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『ショック・ドクトリン(The Shock Doctrine)』-2、新自由主義とシカゴ学派経済学者の陰謀!?  〈248JKI28〉

『ショック・ドクトリン』の意義

最後に本書の意義としては、シカゴ学派の悪だくみ? を明らかにしただけではなく、彼らによる新自由主義的な国家改造の企てが、常時、アメリカ合衆国の対外政策と結び付いていたことを明確にした事が挙げられる。

既に見てきた様に、新自由主義者たちは一つの国家の成り立ちを破壊し、新自由主義的な国家へと改造するということを複数の国家で実験してきた。

チリにおけるピノチェトのクーデターとその後の人権弾圧や、ソ連崩壊と東欧革命がもたらしたロシア・東欧圏の混迷、またアフガニスタンやイラクでの戦争とその後の中東地域の大きな混乱などは、一見個別の国際的事象に見えるが、実はこれらの出来事がここ数十年来にわたりアメリカ合衆国に拠り、同国政治に大きな影響力を行使してきたシカゴ学派による新自由主義的国家改造の所産であることをナオミ・クラインは暴いたのである。

 

【『ショック・ドクトリン』 下巻目次】

第12章 資本主義への猛進
――ロシア問題と粗暴なる市場の幕開け

第13章 拱手傍観
――アジア略奪と「第二のベルリンの壁崩壊」

第五部 ショックの時代 ――惨事便乗型資本主義複合体の台頭

第14章 米国内版ショック療法
――バブル景気に沸くセキュリティー産業

第15章 コーポラティズム国家
――一体化する官と民

第六部 暴力への回帰 ――イラクへのショック攻撃

第16章 イラク抹消
――中東の“モデル国家”建設を目論んで

第17章 因果応報
――資本主義が引き起こしたイラクの惨状

第18章 吹き飛んだ楽観論
――焦土作戦への変貌

第七部 増殖するグリーンゾーン ――バッファーゾーンと防御壁

第19章 一掃された海辺
――アジアを襲った「第二の津波」

第20章 災害アパルトヘイト
――グリーンゾーンとレッドゾーンに分断された社会

第21章 二の次にされる和平
――警告としてのイスラエル

終 章 ショックからの覚醒 ――民衆の手による復興へ

訳者あとがき

原 注/索 引

 

「むすび」にかえて 

自然災害や原発事故以外にも、尖閣諸島の領有権争いや従軍慰安婦問題などの外交課題、そして世界的な感染症の恐怖など、我国にも『ショック・ドクトリン』の付け入る隙はたくさんあるように思われるが、如何であろうか!?

そして少し前、九州の熊本や大分地方などを大規模な地震災害が襲った・・・。東日本大震災以降、完全に活動期に入ったといわれる我国の地震と火山活動。全国各地に危険な場所がたくさんある、この日本において、発災後の混乱の中で被災者に忍び寄る『ショック・ドクトリン』を決して許してはならない・・・。

 

また、今年(2016年)のアメリカ合衆国の大統領選挙に向けた予備選挙で旋風を巻き起こした二人の候補者、ドナルド・トランプ氏(共和党)とバーニー・サンダース氏(民主党)。残念ながらサンダース氏はクリントン氏に敗れたものの、なんと見事にトランプ氏は共和党の大統領候補を勝ち取った。

現在、米国においては、この二人の台頭はグローバリズムや新自由主義へのアンチ・テーゼと見ることが出来ると考えられている。彼らの問題意識は、新自由主義的な政策によってアメリカ合衆国の国内で噴出している数々の問題にあるのだ。サンダース氏は自らを民主社会主義者と名乗り、トランプ氏は極端な保護主義的政策を打ち出しており、いずれもワシントンやウォール・ストリートの既成勢力に媚びない人物でもある。

また、どちらもグローバリズムへは懐疑的なスタンスをとる候補者であり、これは世界的にもグローバリズムの終焉の動きが出てきている証拠とされている。そして両候補の共通点で重要な点は、「スーパーPAC」の活用に関して明確に拒絶を表明をしている点だ。

 

今回の大統領予備選挙の推移をみると、ここ数十年にわたり、新自由主義のお膝元であり牙城であったアメリカ合衆国において、新たな反自由主義の息吹が芽吹き始めたのは確かな様であり、今後の展開には要注目である・・・。

-終-

 

【速報】2016年6月24日、国民投票で英国のEU離脱が決まる!! この離脱派の主張も、米国大統領選挙共和党候補のドナルド・トランプ氏と同じく、反グローバリズムで保護主義的政策といえるものだ・・・。

『ショック・ドクトリン(The Shock Doctrine)』-1、火事場泥棒の資本主義は本当にあるのか!?・・・はこちらから

 

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