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孔子に学ぶ人生の節目の在り方・迎え方 〈1647JKI11〉

先日、同僚50歳の誕生日での話。彼曰く「誕生日が嬉しいのはせいぜい30代までで、40歳を過ぎれば目出度さ半減。50歳を超えれば人生も下り坂に差し掛かり、嬉しくも何ともないネ」とのことでした。

これには周囲の中高年者一同は皆が賛成を表明してひとしきり場が盛り上がったところに、丁度通りがかった職場の先輩で最長老の方が、「これで○○君も“知命”だね」と声をかけられましたが、その場に居合わせたほとんどのメンバーはキョトンとした表情。

たまたま“知命”の意味を知っていた私は咄嗟に肯んじたのですが、あぁ、そうか!! 最近では孔子の言“不惑”までは知っていても、多くの人はそれ以降の表現は知らないとみえます。現に彼(か)のご老体がその場を去った後に、近辺の数人から“知命”の意味を問われて簡単に解説するハメになりました。

そこで今回の記事では、改めて有名な孔子の人生訓について触れてみることに致しました‥。

 

先ず最初に、孔子とその教えである儒教についてのお浚いから。彼の氏は孔、諱は丘、字は仲尼(ちゅうじ)といい、「孔子」(孔先生)と尊称されました。中国・春秋時代周末の紀元前552年に魯国に生まて紀元前479年に亡くなったとされる政治家であり思想家・哲学者で、最盛期には3千人を超える弟子を有した儒教・儒家の祖とされる人物です。また弟子たちが自らの疑問に答えてもらう形で師の孔子の言葉をまとめた問答集『論語』(孔子の高弟の言行も含む)など、多くの関連典籍が残っています。

孔子の思想の根幹は「仁」と「礼に基づく理想の社会の実現を目指したもので、周時代の古き良き社会の復活を理想とし、上下・長幼の秩序と為政者が徳を持って国を治める仁道の政治の実践をその目的として掲げました。

ところで「仁」の字とはイ(人)が二人合わさることで仁となるが如く人間関係に関わり、種子の中の芽となる部分の意もあって、この世においてなくてはならぬ一番大切なものを示すのです。それは人が他の人に接する場合の心のあり方であり、思いやりや愛情を持った親しみあるコミュニケーションの実現を意味するものなのです。そこには真の人間らしさの発現、即ち人間としての徳と慈愛の発揮が求められました。そして孔子は、この仁が様々な生活の場面において貫徹されることで広く社会における道徳が保たれると説いたのです。

更に「礼」とは本来は礼儀作法の形式ですが、孔子の教えにおいては社会的な秩序を維持し対人関係を円滑にする為の大事な規範・慣習を意味し、この礼に自然に従う謙虚な心情を養うことが必要とされました。また孔子の政治家としての活動は、自説の礼に適った理想社会(ユートピア)の形成を目指したものでした。

また彼の唱えた教えは、人間愛(仁)と会規範(礼)を根底に据えた現実的で実践に向けた教義でもあり、それは宗教的な要素よりも道徳的な行動や日々の生活についての教訓面が強く、人間が生きる上での道徳観を教授するものでした。従って儒教は、神や死後の世界について触れる事よりも現世における人としての生き方を重んじており、孔子が教えた道徳観においては人生の幸福や成功とは自力で(自らの努力で功徳を積み)実現するべきものであり、神(や仏)などの他力に頼るものではありませんでした。つまり孔子は、人とは自らの生活や社会を自分自身の考えと行いで改善出来る力を持っていると教えたのです。

尚、一説には儒教の「儒」には小さい人や存在という意味もあり、即ち自分は劣った小さい存在であることを認識するべきであるとの考え方が示されており、先祖や目上の者を敬い親を大切にしなさいと教え、人間としてステップUPする為には学問を深めて己の人物を磨き、常に自分を抑えて生きる必要があると諭すのです。

ちなみに儒学は、唐代以前は五経(『易経』・『書経』・『詩経』・『礼記』・『春秋』)を中心として学ばれていましたが、宋代の11世紀頃を境にして朱子(朱熹)などにより教義の内容に大きな変化があり、その後は四書(『論語』・『孟子』・『大学』・『中庸』)がより重視されました。そこでは、朱子による「修己治人(しゅうこちじん)」(己を磨いて修得した徳をもって人を治める)という考え方が重きをなし、政治とは法律や刑罰で臣民を規律・拘束することではなく、道徳によって臣民を善導することであり、その為には先ず国王・君主たる者が率先して己を修めることが必須で、その結果として自然と臣民が感化されるのである、としました

儒教の教えは中華思想の根幹のひとつとなり、やがて中国を中心に漢字文化圏とよばれる我国を含む東南アジア各国へと伝播、現在でもそれらの国々における社会全般や思想界に大きな影響力を有しています。

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