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懐かしの時刻表を「読む」その9 多層建て列車ってなに?〈17/38TFU03〉

IMG_0008「多層建て列車」をご存知ですか?本来、行き先の違う2つの列車が、共通する一部区間を併結して運転する列車を、2階建て列車といいます。3つだと3階建て。このようにいくつかの列車が、分割併合(くっついたり、離れたり)するのが「多層建て列車」なのです。現在でも、東北新幹線「やまびこ」と秋田新幹線「つばさ」の併結など、いくつか見られます。しかし、いつもの1966年の時刻表で、とんでもない「多層建て」を発見しました!

 

それは上野から東北方面に向かって走る急行「第一みちのく・陸中」号です。この列車はディーゼル急行でした。ディーゼルは非電化区間を走れるために、ローカル線区にも乗り入れられるメリットがありますが、同時に短い編成で走れるために、分割併合には適しているのです。普通は分割併合というと、「前*両が**行き、後ろ*両が**行き」のように、すっぱりとどこかで切り離されるイメージがあります。しかしこの列車、そんなわかりやすいものではなかったのです。文字で説明しても、さっぱりわかりませんので、順を追ってストーリー仕立てでまとめてみます。

 

まず、上野駅を出発するときの編成表です。上野駅8番線ホームに入線。ディーゼルカーばかり12両。堂々たる編成です。さぞや、ホームはエンジン音と排気でやかましかったことでしょう。

 

こちらが上野出発時点の編成。

プレゼンテーション155すでにこの時点で行先も列車名も別れています。混乱はなかったのでしょうか?指定席はいいとして、自由席の人は目的地に向かって、自分がどの車両に乗ればいいのかわかったのでしょうか。車掌さんや駅員さんの混乱が見えるようです。

 7時40分、12両の列車は上野駅を発車し、なぜか常磐線を経由して一路、北上します。IMG_20150308_0001荒川、江戸川、利根川を渡り、霞ヶ浦や筑波山を遠く眺め、太平洋を望みながら仙台の先、小牛田に13時54分到着。ここで最初の切り離しが行われます。「こけし」や温泉で有名な鳴子方面に向かう2両とここでお別れです。(ちなみにこの2両の「第一みちのく」号は鳴子に14時51分に到着します。)

 

プレゼンテーション156

10両は小牛田を発車。仙台、北上などの駅に停車しながら、14時38分に一ノ関着。

 

ここで2回目の切り離しです。今度は「陸中」号の盛(さかり)行きの2両とここでお別れです。(ちなみにこの2両の「陸中」号は盛に17時14分に到着します。)

 

8両は一ノ関を発車。15時37分に花巻に到着。ここで3回目の切り離しです。今度は「陸中」号の宮古行きの3両とここでお別れです。(ちなみにこの3両の「陸中」号は宮古に18時53分に到着します。)「陸中」号はすべていなくなってしまいました。

 

「第一みちのく」号だけになった5両は一ノ関を発車。16時12分に盛岡に到着します。さて、ここで信じられないようなことが起こります。どこからともなく、2両のディーゼルカーがやってきて、連結してしまいました。行先は「久慈」行き。急行「うみねこ」という列車名を名乗っています。

 

5両の「第一みちのく」+2両の「うみねこ」の7両は、盛岡を発車し、18時32分に尻内に到着します。すると、さきほどの「うみねこ」が切り離されてしまいました。4回目の切り離しです。(ちなみにこの2両の「うみねこ」号は久慈に20時10分に到着します。)おいしい獲物を狙う、要領のいい、まさに海猫のような列車でした。プレゼンテーション1556

 

再び「第一みちのく」号だけになった5両は、夜の津軽平野を走り、20時17分に青森到着。ここで5回目の切り離しです。上野から行動を共にしてきた3両の仲間と、ここでお別れです。この3両は、ここ青森止まりなのです。

 たった2両になってしまった「第一みちのく」は青森から進行方向を変え、弘前を抜けてついに終点の大鰐に21時25分にゴールします。上野駅を出たときは12両の堂々たる編成、約14時間の時を経て最後はたったの2両。出会いと別れを繰り返し、実にドラマチックな旅でした。IMG_20150308_0002

 

今では考えられないような、多層建て列車。いかがでしたか?この手の記事を書いていて思うのは、はたして乗りとおした人はいたのでしょうか?トラベルミステリーが何本も書けそうな、不思議な列車。一度、体験したかったと思います。

 

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