【超入門】 フライトジャケットについて 〈13JKI00〉
Type G-1
米国海軍のパイロット用のフライトジャケット。1986年公開の映画『トップガン』で、主演のトム・クルーズ演じる空母艦載機F-14「トムキャット」のパイロット、「ピート・“マーヴェリック”・ミッチェル大尉」が着用していたのがG-1で一躍注目を浴びた。制式採用は1947年頃であり、以降80年代の終わりに至る迄、マイナーチェンジされながら継続使用された。A-2にボア襟を取り付けた様なフォルムで、脇部分のアクションプリーツなどが特徴。また当初採用のこのモデルの襟裏に付けられたストラップの形状は、その後の物と比べ直線的な形の物が付けられていた。
G-1の歴史は古く、1920年代に開発されたM422が御先祖様だ。ゴートスキンで作られムートン襟というスタイルも受け継がれてきた。その後、AN-J-3Aなどを経て55J14(G-1)となる。因みにAN品番のAとNは「ARMY」「NAVY」を意味し、両軍の共用品であるが、ライバルの両軍には相容れず50年代には廃止された。
⇒ ミリタリーブランドの雄、AVIREX社からマーヴェリック着用の『TOPGUN』モデルがリリースされている。実際のG-1よりやや細身に作られ、日本人にもフィットするサイズ。映画での主人公の着衣と同様のパッチが雰囲気満点だ!!
因みに「トップガン(TOP GUN)」とは、戦闘機パイロットのトップエリートを養成する為の合衆国海軍戦闘機戦術教育(United States Navy Strike Fighter Tactics Instructor:SFTI)プログラムを行うアグレッサー部隊(軍の演習・訓練において敵部隊をシュミレートする役割を持った専門の飛行隊)の通称である。
尚、“マーベリック”が着ているフライトジャケットは民生品のG-1タイプで、映画では実物の軍支給品ではなく父親の遺品という設定だが、縫い付けてあるワッペンなどが非現実的な組合せで実際の海軍エヴィエイター(海軍パイロット)たちの失笑を買った、というエピソードがある。
Type MA-1
WWⅡ以降、多くの軍用機の飛行高度がより高くなり、フライトジャケットに付着した水分が氷結して搭乗員の活動の妨げになることが分かってきた為、それまでの革製ではなくナイロン製のフライトジャケットの製造が検討された。そこで1950年代初頭にB-15シリーズの後継モデルとして米国空軍が開発したのが、このMA-1である。特徴としては、ヘルメットのハードシェル化に対応して襟のムートンを省略し、軍用機内での活動がし易い様に凹凸の無い極めてシンプルなデザインとなっていることだ。また内側はインディアン・オレンジで、外側はセージ・グリーンというくすんだ緑色になっている。MA-1のゾーンはインターミディエイト、すなわち△10℃から10℃の機外適応温度地域で着用される。このフライトジャケットは米国海軍や米国陸軍にも採用され、合衆国全軍の定番フライトジャケットとなった。更に改良が加えられながら派生モデルまで含めると80年代まで生産が続けられた。フードが付けられたN-2Bタイプや、更に丈が長いコートタイプのN-3Bなどがある。
非常に長きにわたり生産され続けたミリタリージャケットの歴史に名を残す大傑作で、通常のファッションアイテムとしても世界中で定番と化したモデル!!
さて、男の子ならば一着は欲しいフライトジャケット。君ならばどのモデルを選ぶかな?
-終-
【本稿は2013年11月27日初出の記事ですが、その後、加筆・修正等が行われています。】
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