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583系ラストラン その日の秋田駅点描 part1 〈17/38TFU03〉

1968年(昭和43年)、世界初の電重寝台として誕生以来、昼夜問わず日本中を駆け抜けてきた583系電車が、ついにその歴史に幕を閉じる日を迎えました。
終焉の地は秋田。熱狂的な583系 ファンである筆者は、その最後の姿を見届ける為に、東京からはるばる秋田へ向かいました。

仙台からは高速バスで秋田へ。人気高く,満席でした。

2017年4月8日土曜日、前日に仙台で一泊し,そして仙台から高速バスに乗って、秋田駅に向かいました。仙台からは高速バスで3時間あまり。仙台を出発するバスの車内は満席でした。昼の高速バスはいったいどんなものなのか、電車で3時間なら十分に耐えられるのですが、バスでそんなに長時間は退屈するのではないかと思っていましたが、車内は走るゆりかごのごとく、ほぼ眠る客ばかりで私も目を覚ますことなく、秋田に着いていました。

通路に設けられた583系の思い出の写真

早速、入場券を買い求めホ一ムへ。すでにあちこちにマニアの姿が多く見られます。コンコースでは583系の思い出の写真がパネルで展示されていました。雪の中を走る「あけぼの」の姿が中心でしたが 本当にこの姿が見られないかと思うと、感慨深いものがありました。

ホームに降りてみると、すでにあちこちにカメラを持ったマニア達が。この日の583系はラストランの記念列車で秋田・弘前間を往復します。
記念列車のダイヤは弘前を10:00に出発、秋田に12:30到着。秋田で待機後14:50に弘前へ出発し,17:07弘前に到着。17:35弘前から折り返し、秋田には20:23到着というスケジュールでした。

特急「いなほ」と,ACCUMのショット。マニアがいても,知らんぷりでした。

私は、まず12:30に到着する弘前からの列車を狙う事にしました。ホームにE653系の特急「いなほ」や今年3月にデビューしたばかりの,男鹿線の交流用蓄電池電車のEV-E801系「ACCUM(アキュム)」など珍しい車両がいて、時折カメラを向けるマニアもいましたが、殆どの人は三脚を弘前方向に向けてホ一ムに据え、583系をひたすら持っていました。ひときわ、人が多くいたのが1番線ホ一ム。おそらくそこに進入するのだろうとあえて、そこを避けて待機することにします。
私の近くにはJRの女性職員と、へルメットをかぶった職員がマニアの様子を見ていました。これだけ多くの人々が秋田駅のホームに集結する光景はないでしょう。緊張の面持ちで周囲に目を配っていました。
一般客の姿の無いホ一ムには秋田県横手市出身のシンガーソングライター,高橋優さんの「明日はきっといい日になる」の歌がエンドレスでかかっており、私は「明日になったら583系はもう走らない。いい日になるのか?」というような思いで聞いていました。
良く見ると、線路際にも、近くの道路にも、力メラを持った人達が。ホ一ムにも続々と老若男女がスマホやデジカメを手に集まってきました。

ついに583系とご対面。しかし,正面の構図がねらえません!

こうなればサイドから狙います。それでも,やはりかっこいい!

やがて、ホ一ムに注意を呼び掛けるアナウンスが流れると、遠くタイフォンの音。ゆっくりと583系が秋田駅に入ってきました。車内は幸運にも乗車券を手にした客でいっぱいです。583系は我々の前をゆっくりと過ぎ去り、さらに先へと進んで行きました。あわててカメラをかたづけて、マニアが一斉にホ一ムを走ってそのあとを追います。583系が走りを止めた先は、2番線ホ一ム。車体を横たえていましたが,周囲には人、人、人。駅員がホームの端に出ないように、盛んに警告しています。
なんとか編成をきれいに写したいのですが、みな考えている事は同じ。人の頭越しに、あるいは体の脇から、肩越しに、あらゆる体勢を試みながら最適な構図を狙います。するとそのうち、遠くから機関車のモ一タ一音が聞こえたかと思うと、電気機関車EF510に牽かれたコンテナ列車が583系をさえぎるように進入してきました。通過するのかと思いきや、 「ガタン」と大きな連結面の音と、「キキキ」というブレ一キ音が響き渡り、なんと停車してしまいました。

左が問題のコンテナ列車。特急がいても,誰もマニアがいません・・。

「あああ」近くにいたマニアから悲鳴に近いため息も出て、他のマニア達も残念そうにホ一ムを次々に後にしていきます。それでもあきらめきれない人は、コンテナの間から狙うことをしていました。 私も仕方なく、次の折り返しまで、時間をつぶすことにしました。

私は駅構内の土産物店や、駅の近くの市場などを散策し14時に再び秋田駅に向かいました。下りの弘前行きは秋田駅発のラ ストランになるので、出発式があるそう。

 

今日の主役はまだだろうか?しらかみ?違います。

出発式のあるホ一ムに行くと、583系ではなく,五能線の観光列車「リゾ一トしらかみ」がデイ一ゼル工ンジンのアイドリング音を響かせていました。それでもカメラを向けるマニアは少なく、(それは地元のマニアが多いためなのか、もはや583系しか頭の中にないのか、理解に苦しむ光景でしたが)しらかみの編成も場違いなようで、遠慮がちに見えました。
ホ一ムでは出発式の準備がはじまっており、NHKをはじめと するテレビ局がカメラを構え、あちこちでマニアが取材のインタビュ一を受けたり、ポ一イスカウトの一団や秋田名物の「なまはげ」が現れたり、続々と関係者が集まってきました。これでは、ホームに立つ位置さえおぼつかないので、再び先ほど撮影していた反対側のホ一ムに。
しかしもう、そこは人の隙間を探すのも大変な状態でした。まるで朝の都会の駅の通勤ラッシュのホ一ムです。私はあえて駅員の近くに陣取りました。駅員の近くなら、不穏な動きもできないでしよう。マ二アは先程より、明らかに多く集まってきました。しゃがむ人、背伸びする人,空間の争奪戦といったところでしょうか。
ただ、安心したのは、罵声が飛び交わない事でした。最近のいわゆる「終テツ」と呼ばれる、鉄道車両の引退や廃止を中心に追っかけをしているマニアのマナ一の悪さは目に余るものがあるので(あけぼの、北斗星などの最終の異様な興奮はマスコミでも問題になりました)、今日のファンはまだおとなしい方です。みな体を密着するようにして、583系の入線を待ちます。

ついにラストランに向けて,主役登場!

そして、ホ一ムに入線のアナウンスが流れると、運転台の上、両サイドのへッドライトを3灯点けて、曇天の中を583系はしずかにホ一ムに入ってきました。「カシャカシャ」という連射モ一ドでのシャッタ一音、「ピビッ」というスマホのカメラモ一ドのピント音。話声は無く、機械的な音だけがざわめきのように響きます。入線して、停止しても、そのざわめきは続いていました。出発式では駅長や秋田車両センタ一の方の話がありましたが、正直、誰も聞いていません。誰もが、同じような構図で583系をひたすら撮りまくります。

そして出発式が終り、蛍の光が流れる中、タイフオンの音を薄く長く伸ばすように鳴らしながら、583系はゆっくりと満員の客を乗せて弘前方へと去って行きました。この列車が、折り返して秋田に戻ってくるのが20時半過ぎ。それまで私は駅を出て,しばし休むことにしました。

秋田駅のコンコースは広く,明るくなりました。

Part2に続きます。夜の583系はさてさて・・・。

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