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東急/京急 『蒲蒲線』、都心と羽田空港を結ぶ新たな鉄道路線。 〈17JKI25〉

東急70001index_img05皆さんは『蒲蒲線』計画をご存知だろうか?

東急電鉄の蒲田と京浜急行の蒲田を結ぶ新規の鉄道路線のことだ。

都心、特に池袋・新宿・渋谷といったターミナル駅から羽田空港へのアクセスを向上させるための新路線だが・・・。

 

国際線ターミナルが拡張され重要度が増す羽田空港。その羽田空港への都心からのアクセス強化を目指す計画が、「東急電鉄と京浜急行、ふたつの蒲田駅」を結ぶ新線「蒲蒲線」だ。

カマカマ196958A9C93819499E0E1E2E3EA8DE0E1E2EAE0E2E3E0E2E2E2E2E2E2-DSXZZO4530669023082012000000-PN1-12国土交通省と地元の自治体である大田区が、東急電鉄(以下、東急)の蒲田駅と、そこから800m程離れた京浜急行(以下、京急)の京急蒲田駅を結ぶ「蒲蒲線」を新設し、京急空港線と接続する計画案を検討・立案してから久しい。

 

この件について9月5日、東急は、「蒲蒲線」に渋谷と横浜を結ぶ東横線を多摩川線を経由して乗り入れる構想を表明した。これにより渋谷と羽田空港を30分以内で結ぶという。また現在、東京メトロ副都心線に乗り入れている東急東横線を利用することで、新宿や池袋、埼玉方面から羽田空港へのアクセスを大幅に改善させようとの意図も大きい。

但し、「蒲蒲線」が実現しても東急は狭軌(1,067mm)、京急は標準軌(1,435mm)と線路幅が違うため直通運転はできず、乗り換えが必要となる。

 

JR並びに東急蒲田駅と京急蒲田駅の間は前述の通り約800mほど離れている。そのため、東京都の南西部や多摩地区などから東急各線を利用して羽田空港へ向かう路線は乗り換え等で意外と面倒だ。そこで東急側と京急側を結ぶ連絡線を設けることでアクセス改善を図るのが、もともとの構想の要因であった。

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従来案のルートとしては、東急多摩川線矢口渡駅から東急蒲田駅間の途中から地下へと分岐、地下に東急蒲田地下駅を設置する。京急空港線側は大鳥居駅から糀谷駅間で地下へ入り、京急蒲田駅付近の地下に南蒲田駅を設置、東急蒲田地下駅まで延伸して東急とホームを挟んで接続する計画であった。

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しかし6月30日に大田区が国土交通省の交通政策審議会(陸上交通分科会鉄道部会「東京圏における今後の都市鉄道のあり方に関する小委員会」)で示した新たな案は、東急側が東急蒲田地下駅から路線を京急蒲田駅の地下まで延伸して蒲田地下新駅を終点とする、というものだ。もちろんこの案も、将来的には京急空港線まで延長することを含んでいる。ちなみに、整備延長は3.1kmとなっている。

 

大田区は、新線「蒲蒲線」整備の効果について、

(1)大田区内の移動利便性の向上が期待される。

(2)ターミナル機能を持つ蒲田エリアの発展に寄与する。

(3)羽田空港へのアクセス強化が図られる。

(4)東京メトロ副都心線以北エリアとのアクセス性向上が見込まれる。

(5)羽田空港~蒲田~副都心~池袋以北を結ぶネットワークの拡充。

(6)緊急時のう回ルートが確保可能となる。

の6項目を挙げている。

概算の事業費は約1,080億円とされている。その内、国が3分の1、東京都や大田区などの地方自治体が3分の1、整備主体の鉄道・運輸機構が3分の1を負担する。また営業主体の東急と京急が受益相当額として毎年28億1,000万円の設備使用料を整備主体に支払うことになり、鉄道・運輸機構は開業から21年後に黒字転換する計画だ。

 

しかし、この「蒲蒲線」構想には多くの課題・問題点が指摘されている。

(1)路線が短いため、既存の補助制度では単独線としての事業採算性が期待できないことや、整備事業者と他の事業者との調整が困難。

(2)地上が建物密集地のために全線地下線となり、建設費が極めて高額となること。

(3)予定される事業費に関しては、東急、京急ともに一切費用負担はなく、総工費の1/3は大田区が負担するため費用対効果の面から多額の地元負担が問題視されていること。

(4)当初目的の蒲田駅と京急蒲田駅との連絡ならば現在でも路線バスが頻発しており、運賃が100円と低廉であることから建設意義が薄いとされること。

(5)前述の通り、東急と京急では軌間が異なり、本計画が実現しても最低1回乗り換えが生じてしまうこと。

(6)例えば、三線軌条や軌間可変電車(フリーゲージトレイン)を採用しての完全直通運転については、終点の京急羽田空港駅のホームが1面2線しかなく、現状のダイヤ本数をさばくだけでも手一杯の状況であり、仮に直通運転が可能となっても、その増加した利用客に対応できないと考えられが、計画案は羽田空港駅の改良について何も言及していないこと。

しかもルートの新規案では、地下深い蒲田地下新駅から地上の京急蒲田駅への移動距離は長く、アクセスが不便であることは間違いない。

 

上記の様な課題・問題点については、現状では明確な解決のメドは立っていない。

また東急側は、この新線「蒲蒲線」の実現に前向きな姿勢を示しているようだが、京急側は消極的といわれている。

京急の腰が重い理由としては、新たな大規模工事に関わることになるとともに、品川経由の本線の乗客の何割かを東横線に奪われると考えているようだ。確かに、東武東上線や西武池袋線の利用客が、品川を経由せずに東京メトロ副都心線から東急東横線で羽田空港へ向かうようになると、京急本線の利用客が減少する可能性はあるだろう。

 

単なる鉄道ファンの立場としては、新線の建設には期待するところだが、その課題や問題点を鑑みると、そう一筋縄ではいかない建設事業だと思えてくる。

住民や利用客にとって本当に役立つものとなるか、今後の進捗を注意して見守りたい‥‥。

-終-

【続報】10月2日の日本経済新聞によると、国土交通省は羽田空港への鉄道アクセスを改善するために計画している、「新空港線」(蒲蒲線)の2020年までの開業を断念する方針だ。工期が当初の想定を上回るためで、完成を2021年以降に見送るという。東京五輪の開催で外国人観光客の増加が見込まれるなか、鉄道新線の開業がなくなり輸送力の向上が課題となりそうだ。

 

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