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【超入門】 -続- フライトジャケットについて 〈13JKI00〉

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フライトジャケットに関する連載記事の第二弾。前回、紹介したA-2、B-3、G-1、MA-1以外の主要なフライトジャケットについて、ゾーン別に簡単に解説しよう。また、戦車乗員用のタンカース(M-41)と艦船の乗組員用デッキジャケットのN-1にも触れる。

 

インターミディエイトゾーン(INTERMEDIATE ZONE)の系譜

B659257e5cb8c01d8321c8abcec5a3d385-150x150〈type B-6

A-2とB-3の中間的位置づけとして、B-3をベースに防寒性より機動性を高めたモデル。表がコーティングされたムートンのシャーリングも少しライト・ウェイトになっており、B-3の毛足を短めに刈ったといえる。

B-3との違いは衿が小ぶりになり、チン・ストラップが1本になった事と背中のアクション・プリーツ、袖口はボタンにより2段階に調節可能、左右にスラッシュ・ポケットを配し実用性があがった。

 

B1050aa957b1f67f9a65ade0ccf33c7755e-150x150〈type B-10 

主に材料のレザー不足が理由で、新型の布地製フライトジャケットの開発が1942年10月からスタートした。その際に重視されたのは「防寒性」と「動きやすさ」の2点で、内張りに防風加工を施したウール及びパイルを使用した布製ジャケットが開発され、寒冷地におけるテストが行われた。

テストの結果は「良好」と判断され、その成果を元に1943年7月には始めての布製ジャケットB-10が採用された。ほぼM-422Aのデザインが引き継がれているが、コットンツイルのシェル素材、ライニングにアルパカモヘアウールのパイル地を使用。

袖と裾はニット、前面はファスナーを使い保温性、遮風性を確保している。この新型装備は好評を持って迎えられ、大戦後半から大量に使用された。ムートンを用いた襟は個性的だ。

 

B15c993997b321064aabd8d07262f20f86b-150x150〈B-15シリーズ(B-15、B-15A、B-15B、B-15C、B-15D)

B-10の基本デザインを踏襲しながら更に改良が加えられ、1944年4月7日には後継モデルと言えるB-15が採用された。B-10の大型パッチ・ポケットがスラッシュ(斜め)・ポケットに変更された。

B-15シリーズはフロントジッパーがオフセットジッパーとなっており、裏地に動作をスムーズにし保温性の高いアルパカの毛が使われている。その後B-15に更に改良を加えたものが1944年11月4日にB-15Aとして採用された。スラッシュポケット、フロント・ファスナーはセンターから少しずれている。左腕にはペン・シガーポケットがつけられている。

その他の改良点としてはコード止め用タブの追加やホースクリップを止める大型の革製三角タブを両胸に付属させたことだ。1945年8月に採用されたB-15Bからはナイロン素材となり、表地がコットンからナイロンに変更されている。

三角タブはオキシジェンボックスタブに変更され両脇にはループタブを加えるなどの改良が実施された。1951年には空軍色のエアフォースブルーのB-15C(マリリン・モンローが着ていたことで有名)が採用されたが、エアフォースブルーは朝鮮戦争の戦訓から敵地での視認性が高く、1953年には同色は廃止され、シルバー・グレー(セージ・グリーン)のB-15Dが採用された。

そしてシリーズ最終型のB-15Dの襟のムートンを取ったモディファイ(Mod.)は、後のMA-1とほぼ同じ仕様だ。但し、MA-1とB-15D(Mod)では正面合わせに付けられた”ストーム・フラップ”の形状に違いが見られ、B-15D(Mod.)では上端が直角になっているが、MA-1では角が丸められているのが大きな相違点だ。

 

ヘヴィーゾーン(HEAVY ZONE)の系譜

N37a55059e7d05e0b4828c73f2de9537ef1-150x150〈N-3シリーズ(N-3、N-3A、N-3B)

N-3はWWⅡ中に開発、採用された着丈の長い極寒地用ナイロン製のフライト・ジャケットでコットンシェルのB-11の後継。従来の極寒地用フライトジャケットのようにパーカー式を踏襲していた。

その後N-3は空軍色エアフォース・ブルーの採用と多少の改良でN-3Aとなり、1960年代にはさらに改良が加えられてシルバー・グレー(セージグリーン)のN-3Bとなった。N-3A以降のマイナーチェンジとしては、フラップ丈の変更、袖リブの配置換え、ドローコードの位置変更などがある。尚、N-3Bは1970年代に区分変更が行われて地上用のユニフォームとなり、スペックMIL-P-6279Iから「極寒地用パーカー」として再区分されている。

 

N24d6084d1508649a6c17405aa269c2ba7-150x150〈N-2シリーズ(N-2、N-2A、N-2B)

N-2はHEAVY ZONE(-10~-30℃)対応として1945年に採用された非常に防寒性が高いナイロン製のフライトジャケットだ。コクピット等で操縦士の着座や活動を制限しないようにN-3の着丈を見直し、ショート丈となった。この為、他の極寒地用フライトジャケットよりも機動性に優れている。

特徴としてフードの中央部に開閉式ジッパーが装備されている。このジッパーはフードを二分割させることにより、人体への重量感を軽減させることに成功しているが、この優れた形状はNシリーズ全てに継承された。フードファーはコヨーテの毛が使用されている。

N-2Aは1950年にN-2の後継として米国空軍に採用され、主に朝鮮戦争で使用された。L-2A、B-15Cなどと同じく、エアフォースブルーが特徴だが、間もなくシルバー・グレー(セージグリーン)のN-2Bにとって代わられた。

またN-2Bは、袖、裾がMA-1タイプとなっている。フードの内張り部分はN-2Bでアクリル・ボアに仕様変更された。フードファーはアザラシの毛を使用しているとも言われるが、実際はアクリルのようだ。

ライトゾーン(LIGHT ZONE)の系譜

L2Aimg58068648〈L-2シリーズ(L-2、L-2A、L-2B)

夏期用フライトジャケットも製造生地(ナイロンへ)の変更は行われたが、冬期用に比べて優先度が低かったこともあり、革製から布製へのシフトは1945年5月以降となった。この時に採用されたのがB-15をベースとしたL-2だが、朝鮮戦争に実戦投入された後、このシリーズは長く改良を加えらながら最終的には1970年代まで使用される傑作となった。

デザイン的にはMA-1の影響を受けているが中綿が無いライトゾーン用となっている。また薄い裏地と肩にはエポレット、裾のウェスト・タブがMA-1と異なる。Nシリーズと同じで初めはエアフォース・ブルー(AFB)だったが、1950年代中頃、L-2Bからは他のシリーズのジャケットと同様にシルバー・グレー(セージ・グリーン)に変更されている。

 

海軍採用の独特のデザイン

WEPhouston-wep-5509x-5〈J-WFS(G-8/WEP)

米国海軍が1950年代後半に採用したフライトジャケットで、正式名称はJ-WFS(ジャケット、ウインター・フライング・スーツ:J-winter flying suit)だ。これが通称、WEPもしくはG-8だが、ちなみにWEPとは仕様を制定した海軍兵器局の略称である。

WEPジャケットは海軍の代表的ナイロン製のフライトジャケットであるが、極端に短い裾などの独特の形態を持ち、ボタン付きのライニングにはコットンが使用された。また、ニット地の襟、リブ仕様のスタンド・カラー、胸には大型ポケット、袖口リブニットのV字カットなどが特徴。サイドポケットは折り返しが付き内部の物が落ちにくい構造で、スナップボタンでポケットを留める形式だ。

G-1が中間気候地帯で使用する為に支給されたのに対してJ-WFSは冬季用とされた。更にJ-WSFは、WFSという厚手のフライトスーツと重ね着をすることが前提に開発され、これを併用して着用することで寒冷地での任務にも対応可能であった。

 

インターミディエートゾーン(INTERMEDIATE ZONE)の現行モデル

CWUj-cwu45p-f-7〈CWU-45/P、CWU-36/P  

CWU-45/P は、米国全軍(含む海兵隊)において制式採用されている、現行モデルのフライトジャケットだ。J-CWFSという最初期のものから、MIL-J-83388A~83388Eまでバリエーションが多い。

1973年に米国海軍が先行採用し、1976年には空軍にも採用された。その後、海兵隊・沿岸警備隊等も採用している。基本色はシルバー・グレー(セージグリーン)だが、最近では砂漠戦域など用にデザート(タン)カラーのモデルも採用されている。尚、ラウンド・カラーの衿、ポケット・フラップのベルクロ留めが特徴。

ベトナム戦争での教訓をもとにパイロットや機内搭乗員の火災による被害を押さえて生存率を上げるため、シェルの生地にはナイロンに代わり、デュポン社が開発した難燃素材「ノーメックス(NOMEX)」(アラミド繊維の一種、アロマティック・ポリアミド:400℃の熱に約15秒耐えることができる))が使用され極めて耐火性が高くなっている。

同様に難燃素材「ノーメックス(NOMEX)」を使用した、CWU-45/PのサマーバージョンともいえるのがCWU-36/P。中綿を省略しているので薄手であり非常に軽量で機動性に富んでいる。またCWU-45/Pと異なり前面ファスナー部分に防風用の前立てがない。

当初、背面に特徴的なアクション・プリーツが採用されていたが、保安上の理由からこのプリーツは廃止された。アクション・プリーツの付いた初期生産型でコンディションが良好なのものはコレクターからも珍重されている。またCWU-45/PにはH-CWFSという脱着式のフードが存在したが、あまり使用されることはなく短期間で生産を終了した。 最初期型のモデルにはベルクロ脱着式の内ポケットがあり、レスキューパネルと呼ばれるオレンジ色の布が収納されていた。

 

フライトジャケット以外

タンカース41n94hmc7eL._SX342_〈M-41 タンカース

WWⅡ中の1941年に米国陸軍機甲部隊隊員(戦車・装甲車乗員)の冬季戦闘服として開発・支給された「タンカース」ジャケットは正式名「WINTER COMBAT JACKET」 といい、本来はフライトジャケットではない。しかしA-2では欧州戦線の寒冷な気候に対応できなかったたにめ、戦闘機パイロットのなかには機甲部隊から譲り受けるて着用する者も多かったそうだ。

保温性、遮風性に優れ、戦車などの狭い車内でも活動し易い細身の構造で、これが航空機の操縦席等で着用する上でも有利となった。素材はコットン、裏地にウール・ブランケットのライニングが使用されている。

 

N1im61363168〈N-1 デッキジャケット

1944年~1950年代に採用されていた米国海軍の艦艇乗組員(主に甲板員:デッキクルー)用のジャケットのこと。デッキジャケットと呼ばれていた。また着丈の短いフック・タイプと呼ばれるモデルもある。

製造当初の1944年にはネイビーカラーが製造されたが希少であり、表面はジャングルクロス(グログラン)という防風・撥水性の高いコットン素材を使用、衿と裏地には遮風性と保温性に優れたアルパカ・モヘアのパイル地が使われていた。

翌年(1945年)にはカーキ色となり、袖口裏に縫いつけられていたパイルの省略や、脇下のトラウザースを取り付けるためのループの簡略化、裾部分にあるドローストリングスコード用アイレットの大型化等の改良が加えられた。

 

フライトジャケットも旧来の要件である「寒さからの保護」という役割から大きく変化し、現在のフライトジャケットで何より重要とされているのは「着用者を火災から護る」ということである。

-終-

 

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