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去りがたい夏のホームで

上野駅から東北・高崎方面に向かつてひとつ目の駅が「尾久」駅です。あまり馴染みのない、マイナーな(失礼)駅かもしれません。
東京方面から下り進行方向左手、広大な客車区の広がる鉄道マニアにはこたえられないエリアです。
かつては、北に向かう夜行列車のねぐらで、側線には青い車体の客車がゴロゴロしていました。
上野に帰ってきた列車は、ここで清掃や整備・点検を受け、夕方には寝台のセットを終えて、再び夜の鉄路に戻っていったものでした。
ところが、ここ数年で客車列車がめっきり減ってしまうと、このエリアに駐泊する列車もすっかりいなくなってしまいました。

今はどうなっているんだろうと思い、用事も無いのに上野東京ライン直通の電車で、尾久のホームにふらりと降りてみました。
15両編成がフルに停まれるほど長く、ゆるやかにカーブしたプラットホーム。
乗降客も殆どおらず、目の前には夏草の生えた錆ついた側線が広がっています。
「北斗星やカシオペア」の旅行を誘う手書きの看板が、哀愁を誘います。
入替用のDE10形ディーゼル機関車と、臨時用に一本だけ残った最後の北斗星用の編成が、寂しそうに昼寝をしていました。

ホームのベンチに腰をかけて、自動販売機で買ったペットボトルのお茶を飲みながら、側線から吹きわたってくる生温かい風に吹かれていました。
その風には夏草の匂いに混ざって、鉄や機械油の臭いがかすかにしました。
私は、なんとなくその場から、離れるのがつらく、冷房の効いた待合室にも入らずに、目の前の光景を素肌で感じようとしていました。
汗をぬぐいながらいつまでも私はホームのベンチで静かな時間を楽しんでいました。

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