門主演のテレビ時代劇『鬼平犯科帳』シリーズが遂にファイナルを迎えた。

2000年代半ばに入ってからは年に一度のスペシャル(特番)での放映が続けられてきたが、原作者である作家の故・池波正太郎との約束でテレビ脚本のもととなる原作々品が尽きたら、新たな番組制作は行わないとするとの取り決めがあり、それを忠実に守る形で最終回を迎えたという。鬼平ファンには名残惜しいことではあるが、なんとも池波らしい条件で、それは屹度(きっと)守らねばならない約束事であったのだろう・・・。

それではこの名作テレビ時代劇について、(必要に応じて原作にも触れながら)その概略を紹介していこうと思う。尚、この『鬼平犯科帳』には他の役者が主人公を演じたシリーズ(後述)もあるのだが、原則として本稿では吉右衛門が“鬼平”に扮したシリーズ(中村吉右衛門版)に関してのみ扱うものであることを、事前にご了解願うものである。

 

このテレビ時代劇は、江戸時代に実在した火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵を主人公とする捕物帳で、あらゆる難事件を“鬼平”こと長谷川平蔵を中心とした火付盗賊改方の役人と密偵たち(元盗賊だが赦されて火付盗賊改方の手足となって盗賊の内偵にあたっている者たち)が解決していくというものである。

 

長谷川平蔵と火付盗賊改方について

“鬼平”こと長谷川平蔵は火付盗賊改方の長官(頭)を務めた実在の人物であり、諱名は宣以(のぶため)だが、代々当主の名乗りである平蔵を称した。幼名は銕三郎(てつさぶろう)、あるいは銕次郎(てつじろう)という。但し、“鬼平”という略称・呼び名は小説の原作者である故・池波正太郎の創作とされる。尚、実際の平蔵は、延享2年(1745年)頃に生まれて寛政7年5月19日(1795年6月26日)に亡くなった。

宣以の長谷川家は、三方ヶ原の戦いで活躍・討死した長谷川藤九郎正長(紀伊守)以来徳川家に従う旗本の家柄(元来は今川家の家臣だが義元の死後は家康の配下となった)の分家(正長の次男宣次の系譜)で、家禄は4百石で御書院番の家格であった。

父は御先手弓頭や火付盗賊改方を経て京都西町奉行(従五位下・備中守)を務めた長谷川平蔵宣雄(のぶお)である。母は不詳であるが、宣以の妻は旗本の大橋与惣兵衛親英(御船手組、家禄200俵)の娘とされている。また宣以も西の丸御書院番御徒頭や御先手組弓頭から父と同じく火付盗賊改役となった。ちなみに、父の宣雄以外にも長谷川本家(家禄1,450石とも)の太郎兵衛正直も火盗の長官の任に就いていたことがある。( 『寛政重修諸家譜』・『長谷川家 先祖書』など)

史実の長谷川宣以の功績は、当時の老中・松平定信に進言した石川島の「人足寄場」設立に関する業績が有名であり、また通例では2年~3年で御役御免となる火付盗賊改方を亡くなる直前まで8年間にわたり務めたことが挙げられる。

 

さて、火付盗賊改方とは、江戸時代において特に重罪とされた火付け(放火)・盗賊(押しこみ強盗)や賭博を取り締まった徳川幕府の役職のこと。弱体な武力しか持たない町奉行所(役方/文官)では手に負えない凶悪な犯罪者集団に対抗する為に、幕府の常備軍(御先手組)から一つの部隊(組)を抜き出して、まるまるこの職に就かせたのである。すなわち、任命された組頭が率いる組に属する与力(5-10騎)や同心(30-50人)がそのままこの仕事に携わった。だが現実には、奉行所等に比べてその乱暴で強引な捜査が批判されることも多く、誤認逮捕や冤罪を産むことも多かったとされる。

本来は臨時の役職として置かれ、上記の様にその長官(頭、おかしら)は主に御先手組(番方/武官、本来は先陣を担う戦闘部隊)の持組頭である弓頭や筒(鉄砲)頭から選ばれた。特に定められた役所は用意されず、長官に任用された御先手頭などの屋敷を臨時(任期中)の役宅として使用したとされる。また御先手頭と兼務の役である為に「加役(かやく)」とも呼ばれ、本作品を始め多くの時代劇等では「火盗改メ(かとうあらため)」とか、より短く「火盗(かとう)」と略されることがある。

 

時代小説『鬼平犯科帳』とテレビ番組『鬼平犯科帳』(中村吉右衛門版)について

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鬼平犯科帳〈15〉特別長篇・雲竜剣 (文春文庫)

作家・池波正太郎による時代小説『鬼平犯科帳』は、文藝春秋社の月刊娯楽雑誌「オール讀物」に昭和42年(1967年)~平成2年(1990年)にかけて連載された、実在の人物である火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵を主人公とする捕物帳である。

池波には、この『鬼平犯科帳』の他にも『剣客商売』や『仕掛人・藤枝梅安』などの江戸時代を舞台とした人気娯楽小説シリーズがあったが、それ以外の作品の時代設定も、戦国ものから幕末を舞台としたものまでと幅広く、また扱う題材も剣客から忍者、敵討から盗賊(白浪)ものと多岐にわたった。だが、その何れもが時代小説ファンの心をとらえて大人気を博した。

また『鬼平犯科帳』は、池波の原作小説をもとにテレビ番組化や映画化・舞台化がなされ、漫画やアニメにもなっている国民的娯楽作品である。全135作、他に番外編が1作ある。

 

テレビ番組シリーズの『鬼平犯科帳』(中村吉右衛門版・フジテレビ)は、2代目中村吉右衛門が主役の長谷川平蔵を演じたもので、1989年7月にスタートした。制作は松竹(松竹京都撮影所)が行い、2001年5月までは連続ドラマ(中村吉右衛門第1~第9シリーズ)として全部で137本、2005年2月以降は単発のスペシャル番組として12本、計149本が放送されてきた。今回の二夜連続最終回で総計150本となった。ちなみに、1995年には『鬼平犯科帳 劇場版』が公開されている。またかつて、このテレビ番組の“鬼平”は中村吉右衛門の実父である八世・松本幸四郎の当たり役であり、父子二代で演じ継がれた名作テレビ時代劇となった。

このテレビ番組シリーズの他のバージョンとしては、主人公の長谷川平蔵を上記の松本幸四郎(後に松本白鸚を襲名)や丹波哲郎、もしくは萬屋錦之介が演じている各々のシリーズがある。松本幸四郎版(1969年10月~1972年3月)はNET系(現・テレビ朝日)で、丹波版(1975年4月から1975年9月まで)も同じくNET系(現・テレビ朝日)、萬屋錦之介版(1980年4月から1982年10月まで)はテレビ朝日にて放映されたが、制作はいずれも東宝である。ちなみに松本幸四郎版の初代シリーズについては、機会があれば是非にも別稿で取り上げたいと思っている・・・。

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