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【東洋医学】 中医学に学ぶ(5) 疼痛の原因と対処法 〈33JKI00〉

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寒さが厳しくなる冬場は、体のあちらこちらに痛みを生じやすいシーズンだ。

そこで数回にわたり「中医学に学ぶ」では、疼痛(痛み)について中医学ではどの様に対処していくのかを調べてみることにした・・・。

 

疼痛とは

医学界では「痛み(pain)」の諸症状を「疼痛(とうつう)」と表現し、(言い換えると)「疼痛」とは「痛み」という感覚を表す医学用語であるとされる。

国際疼痛学会の定義では、『痛みは、実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表わす言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である』(Wikipedia 疼痛 より)とされている。

漢字の語源としては「疼」は疼くようなやや軽めの痛みで、「痛」はより強い痛みのことを示している。

尚、この稿では、怪我などによる急性的な生体組織の損傷などによるものではなく、極力、慢性的なそれを論じていくものとする。

 

疼痛に関して現代の西洋医学では、外科的な手術等を除くと、痛みの原因となる体内の疼痛物質(セロトニンブラジキニンなど)を中和・除去したり、炎症を抑制し痛みを和らげる(麻痺させる)薬を処方して、後は安静にして回復を待つ対症療法が基本的な考え方となっている。

しかし中医学における対処は、痛みを防いだり緩和するためには、痛みそのものを抑えるだけではなく、痛みを引き起こす本質的な要因を探り出して、その疼痛の原因である体質の改善や日頃の生活習慣の変更なども含めた根本部分から対処していこうとするものだ。

 

 

痺証

中医学において、(狭義には)筋肉や関節が痺れたり、こりや痛みを持つ病気のことを「痺証(ひしょう)」と言う場合がある。痺証の「痺」という文字は、「塞(ふさ)がって通じない」という意味で、体内の気や血が何らかの原因によって経絡(けいらく)に流れ難くくなっていることを指す言葉だ。

より詳しくは、痺証は外邪が体内に侵入することで、筋肉や骨・関節を侵し、經絡が痺阻されて気・血の巡りが不順となり、肢体や関節のしびれ・こり・腫れ・変形などを生じ、筋肉・関節の痛みを主にする病気のことである。(中医学では、人体に悪影響をおよぼす自然環境や外的要因とその影響を外邪と呼ぶ)

 

痺証(疼痛)の原因

大きくは二つの原因があるとされている。

先ず一つの原因だが、体内を流れる気や血、水がスムーズに流れていない場合(『不通即痛』=「通ぜざれば痛む」とか「流れざれば即ち痛む」とされる)に起こるとされる。

体質が虚弱となると気・血が滞り、正気(外因に抗する人体の力)が不足してしまう。強い痛みを伴う急性のものは、風邪、寒邪、湿邪、熱邪などの外邪に体が適切に対抗出来ていないことにより、即ち、外因(病気を引き起こす外的/環境要因)により起こるものである。またこの中で、鈍い痛みを伴う慢性のものの場合は、体中の「内生五邪」、「痰飲(たんいん)」、「瘀血(おけつ)」、「気滞(きたい)」などによる臓器・臓腑の障害とかストレスに起因するものや生活習慣の悪弊などと、内因により引き起こされるものが多い。

もう一つの原因は、老化や病気の影響などで体や内臓の機能が低下して気・血・水の循環が不足している場合であり、筋肉や各器官、生体組織に栄養などが行き渡らないことで引き起こされるとされる。

 

しかしながら重要なことは、中医学では内因による正気の不足で身体が機能不全に陥り、あるいは免疫・抵抗力が低下するというのが、痺証(疼痛)の根本原因であるとしている点だ。

あくまで外界の変動による外因は単なる発症の切っ掛けであるとみていて、外因は内因を前提として初めて発現すると考えているのだ。

その為、中医学での治療原則は、本来の正気を扶助しながら外邪の除去を並行して行う「扶正袪邪(ふせいきょじゃ)」を実施する。単に痛みを和らげたり止めるだけの対症療法ではなく、もともとの疼痛の根本原因を絶つことが目的であり、再発の防止に繋がると考えているのだ。

 

外邪が原因となる痺証の種類

風邪が原因となる「風痺(ふうひ)」は、痛みがあちらこちらに走ったり、しじゅう起きたりする。風邪(かぜ)の発病初期に多い症状だ。痛む箇所が一定せずに発散し、痺れや遊走性もあり、時に寒熱証(証とは病名のこと)を伴う疼痛があるのも特徴。

寒邪が原因となる「寒痺(かんぴ)」は、同じ部位が痛む痺証。欝積(うっせき)するため固定性の激しい痛みで、冷えると更に痛みは強くなるが、温めると痛みは柔らぎ楽になる場合が多い。体を温める食物や生活養生で対処する。

湿邪が原因となる「湿痺(しっぴ)」は、四肢が重く体がだるくて動かすのが苦痛となる。また皮膚に軽い浮腫や知覚の異常を伴うことが多い。雨天や寒気などの気候の変化にも影響を受けて再発し易く、繰り返し発症し治り難くいのが特徴。

熱邪が原因となる「熱痺(ねっぴ)」は、痛みと共に皮膚が赤く腫れたり熱を持ち、ひどい場合は患部に触れられることも耐えがたい程の痛みが特徴の疼痛だ。風・寒・湿の外邪が長く続いた時や体質により炎症をおこすもので、急性・慢性の関節リュウマチ、関節炎などに変化することもある。また寒冷になると痛みは最も激しくなり、脱力感などの気の消耗症状と咽痛や唇の乾きなどが発生する場合もある。

これらの外邪は単独で作用することは少なく、寒と湿であるとか湿と熱が結合した症状となることが多い。

 

中医学では、疼痛の性質により治療法が変わる。対処法を正しく選択しないと、痛みを除去するどころが悪化させてしまう可能性もあるから注意が必要だ。

生兵法は怪我のもと」であり、決して素人考えではなく、是非、専門医に相談して欲しいものだ。

さて次回からは疼痛対処法を、痛む部位毎に解説していこうと考えている。先ずは筆者も悩まされている腰痛あたりから始めるつもりだ・・・。

-終-

 

 
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