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皆さん、オノマトペ(onomatopee)をご存知ですか? 〈1647JKI10〉

低体温写真7ダウンロード皆さん、「オノマトペ」って聞いたことありますか? そういえば、どこかで聞いたことがあるような、ないような・・・。

いったい何のことでしょうか? ものすごく気になったので、調べてみました・・・。

 

お餅の要素を持ったお菓子の商品名に、「もちもち」や「もっちり」、「もちっと」とかをつけると売上はなんと5倍にもなるそうです。「コシのある」「舌触りが良い」などの表現ではダメで、やはり「もちもち」が、私たち日本人にとって購買意欲をそそる言葉/キーワードのようです。

この「もちもち」が、オノマトペ(onomatopee)といわれる言葉の使い方です。日本人には非常に慣れ親しんだ言語の用法で、豊富な情報量を含み、豊なイメージを伝えることができるとされています。オノマトペを使えば自分の感情の微細な部分を表すことができるのみならず、複雑な内容でも簡潔で明瞭に相手に伝えることができます。受け手の解釈次第ですが、普通の言葉では伝えきれない微妙なニュアンスや感覚も伝えることが可能な「音のプチ爆弾」、それがオノマトペなのです。

オノマトペ(onomatopee)とは何か?

フランス語の onomatopée に由来しているようです。本来、この言葉は擬声語を意味するのですが、擬声語とは、擬音語擬態語を合わせたものの総称のことです。

但し、フランス語の onomatopée には擬声語・擬音語の意味はありますが、擬態語は別途、mimetic words とされているようです。

オノマトペは、物事や生き物の様子・動作・感情などを言葉や音声で簡略に表し、その情景をより感情的に表現できる手法として用いられます。簡潔に情景を表現でき、且つ微細な違いを表現可能なため、その利便性や重要性は非常い高いとされています。日本人は数多くのオノマトペを利用することによって日常のコミュニケーションを円滑に行っており、また、日本語はこのようなオノマトペに富む言語だといわれています。

尚、冒頭に述べた通り、フランス語の onomatopée は厳密には日本語のオノマトペとは対象とする範囲がことなります。不思議なことに日本語には、本来の日本語オノマトペに相当するものを表す統一された単語がありません。

日本語にはオノマトペが多い

他の言語に比べて、特に日本語はオノマトペの種類が多く、つまり日本語には擬音語や擬態語がたくさんあるわけです。また同じ形態素を繰り返す(二音節反復型)畳語オノマトペが多いのも特徴です。

英語には、oink-oink(豚の鳴く様子)、音が一部変化して繰り返す tick-tock(時計、心臓などが鳴る音)やding-dong(鐘の鳴る音)などがあります。そして、bumpy(デコボコ)、twincle(キラキラ)なども含めて200~300語ほどのオノマトペがあるのに対し、日本語のオノマトペは、現在、『日本語オノマトペ辞典』に4,500語ほど掲載されています。

しかし実際には、この4,500語以上に日本語のオノマトペは多いと考えられます。この辞典には、最近のマンガなどにあるようなオノマトペは再録されていません。そのようなものを加えていけば、すぐに5,000語程度にはなると思われます。日本語の1%はオノマトペである、という説もあり、つまり約50万語といわれる日本語の100語に1つが、オノマトペなのです。

この様に日本語のオノマトペは、その語数からも非常に重要な役割を担っているので、もしこれがないと、日本語のコミュニケーション能力は大幅に低下することになるでしょう。

外国語、例えば英語では同じ動作に関する細かな違いを表す動詞が数多くあり、動詞そのものの使い分けによって表現を変化させることが可能です。それに対し日本語は、一つの動詞はその動作の基本な意味しか持たず、動詞や形容詞の数も少ないため、動詞に副詞を加えることで表現の幅を広げています。

また、他の言語に比べて日本語にオノマトペが多いもう一つの理由は、音節、つまり音のかたまりの数が非常に少ないことです。 日本語にはアイウエオ~の50音にガ行などの濁音、パ行の半濁音、ニャなどの拗音を合わせても112コしか音節がありません。この少ない音節を補足するために、日本人は「ハラハラ」「ドキドキ」といった、漢字では表せない二音節反復型の畳語オノマトペを数多く発明してきたのです。

こうした擬音語や擬態語の発達で、動詞や形容詞の数が少なくても幅広い表現ができるようになりました。

オノマトペの伝承

我が国ではオノマトペが古来より伝承されており、現在でも、奈良・平安時代の擬音語や擬態語がたくさん受け継がれています。例えば平安時代の『今昔物語集』には、「からから」「こそこそ」「キラキラ」といったような現代でも使用されている言葉がいくつも登場します。ある調べによると、『今昔物語集』に出てくる擬音語や擬態語の内の約53%が、現在も、ほぼ同じ意味で使われているそうです。

しかし、永く受け継がれるものもある反面、オノマトペの世代交代は大変早く、つまり、すぐに新しいものがぞくぞくと登場し、古いものはまるきっり使われなくなることも多くあります。その為、極めて辞書には掲載しにくい言葉となっています。また特定の地域・地方でのみ使用される色々なオノマトペがあり、辞書に載せる標準形が見あたらないことも多いようです。

流行に合わせて新語のオノマトペがどんどん作られると同時に、古いオノマトペがどんどん淘汰されていくことから、現れては消えていく言葉、それがオノマトペなのかも知れません。

外国語にオノマトペが少ない理由

欧米の言語では、そもそも擬声語は正しい言語の本流から離れた低俗で簡略的なもの、女性や子供の言葉であったり、また正式な言語を理解しない人々のものと見なされてきたようです。

たしかに日常会話ではともかく、正規のスピーチや学術論文などではオノマトペが使用させることは極めて稀なことです。

我が国でも、上記の理由からオノマトペの乱用に反対した言語学者や、森鴎外や三島由紀夫などの文学者、作家は多くいます。しかしながら前述のように、その伝統、効用や語数の多さからも、オノマトペの使用は現代日本語に確実に定着しており、オノマトペの使用に制限をかけることは現実的ではないと思われます。

オノマトペが多い外国語

擬態語などが多い言語には、朝鮮語があります。ちなみに朝鮮語では、もともと副詞のはたらきをする擬音語や擬態語に接尾辞を加えることで、動詞や形容詞として使うことができるので、そのため日本語よりも多種多用な数の擬音語や擬態語があるそうです。また例えば朝鮮語には、繰り返しの言葉を使うことでその時間の長短や様子が表しやすいとして、ハルラン-ハルラン(雪が降る様子)、トウッ-トウッ(滴が落ちる様)、ワグル-ワグル(ひしめきあう様子)などの表現があるそうです。これらは、まさしく日本語のオノマトペにそっくりですネ。

オノマトペと日本語教育

私たち日本人の生活は「ドキドキ」、「ドカ~ン」や「バリバリ」、「コロコロ」、「しっとり」などのオノマトペを使用しないと成り立ちません。ところが,英語やスペイン語のような欧米の言語では、オノマトペの活用は極めて少ないのです。

そのため、この様な言語圏の人々が日本語を学習する場合は、日本語のオノマトペが大きな障害となっているそうです。

また逆に、日本文学の作品を英語やスペイン語などの外国語に翻訳する際には、日本語特有の豊富なオノマトペをいかに訳すかが大きな課題となっています。

更に、日本語の教材でオノマトペがあまり取り上げられていない理由には、先に述べた、オノマトペを子供の言葉・幼児語だとして、語学の学習としては適当ではないと考えられていることがあげられそうです。また日本語オノマトペの特質を理解せずに、例えば擬音語は、耳にした音をそのまま音にしただけの言葉であり、わざわざ学ぶことに価値はない、とされているのかも知れません。

オノマトペと広告・宣伝効果

オノマトぺによってイメージをダイレクト伝えることで、受け手の印象を深くすることが可能です。特に広告・宣伝などで使用すると、その効果は非常に大きくなります。

企業が自社についてまたは自社製品について、他社との差別化を図りその性能や機能を説明し、消費者・購買者の興味を引くためにはオノマトペは便利な表現方法です。

オノマトペは、言葉としての口当たりの良さや読み易さのみならず、音声表現とした場合にはリズムやメロディーが付け易く、音楽性、感覚性、親近性に富む表現ともなります。これにより、オノマトペを用いた商品名、宣伝文句、キャッチフレーズ、そしてコマーシャル・ソングからは、その商品がどういったものであるのかを、消費者・購買者は直観的で瞬時に理解し、記憶に留め易くなります。

また、新聞、雑誌などの見出しでも、オノマトペを使用することでその記事がどういった趣旨・内容であるのか、どういったニュアンスで著わされたものなのかが容易に推測でき、読み手に興味・関心を喚起させ易くなります。

オノマトペの活用と現状

日本文化の中でも、特に漫画(マンガ)とオノマトペの親和性は高いと考えられます。

視覚という要素が大変重要な漫画(マンガ)の世界では、オノマトペがあらゆる場面で使われ、その文字の種類・表現や大きさ、配置を工夫することで、あたかも映画やテレビの様な動的で、現実感や臨場感を得る効果が期待されています。

オノマトペ本来の物事の様子や状態を表す効果を高めるため、吹き出し内の台詞などの言葉と違い、オノマトペの文字は自由なレイアウトで表記されることが多いようです。例えば、迫りくる敵の集団を表すオノマトペなどは、敵が近づく距離やその規模や勢いと連動して描かれます。文字の大きさの変化やその表現を見て、読者はまるで現実のように敵が迫る情景を意識することが可能となり、そこに臨場感を感じるのです。この様に、その場面の状況を表す方法として、漫画(マンガ)にオノマトペは欠かせません。

以前から漫画(マンガ)に対して、オノマトペの多用があまりに直接的で幼稚な表現ばかりを招いているとして批判があるようですが、静的で平面の媒体である、つまり表現方法に制約が多い漫画(マンガ)が現実感や臨場感をだすための有効な方法として、オノマトペの活用は物事の様子や状態を具体的に表わすためには絶対必要なものと考えられます。

 

医療現場では、以前より症状に関して、オノマトペによる聞き取りが行われてきました。最近では、うつ病や不安障害などの場合に、普通の言葉では表現できない不安や感覚を患者さんにオノマトペで表現してもらい、きめ細かな病状・症状の把握に活用しています。

もともと、痛みや不快な症状は客観的な数値で表すことが困難で、個人的かつ非常に主観的な体験です。そこで、患者自身の言葉から少しでも多くの情報を得て治療に役立てることが肝要で、その際の患者の表現としてオノマトペが重要だと考えられています。

 

スポーツ界でもオノマトペの活用が進んでおり、10年前に比べてスポーツ理論が飛躍的に進化して、各種のスポーツ専門用語も30倍にも増えたそうです。そのため、従来の言葉では説明しきれないスポーツに関する情報を、オノマトペを駆使して選手に伝えることが多くなったそうです。

新たな運動の技術・方法を学ぶ上で、難解な用語を駆使するよりも「ヒュンヒュン」とか「びゅ~ん」、「シュンシュン」といった表現の方が解り易い場合があるそうで、まるでこれは長嶋茂雄氏の世界ですね、きっと。でも、運動のリズムを掴む上では、音に例えるのは間違いないでしょう。

またスポーツ選手のシャウト効果との関係性も興味深いものがあります。シャウト効果は大声を出したり奇声を発することで、一時的に制限されている最大筋力を発揮したり、精神的に極限まで集中するもので、いわゆる火事場の馬鹿力、というやつです。もちろんシャウト効果=オノマトペではありませんが、昨今、呼吸法にも関連してスポーツ・オノマトペ(スポーツをしている時に発せられる擬音語など)の研究は進んできたようです。

 

オノマトペは近年、言語学ばかりでなく様々な学問・科学分野から注目を浴びており、特に心理学や認知科学におい て言語発達や原初言語との関連,表現としての普遍性や特殊性などといったテーマで盛んに研究が進められています。

また人間工学の分野では、利用者(ユーザー)が抱いた「表現が難しいもどかしいもの」「モヤモヤとしたはっきりとしないイメージ」といった曖昧な意味 fuzzy が含まれているオノマトペ表現を、機器やシステムのユーザーインターフェースに活用することで,機器やシステムを利用するユーザへの操作支援や認知的負荷の軽減が実現できるかも知れない、とも考えられています。

 

面白い例としては、国会でオノマトペが頻繁に使われていることがあげられます。2007年には年間15,000回だったのが、2013年には、年間40,000回に増加しているそうです。我が国独特のオノマトペの使い方が、国会という最も公的な機関でも通用するところが興味深く、諸外国では考えられない現象と思われます。

 

現代の多様化・複雑化する社会のなかで、自分の意思を表現するための語彙が不足していると感じることがあれば、その時はオノマトペが助けてくれることでしょう。一般の言葉と比べて、臨場感に溢れ,繊細な表現を可能としているというオノマトペが、日本の文化を支えていることは間違いありません。 

ところが、日本語のオノマトペは、諸外国の言語の中でも少数派の言語表現であり、日本語を学ぶ外国人には理解しずらいもののようです。

しかし、感性豊かな日本人だからこそ、独特の日本語オノマトペが発達したのは間違いありません。言語とは、その国の風土や文化、国民性が根底にあって生まれるものであり、そして日本人の繊細な音感やリズムといった感覚・表現みたいなものがぎゅっと凝縮されて発達してきた言語表現が、日本語オノマトペなのだと思います。

-終-

 

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