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【新作アニメ】“ケッテンクラート”で旅する二人の少女の物語『少女終末旅行』 〈44/3JKI15〉

今月(10月)から始まったアニメ『少女終末旅行』(AT-X・TOKYO MX他にて放映中)は、つくみず氏による原作漫画がwebサイト『くらげバンチ』(新潮社)にて2014年2月21日以来連載中です。

ボクは以前からこの漫画に注目していたのだけれど、ディストピアもので少々マイナー感も強くて、(失礼ながら)まさかアニメになって地上波で放映されるとは…。

しかしとにかく、こういったタイプの作品が広く多くのアニメファンに知られることは、御目出度いの一言です!!

 

ところで、この記事の主役はアニメ『少女終末旅行』そのものではなく、作中に登場する主人公ふたりの愛車“ケッテンクラート(Kettenkrad)”です。またその特異な形状からミリタリーファンに支持者が多い“ケッテン…”を主人公たちの乗物として登場させた原作者は、他の武器や兵器の描き方からみても、きっと結構な軍事オタクと思われるのです。(映画『プライベート・ライアン』における“ケッテン…”の姿に触発されたらしい)

牽引中の“ケッテン‥”

さてこの車両は、第二次世界大戦期にドイツ軍で使用された小型の半装軌車なのですが、その外見はオートバイの前部にキャタピラを履いた後部本体が合体した様な、チョットばかり変でいて何となくカワイイ雰囲気を持った“ちょいゲテ”のミニ軍用車なのでした

制式名称は“クライネス・ケッテンクラフトラート(Kleines Kettenkraftrad)と言い、訳すと「小型装軌式オートバイ」となり、やはりあくまでオートバイなんだと妙に納得。

尚、“ケッテン(Ketten)”とは「鎖」のことで、即ち「履帯」を意味しており、“クラフトラート(Kraftrad)”は「オートバイ」に当たる当時の表現とされ、現代ドイツ語では Motorrad(モトラッド) となります。そしてドイツ軍での制式表記は Sd.Kfz.2で、製造元のNSU社での型式はTyp(Type)HK 101でした。また軍用語句としては“クラート(Krad)”と呼ばれました。

本来の“ケッテン…”はグライダー等に搭載して空挺降下させた後に、小口径の砲などの牽引と弾薬運搬を目的とした降下猟兵向けの軍用車輌として開発されましたが、泥濘の夥しい悪路などでは従来のバイクやサイドカー及び小型の装輪車両の運動性能が劣ることから、悪路走破性が高く操縦性にも優れていた“ケッテン…”は、その使い勝手の良さを認められて通常の国防軍や武装SSの部隊でも非装甲の運搬用軽車両として重用される様になり、空軍でも航空機の牽引用トラクターとして使用されました。

3名乗車中の“ケッテン‥”

その基本構成は、まさしく名称の通り二つ(左右)の履帯無限軌道により駆動、バイクの様な一輪の前輪で操舵する形となっており、1名用の操縦席とは別に2座席がエンジンルーム後方の本体に後向きに設置されています。

この車両は1941年から1944年にかけてNSU社他により8,345輌が生産され、大戦後にも550輌が民生(農業・林業・土木建築)用に再生産されました。

戦中の派生型としては、電線敷設用のSd Kfz 2/1と重電線敷設用のSd Kfz 2/2が存在。更に“シュプリンガーMittlerer Ladungsträger Springer, Sd.Kfz. 304、和訳の意味は「蚤」)というケッテンクラートの部品を用いた爆薬運搬車輌があり、これは無線操縦で敵陣に突っ込む無人の特攻車両でした。

“ケッテン…”の動力は、1938年型の自動車オペル・オリンピア用のガソリンエンジン(1,488cc水冷直列4気筒OHV、36HP/3,500rpm)をベースに改造したもので、このエンジンは駆動軸の位置に合わせて車体中央に縦置きで搭載されていました。燃料タンクは操縦席の左右に其々独立して設置され、ラジエーターはエンジンの後方に置かれていました。更にラジエーターには冷却ファンと寒冷時の過冷却を防ぐシャッターが備わっていたとされ、バッテリーは6Vのものが車体右側に積載されていたそうです。

登坂中の“ケッテン‥”

またこの動力装置より得られる最高速度は 70km/h に設計されていましたが車体重量が意外に重く、振動や騒音をも加味して実用上は 50km/h 以下での運用であったと云われています。

だが実際に走行している動画などを観るにつけ、高速走行時や急激にハンドルを操作して方向転換を行う場合などでは、後部座席に乗車している者は余程注意していても投げ出されそうで、相当に怖いおもいをするだろうと思われます。

尚、現在でも世界各地に“ケッテン…”の愛好者が存在し、レストアしたこの車両でオフロード走行を楽しんでいる動画などが頻繁に公開されています。まぁ確かに、オフロードバギーやスノーモービルみたいな使い方が可能ですからネ。但し、軍用のスノーモービルと云えばソ連軍の、無限軌道ではなくプロペラによって推進される動力ソリ『アエロサン』(武装型のRF-8/GAZ-95など)がはるかに有名ですが…。

ちなみに、我国でもこの“ちょいゲテ”車両はキャタピラにゴムパッドを装着の上、小型特殊として登録して運転免許に関しては大型特殊を有していれば公道での走行が可能の様です。
日本人による“ケッテン…”のレストア記事

主要諸元
・全長:3,000 mm ・幅:1,000 mm ・高さ:1,200 mm
・エンジン:水冷直列4気筒・3ベアリング OHV(Opel Olympia 用の転用)
・排気量:1488 cm³(実排気量) ・最高速度:70 km/h ・重量:1,560 kg

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