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我が音楽趣味とオーディオ遍歴 “第1世代/Season-1.0” 〈759JKI07〉

連載第2回目は“第1世代/Season-1.0”と題して、初めて自らの意志でオーディオ機器を選択・購入した時の様子を中心に話を進めていこう。また、ここからを“第1世代/Season-1.0”としたのは、全額自費で購入した最初のオーディオである事と共に、単品のコンポーネントでセットを組んだ初めての機会であったからでもある。

更に今回からはより一層のこと、オーディオ関連以外にも当時好きだった音楽の傾向や、楽器演奏とバンド活動について紙面を割くことになるが、本来、どの様なジャンルの音楽を聴く為に用意したステレオ装置なのかというオーディオ趣味の原点に立ち戻れば、これらのことは当然ながら避けては通れない話題なので、少々、お恥ずかしくてまどろこしい内容ともなっているが、是非、我慢してお付き合い願い度いと思う…。

我が音楽趣味とオーディオ遍歴 “第0世代/Season-0”…はこちらから

 

《音楽趣味も交えた購入前夜の状況》
時は1973年、筆者は中学2年生であった。その時点で小遣いを貯めて用意出来たオーディオ購入予算は13万円前後、もう少し待って資金を更に増やすべきか悩んでいたが、前年くらいからステレオ再生装置よりも先に買い集めていたレコードが何枚かあり、ただただジャケットを眺めているだけの音楽生活に耐えることは難しくなっていた。

どうしても自分のレコードを聴きたい時には、立派なステレオを持っている友人宅を訪れてはその再生装置を借りなくてはならないのだから、これはもう我慢の限界に達していたのである。しかし両親は筆者の再三の要請(たぶん現実には懇願だったと思われる)にも関わらずステレオ装置の取得には興味を示さず、また財政的支援? も拒んでいた…。

さて丁度その頃、毎月オーディオ雑誌を購入してはステレオ機器の研究に勤しんでいた筆者にとって、ビクター(VICTOR )のブックシェルフ型スピーカー SX-3の発売と高評価が大きな刺激となっていた。音色の評価が優れていたことは勿論なのだが、何よりもその価格(1本¥27,900-)が魅力的であったのだ。このスピーカーにアンプ、プレーヤーの組み合わせで実売価格合計13万円前後(20%OFFとして定価換算162,500円±)となるセットならば現状の資金での購入が可能であり、そこで SX-3をスピーカーに決めた上で他の組合せを物色することにして、益々真剣に各社の製品を比較検討し始めたのだった。

ちなみに、その頃のオーディオ・ルームとなる部屋は、筆者の実家(鉄筋コンクリート造りのマンションの4階、1969年末に以前の住居から引っ越していた…)の自室5.5帖程度の(カーペット敷き)洋室であり、そこにベットと本棚・学習机が置かれていた。そして好みの音楽は、中学に進学してから急速に興味を持ったロックが主体であった…。

ところで少々話題が逸れるが、誰しもが体験するであろうが筆者も当初、小学校から中学校へと進学した際にそれなりのカルチャーショックを受けた覚えがある。学生服(学ラン)に袖を通して通う学校では学科毎に専門の教師に変わる事とか、文化祭・体育祭などの行事に部活動や生徒会活動などへの参加に伴う先輩生徒との上下関係も新鮮な体験だったが、殊に入学早々に直面したエピソードが1ケ月前までは小学生だった筆者にとっては大きな驚きであった。ある日の昼休みに校舎と体育館を結ぶ渡り廊下で、とある先輩がギター片手に吉田拓郎の〈結婚しようよ〉を声高らかに歌っていたのには驚いたものだった。全然巧くないのだが、妙に堂々としていたのを今でもよく覚えていて、このことは音楽パフォーマンスへの興味を後押ししてくれた事件であった。

Carpenters『Now & Then』

さて話を戻すと、ステレオ装置の購入を決心した頃には前述の通り既に何枚かのレコードを所持していたが、ビートルズ(The Beatles)のLPが2枚(『ヘイ・ジュード(Hey Jude)』と『レット・イット・ビー(Let It Be)』)、前年、来日して盛り上がっていた勢いで衝動買いしたT-レックス(T. Rex)のEP(たぶん『20センチュリー・ボーイ(20th Century Boy)』あたり)とかミッシェル・ポルナレフ(Michel Polnareff)のシングル盤『シェリーに口づけ(Tout, tout pour ma chérie)』や、その他にはカーペンターズ (Carpenters)のLP『ナウ・アンド・ゼン(Now & Then)』やマーチ曲(〈大脱走〉・〈史上最大の作戦〉・〈戦場にかける橋〉etc.)ばかりを収録したLPなどを所持していた記憶がある。

『The Best of Burt Bacharach』Limited Edition

また、以前より我が家にあったレコードにはバート・バカラック(Burt Bacharach)のベスト盤があり、中でも〈遙かなる影(Close to You)〉や〈雨にぬれても (Raindrops Keep fallin’ On My Head)〉、〈サン・ホセへの道(Do You Know The Way To San Jose)〉等が好きな曲であった。バカラックが作曲したシュレルズ(The Shirelles)の〈ベイビー・イッツ・ユー (Baby It’s You)〉もお気に入り楽曲であり、この辺りが後年の米国の50年代~60年代ポップスのマイブームに繋がった様にも思える。

更にラジオや友人宅等で聴かせてもらっていた音楽には、英国系のロック、例えばご存知ディープ・パープル(Deep Purple)やハンブル・パイ(Humble Pie)、ウイシュボーン・アッシュ(Wishbone Ash)などが多かった様に思う。ちなみに当時はアッシュのアンディ・パウエル(Andy Powell)の弾く“フライングV”が超カッコイイと思っていたが…実は物凄く弾きにくいギターであることを後日、知ることになる。

そして後に“我が神”となるエリック・クラプトン(Eric Patrick Clapton)に関しては、ステレオセット購入後に彼のLPを買い出してから本格的な付き合い(後述)が始まり、ローリング・ストーンズ( The Rolling Stones) もはるか後年、自身のバンドでコピーするまではそれ程は聴いていなかった。

音楽之友社の月刊オーディオ雑誌『stereo』1987年 09月号

また当時、愛読していたオーディオ関連の雑誌は、音楽之友社の月刊誌『stereo』である。『FMレコパル』は翌年1974年の創刊だし同系列の『サウンドレコパル』の創刊は1979年であるから、『Stereo』誌以外はたまに共同通信社の『FM Fan』か『週刊FM』(音楽之友社刊)を買うくらいだったと思う。

だが、こうした雑誌から得た情報をベースに、日夜、電器店のオーディオ売り場に通い詰めてはカタログ集めに勤しんだのだった。ちなみにかつての耐久消費財の豪華カタログの代名詞と云えば「自動車」・「カメラ」と「オーディオ」であるそうな。自動車は別格としても、皆、高額な趣味の製品ばかりである。もちろん他の家電品にもカタログ・パンフレットはつきものだが、たしかに白物などとは違って、高級オーディオのカタログにはコストをかけた立派なものが多かったが、そうした豪華なカタログをこれでもかと集めては飽きもせずに終始眺めていたのである。だが後年、そうした無料で配布されているカタログがオークションで高値で売買される時代がやってこようとは夢想だにしなかったが…。あの頃、集めていたカタログを全部取っておいたら、今頃、一財産稼げていたかも知れない(笑)。

閑話休題。こうして熱心に研究をした結果、遂に購入ラインナップが決まった。予算が少ないので欲張らずにレコードを聴くことだけに集中する。つまりチューナーやカセット・デッキなどの購入は一旦、諦めたのだ。また何かの雑誌の記事の指南に、購入予算の配分はスピーカーとアンプ、プレーヤーの比率を5:5:3程度のバランスとするのが良いとあったので、疑いもなくこの割合を指標としたが、現実にはプレーヤーの比率が少々増大している。

さてその組み合わせは、スピーカーは前述のビクター(VICTOR) SX-3、プリメイン・アンプに同じくビクター(VICTOR) JA-S5、レコード・プレーヤーがパイオニア(Pioneer) PL-1200となった。

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