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【刑事ドラマ大全 -1】嘘と間違いだらけ・・・それでも大好き刑事ドラマ!! 〈22JKI35〉

さて『警視庁捜査一課9係』と同様に、TBS系列の佐々木蔵之介さん演じる安積剛志警部補を警視庁神南警察署の刑事課強行犯係長とする『ハンチョウ〜神南署安積班〜』(今野敏さん原作)という刑事ドラマでも、強盗殺人事件等の凶悪犯罪が発生しても捜査本部が設置されることは少なく、ほとんど主人公たちの所轄署・刑事課強行犯係のみで捜査を行っていく。更に続編シリーズの『ハンチョウ〜警視庁安積班〜』の第1シーズンでは、安積は警部補の階級で捜査一課特捜一係という部署(実際に以前、捜一の第5強行犯捜査に所属していた特別捜査第1係のことか?)の係長(係長ならば警部)となっている。しかも奇妙なことに、この部署は係長を含め4名という小さな所帯なのだ。

また警視庁の捜査一課3係が舞台の刑事ドラマに、テレビ東京の2時間ドラマで2008年から放送されている『刑事の証明』シリーズがある。原作は森村誠一さんで、村上弘明さん扮する広瀬和宏警部が警視庁刑事部捜査一課3係の(係長ではなく班長という役どころ。彼の上司に警視庁刑事部捜査一課管理官の那須恵一警視(加藤剛さん)がいる。この広瀬班長警部単独でどんどんと捜査に赴き、周囲を顧みないKYな人。

同様のタイプの刑事ドラマには同じ村上弘明さんが主人公を演じる『警視庁南平班〜七人の刑事〜』がある。TBS系の2時間ドラマで2009年から放送されている刑事ドラマシリーズだが、同系列で過去に放映された名作刑事ドラマ『七人の刑事』との関連は特に無い。村上さん演じる南部平蔵は階級は警部だが、この劇中でも班長と呼ばれている。警視庁刑事部捜査一課が舞台である為、彼は係長のハズで、ここでもテレビはどうしても村上弘明さんを班長にしたがる様だ。そして(所轄や他の一課部署を排して)班単独で事件を追う流れもゆるがない…

村上弘明さんも刑事役が多いが、彼が妙に女子力の高い刑事(警視庁捜査一課比嘉班所属、早乙女史朗警部補)を演じるテレビ朝日系の2時間ドラマ『ふぞろい刑事』での彼の相棒役(鬼塚桂刑事)・真矢ミキさんの元マル暴刑事がなかなかハマリ役。また村上さんは同じくテレビ朝日系2時間ドラマ『将軍刑事』で、歴史オタクの銀座中央署刑事課係長・将野軍平警部補を演じているが、番組のレベルは刑事ドラマとしては残念ながら論外で、あまり触れたくはない(笑)。

同じく村上弘明さんが警視庁刑事部捜査一課の田代俊一郎警部を演じるテレビ東京系『松本清張特別企画 犯罪の回送』2018年7月2日放送)では、田代の所属は捜一とだけ明らかにされそれ以外の情報はない。だが彼は階級からは係長級であるのに、机も管理職席ではなく島席の一つを使用部下も(当該事件に絡むのは)岡本和也警部補(平岡祐太さん)と青木奈津美巡査部長(田中道子さん)の2名のみと何となく不思議な設定であった。

また同じシリーズとも云える同局の『松本清張特別企画 喪失の儀礼』(2016年3月30日放送)では、村上さんは静岡県警捜査一課の大塚京介刑事を、剛力彩芽さんが新人で大塚の後輩刑事の田村美咲を演じていた。但し同じタイトルの番組が、2003年12月3日にもテレビ東京で放送されており、大塚刑事は福島県いわき中央署の所属で演者は大地康雄さんだった。ところが同作品は、1994年1月18日に日本テレビ系列でも『松本清張スペシャル 喪失の儀礼』 として放送されていた。ドラマの舞台は仙台に変更されており、古谷一行さん演じる大塚刑事は仙台中央署の所属である。ちなみに松本清張さんの原作の方は、名古屋のホテルと深大寺で起こった医師連続殺人事件の謎を追うミステリー長編であり、大塚は名古屋中署のベテラン部長刑事(巡査部長)であった。

更にテレビ東京の松本清張関連作品には、2017年5月10日放送の『松本清張没後25年特別企画 誤差がある。配役は山梨県警捜査一課の山岡慶一郎主任刑事に村上弘明さんが、その部下の女性刑事を剛力彩芽さんが務めた。尚、この一連の(松本清張関連の)作品には、村上さんの他に陣内孝則さんが出演、いずれも重要な役どころを演じていた。偶然かも知れないが、刑事ドラマに数多く出演されている村上さんも陣内さんも、コメディータッチを避けて抑え目の演技に徹した方が好ましい結果となることは間違いないのだが‥‥何故だか、おちゃらけた演技を時々ぶっ込んでくるのだ。

『刑事 犬養隼人』も、2015年と2016年にテレビ朝日系で放送された刑事ドラマ。主人公の犬養隼人(沢村一樹さん)は警視庁刑事部捜査一課所属の刑事で階級は警部補。彼はドラマの中では麻生班所属とされているが、渡辺いっけいさんが演じる班長(係長ではない)の麻生は警部であり、この番組でも係と班の呼称の違いや関連性が曖昧だ。ちなみにこのドラマ、全体としては堅実な作りだが、それほどの緊迫性も謎解きの醍醐味も感じられない。

また沢村一樹さん主演の近作刑事ドラマ(2018年4月)に、テレビ朝日系の2時間ドラマ『CHIEF~警視庁IR分析室~』があった。警視庁IR分析室の主任である深町功太郎(沢村一樹さん)が主人公であるが、その階級などは不明(劇中では触れられていない)。当該のIR分析室が捜査一課に所属していることは確かだが、その活動内容には特にIR分析室という名に相応しい格別の情報分析力や新規性は見受けられない。全体のトーンは悪くないが、これといった特色が感じられなかった。当然、現実にはこの様な部署は(現在のところは)存在しない。

テレビ朝日系2時間ドラマの『刑事一徹』は、警視庁刑事部捜査一課8係の主任である哀川翔さんが演じる丹下一徹警部補が主人公。彼は周囲からはデキる刑事と思われて一目置かれているが、実のところは極度の心配性であった…。

更に同じ本庁8係を舞台にした刑事ドラマが、2017年1月から放送されたフジテレビ系『嫌われる勇気』。香里奈さんが演じる警視庁刑事部捜査一課8係所属の庵堂蘭子警部補が、アドラー心理学の知識を用いて灘事件を解決へと導く。但し、この主人公はかなりの一匹狼、不愛想でマイペースな人物。そして彼女の属する8係も『警視庁捜査一課9係』と同じく係長以下6名と小世帯で洒落た専用ルームを所有、しかもキャリア警察官が係長の下で情報収集担当をしているという変わった設定。またこの少人数の係だけで事件を解決しようと動く様子は、お決まりの展開である。

同じく心理学がモチーフの作品には、2011年放映の刑事ドラマでフジテレビ系の『CONTROL〜犯罪心理捜査〜』がある。このドラマは、理論的で偏屈過ぎる心理学教授・南雲準(藤木直人さん)が警視庁に新設された架空の凶行犯捜査課分室のメンバーとして松下奈緒さん演じる瀬川里央室長(警部補)とコンビを組み、人間心理と行動分析によって様々な凶悪事件を解決していくというもの。主人公が警部補の階級で分室の室長であるのはおかしいが、実際には存在しない凶行犯捜査課の課長が勝村政信さん扮する小板橋正次警視で、佐藤二朗さん演じる木下由紀夫鑑識課長が警視であるのは、実態通り。ちなみに実際の警視庁刑事部の捜一の課長には(ノンキャリアの)鑑識課長が警視正に昇進して就任することが多いと聞く

また、警視庁刑事部捜査一課のナンバー係(現実は殺人犯捜査第1~第9係)を舞台にした刑事ドラマには、架空の15係の“部屋長”を主人公としたその名もズバリのテレビ朝日系『ヘヤチョウ』があった。主演は内野聖陽さんで、捜一15係 の部屋長(最先任の部長刑事)を演じていた。ところでこの部屋長とは何かと云うと、かつての捜一には現在の様な係制度がなく、また大部屋ではなく小さな刑事部屋(デカベヤ、「1号室」とか「4号室」とか号数で呼ばれていたそうだ)単位の組織で活動しており、其々の部屋を仕切る先任格の部長刑事を部屋長と呼んでいたとされ、現在の用法はその名残りであるとされ、即ち、各係の最古参の部長刑事のこと。

尚、ここで今更ながらではあるが、“刑事”とは「犯罪捜査に従事する巡査部長と巡査(巡査長含む)」のことであり、警部補以上の管理職は含まないことに触れておこう。その為、本稿に記載している刑事ドラマにおいても、題名等について厳密な意味ではこの定義に違反するものがあることをご了承願いたいものである。

 

しかしここまでくると、冤罪で10年間服役していた異色の経歴を持つ刑事の活躍を描いたテレビ朝日系列の『スペシャリスト』(草彅剛さん)など、その組織や活動ぶりの破天荒さにいちいち目くじらを立てても仕様が無いというものだ。『スペシャリスト』の筋立てはなかなか面白かった(好評で続編も作られた)が、その特異な設定は海外ドラマを意識し過ぎといった感じが強い。

冤罪を扱ったドラマは幾つかあるが、刑事が主人公のものは意外と少ない。テレビ朝日の『冤罪死刑』(椎名桔平さん)も新聞記者が主人公だったが、冤罪を引き起こした警察側の人物を主役として描くのはやはり難しいようだ。

冤罪事件の再捜査を扱ったものにテレビ東京系の堂場瞬一サスペンス「検証捜査」がある。主演は仲村トオルさんで、伊豆大島署へ左遷された元警視庁捜査一課の敏腕刑事・神谷悟郎を演じている。共演には、主人公たち再捜査チームと対立する神奈川県警の捜査一課管理官・重原功役の市村正親さん他多数。内容の、神奈川県警が引き起こした過去の冤罪事件解明の為に、警察庁刑事企画課の理事官(滝藤賢一さん)をトップに全国から刑事や監察官(角野卓造さん)を集めて捜査チームを作るという発想からして、現実には相当ムリがありそうだが、題名通り堂場瞬一さんの原作によりそれらしく感じてしまう筋立てだ。だが多数登場する警察官たちの階級の正当性や対立する互いの応酬を見ていくと、そこには叩けば埃が沢山出てきそうだが‥。

 

さて冤罪とは異なるが、過去の未解決事件をめぐる刑事ドラマとしてはフジテレビの上戸彩さん主演の『絶対零度』が、警視庁刑事部捜査一課内に設置された時効直前の未解決事件を検証しなおす専従捜査部署(特命捜査対策室)に範をとった物語だった。

同様の未解決事件に挑む刑事ドラマとしては、テレビ朝日『天使と悪魔-未解決事件匿名交渉課-』がある。主演は警察官役の剛力彩芽さんと弁護士役の渡部篤郎さん。司法取引によって未解決事件の真相に迫るという、現在の日本国内では相当に強引なストーリーだった。

近作(2018年4月~)には、フジテレビ系『シグナル 長期未解決事件捜査班』がある。三枝健人(当初は警視庁城西警察署地域課の巡査、後に捜一未解決事件捜査班の警部補)役の坂口健太郎さんが主演、長期未解決事件捜査班の桜井班長を演じた吉瀬美智子さんも意外と言っては失礼ながら好演。本作は、2016年放送の韓国ドラマのリメイクであり全体のトーン(ダークでシリアス)や構成(犯人との駆け引きやトリックも冴えている)はしっかりしているが、ベースとなる時効の設定に難がある。

我国(日本)では、このドラマの当初の時代設定(2010年)では「人を死亡させた罪であって死刑に当たる罪」の場合の公訴時効の期限は15年ではなく25年であった(2004年12月に法改正があり延長、翌年1月1日施行)。更にその後の2010年4月に同内容の公訴時効期間は撤廃(結果として死亡させても死刑に当たらない罪は内容により時効期間が存在し、各々異なる)される。当該ドラマでは2010年段階で15年を前提に物語が進行していく。これは韓国での設定の影響かも知れないが‥‥、肝心な点に疑問が残ることは、誠に残念だ。

同じ様に未解決事件に挑む刑事を描く、波瑠さんが矢代朋巡査部長を務める連続ドラマ『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日系)。原作は麻見和史さんの小説『警視庁文書捜査官』だが、物語の舞台は捜一の特命捜査対策室第6係(第6係は架空の部署)だ。波瑠さんはいつもの(ややエキセントリックで)クールな役柄ではなく、珍しく明るく元気な性格の刑事を演じているが、共演の先輩文書捜査官・鳴海理沙役の鈴木京香さんがワンパターンながら貫録の演技だ。他の共演者には、古賀清成特命捜査対策室長(警視)を演じる沢村一樹さんや同第6係長役の高田純次さん、主人公の同僚で主任の草加慎司警部補役の遠藤憲一さんなど。

尚、この番組は同じテレビ局の刑事ドラマ『警視庁・捜査一課長 シーズン3』ミニ・コラボ、『~捜査一課長』の第2回目の放送途中において庁舎内の廊下で内藤剛志さん演じる大岩課長と矢代巡査部長の二人がすれ違いざまに言葉を交わす場面があり、番組の最後に再び二人が登場して『未解決の女~』初回放送のPRを行うという寸法。そして『未解決の女~』第1回放送の最後に大岩一課長が特命捜査対策室第6係を訪問し矢代巡査部長他を激励する但し、最初の二人の遭遇については、引き続いて放送された『未解決の女~』初回を見ないと、(面白い演出ではあるが)の場面の意味はほとんど解らない『~捜査一課長』木曜8時~の初回放送が一週間早い為に放送回数にズレがあり、『~捜査一課長』2回目の後に『未解決の女~』木曜9時~の初回が放送された)即ち、『未解決の女~』の冒頭で、捜査上で心身共に大きな傷を負った主人公のことを、上司の一課長が配慮して特命捜査対策室第6係に異動させたことがドラマの発端となっているのだ‥‥。更に、この後も互いに最終回を迎えるまで所々でコラボが続いた。

また細かい点だが、矢代巡査部長の当初の所属に関しては、劇中、事務所大部屋の吊り下げプレートには「殺人犯捜査第5係」とあり(これは現実の通りで正しいが)、直後に登場する上司の光石研さん演じる川奈部孝史係長がテロップでは「強行犯捜査5係 係長」となっていたが、これでは先の場面と矛盾が生じ、正しくは「殺人犯捜査5係 係長」であると思う。

ところで、テレビ朝日の番組HPでは同部署は「第3強行犯捜査・殺人犯捜査第5係」と表示されており、これはこれで正しいのだ。

実際の警視庁捜査一課内の「第○強行犯捜査」という名称は、特定の管理官(複数の場合もあり)の下に複数の係が属している状態(グループ)を表しており、筆者の知る限りでは第1強行犯捜査から第7強行犯捜査までが存在している。但し「殺人犯捜査係」を有するのは第2から第4まで(殺人犯捜査第1から第12係までが各四個係づつ所属)で、第1強行犯捜査には強行犯捜査第1係(庶務担当)・第2係(現場資料班や初動捜査班)・第3係と科学捜査係などが、第5強行犯捜査には特別捜査第1係が、第6には強盗犯捜査第1係から第6係と性犯捜査第1係・第2係、第7には火災犯捜査第1係と第2係が所属している。また同じ様なグループに第1特殊犯捜査(特殊犯捜査第1から第3係が所属、誘拐や人質・立て籠もり・爆破・ハイジャックなどの特殊犯罪対策の係で、通称SIT)と第2特殊犯捜査(特殊犯捜査第4係が所属)があり、通常、これらの中で殺人事件等の帳場に入り捜査に当たる部署は殺人犯捜査第1係から第12係までと特別捜査第1係、そして特殊犯捜査第4係の合計14の係であり、捜査一課に属する13名の管理官の内8名がこの14の係を率いて殺人事件の捜査に就いている。

※上記の警視庁捜査一課の編成はその後に改編されて、「殺人犯捜査係」は第1から第3係が第2強行犯捜査、同第4と第5係が第3強行犯捜査、同第6と第7係が第4強行犯捜査、同第8と第9係が第5強行犯捜査の所属に改組された。また2010年の殺人事件に関する公訴時効の撤廃を受けて、未解決事件の継続捜査を主な担当とする新設の特命捜査対策室の傘下に旧殺人犯捜査第10から12係と旧第五強行犯捜査の特別捜査第1係が、新たに特命捜査第1から第4係として改編して配されたが、その他の部署は原則として改正前と同じ(但し特殊犯捜査第4係は、特殊犯に係る重要特異事件を担当とされている模様)である。本稿では極力新編成で表記しているが、上記の様に旧体制が混在している部分もあることを了解願いたい。

つまり実際にも殺人犯捜査第5係は第3強行犯捜査(グループ)に属しており、これは現実に即していて大正解なのである。

尚、同ドラマの中で矢代巡査部長が後の場面で自分は「強行班」に在籍していたと発言しているが、これも係の上位組織の「第3強行犯捜査」グループのことを意識しての言葉の可能性もあるだろう。だが筆者も、現実に(現在でも)「殺人犯捜査係」が「強行班」と通称されているのかは知らないし、上記の様に強盗や火災犯に対応する第6や第7強行犯捜査(グループ)も存在するので、「強行」の文字が殺人担当刑事に直接結びつくかは多少疑問がある。

更に、数多くの刑事ドラマにおいて、この用語(「殺人犯捜査係」と「強行犯捜査係」)の混在や混乱した使い方が多く見受けられることからも、相変わらず刑事ドラマの制作スタッフや脚本家には、警視庁の捜査一課には「強行犯捜査係」と言われる部署と「殺人犯捜査係」と呼ばれる部署が並立して存在することをご存知ない方が多い様だ。

但し、以前は(長年にわたり)「強行犯捜査係」と呼ばれていた殺人事件担当の係が、警視庁刑事部捜査一課では平成7年(1995年)の組織改正に伴い「殺人犯捜査係」と改称されたとも聞くので、今でも捜一現場では「殺人犯捜査係」を含む重大強行犯罪事件を扱う部署のことを「強行班」と表現することがあるのかも知れないし、(本稿の前提や主張が覆る恐れがあるが)ドラマにおける一言で表すセリフの場合は簡潔な「強行班」の方が馴染みやすいと云えば、たしかにそうだろう‥‥。また尚更に、警視庁の捜査一課以外の他の(特に規模の小さな県警本部の捜査一課や、所轄署の刑事課などの殺人以外の犯罪も併せて扱う)刑事部門では、現実にも同職が「強行犯(捜査)係」と呼称されている場合も多いので、混乱は益々深まるのだ。

ところで未解決事件の捜査部署ではないが、上記『未解決の女 警視庁文書捜査官』の舞台である特命捜査対策室第6係の隣接部署である第5係(これも架空)の活躍を描く刑事ドラマにテレビ東京系『刑事 ガサ姫〜警視庁特命家宅捜索班〜』がある。そして、このドラマが先に「第5係」を使用していたので、前述の『未解決の女 警視庁文書捜査官』では「第6係」を選択、他局の番組であっても流石にかぶるのは避けたのだろうか‥。

同番組は、主役の特命捜査対策室第5係(通称:ガサ入れ班)係長の姫野瑤子警部を演じる戸田恵子さんのキャラ全開、明るく楽しい(いい加減でテキトーとも云える)ストーリーで、この5係は家宅捜索を専門としている捜査班との設定だ。的場浩司さん(竜崎昇警部補)や竜雷太さん(服部浩一郎警部補)が姫野の部下で共演。

 

さて、未解決事件の解決に挑む話に戻ると、TBSの『クロコーチ』も異色の筋立てだった。主人公の黒河内圭太警部補(長瀬智也さん)は神奈川県警刑事部捜査第二課黒河内班の班長だが、実態は相当のワル、所謂(いわゆる)悪徳警官だ。そして、捜査の為には手段を選ばない彼が、過去の未解決事件(三億円強奪事件)の解明に執念を燃やすというもの。

それから、渡瀬恒彦さん主演のテレビ朝日『おみやさん』京都府警刑事企画課資料係の係長(渡瀬)が迷宮入りした未解決事件を解決していく人気の長寿ドラマ。しかしぐっと仄々としたテイストの『おみやさん』は後述の探偵ものの範疇に入る作品であり、警察の組織力を活かした刑事ドラマではないだろう・・・。

時効ものでは、そのものずばりの『時効警察』『帰ってきた時効警察』(ともにテレビ朝日系列)がある。時効(公訴時効)が成立した未解決事件を(趣味で!)捜査する総武署時効管理課の霧山修一朗巡査部長(オダギリジョーさん)の活躍を描く倒叙形式に近い推理コメディ。もちろん舞台の警察署や組織は架空のものだ。流石にちょっとばかりおふざけが過ぎており、この番組の好き嫌いは人それぞれ。

 

さて、小栗旬さん主演のテレビ朝日『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』や最近作であれば日本テレビ系列の堀北真希さん主演『ヒガンバナ~警視庁捜査七課~』などが、一種の超能力者? を主人公とした作品。『BORDER~』での小栗さんの役どころは、死亡した被害者の姿形が見えて更にその声が聴ける能力を得た刑事(石川安吾巡査部長)というもので、死者の証言により事件を解決していくというある意味禁じ手的な刑事ドラマ。しかし脚本がしっかりしているからか、それほどストーリーに破綻を感じさせない佳作。2017年10月に4年ぶりの新作スペシャルドラマ『BORDER~贖罪』が放送され、前回シリーズ最終回での衝撃と謎に回答を与える形となった。対して『ヒガンバナ~』の主人公である来宮渚巡査部長(堀北真希さん)は、犯行現場で被害者の感情にシンクロする能力を持つ刑事であり、『BORDER~』の石川刑事よりは間接的で曖昧とした情報をもとに事件を紐解いていく。

また内藤了さんの原作をTVシリーズ化した『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』は、フジテレビ系のサイコ系刑事ドラマ。主人公の波瑠さん演じる藤堂比奈子巡査は、警視庁刑事部捜査第一課厚田班所属の新人刑事との設定。彼女も特殊な記憶能力の持ち主だが、過去の出来事から心の闇を抱えていて、普通の人間が持つ喜怒哀楽といった感情を有していない。味覚障害もあり、何でも七味をかけて食する。作品の内容は、海外ものTVシリーズを意識した感もあるが、人気の原作小説を下敷きとしている為か猟奇的でホラーな味付けは充分水準に達していた。

また波瑠さんはサイコ系の作品に向いているのか、上記・前述の『BORDER~』シリーズにも出演、若年の女性特別検視官 比嘉ミカ(階級は警部補)として小栗さんと共演している。ちなみにこの作品、2017年10月より続編が放映されて、先ず外伝(スピンオフ)的に比嘉が検視官となった経緯を描く物語『BORDER~衝動』が前・後編で放送された。

TBS『SAKURA〜事件を聞く女〜』(仲間由紀恵さん主演)も特殊な能力を持った主人公(水沢桜巡査)が、潜入捜査に挑む。そして潜入捜査といえば、TBS『ダブルフェイス』は西島秀俊さんと香川照之さんのW主演作。ヤクザ組織に潜入した警察官と警察官となったヤクザの相剋と苦悩を描く。

この『ダブルフェイス』と同じ俳優陣が登場するTBSの『MOZU』シリーズは、公安部の警部(西島秀俊さん)と捜一の警部補(香川照之さん)が主人公。他にも豪華なキャストが多数登場する。激しいアクションを売りとした警察内部も含めた謀略ものだった。また篠原涼子さんが演じる雪平夏見警部補の活躍を描いた『アンフェア』シリーズも、主人公雪平のキャラやスピーディな物語の進行から人気があった刑事ドラマだが、途中から過度に謀略ものの様相を呈してくる。しかし、この辺のドラマの非現実性を指摘してもやはり意味がないだろうな・・・。

同じく西島秀俊さんが出演している『CRISIS 公安機動捜査隊特捜班』は、2017年4月11日から6月13日まで放送された関西テレビ制作・フジテレビ系のアクションドラマで、これも舞台が警視庁公安部の(架空の)公安機動捜査隊特捜班である。主演は小栗旬さん演じる稲見朗巡査部長と、西島秀俊さん演じる田丸三郎巡査部長のダブルキャストであり、一種のバディものでもあるが、どちらかと言えば特捜班のチームとしての絆を描いていると言った方が正しいだろう。

共演は、田中哲司さん(吉永三成警部、特捜班班長)、野間口徹さん(樫井勇輔巡査部長、同班員)、新木優子さん(大山玲巡査部長、同班員)、長塚京三さん(鍛冶大輝警視監、警察庁警備局長で同班の創設者)など。全体的に小栗旬さんや西島秀俊さんの迫力満点の格闘シーンが売り物で、特に初回のテロ犯罪者から新幹線ジャックを防ぐシーンはそのスピーディな展開とド派手なアクションで見応え抜群と評判になった…。

そして、米国などの海外ドラマで多いバディ(相棒)ストーリーの代表格であるテレビ朝日の『相棒』は後で触れるが、主演が伊藤英明さんと坂口憲二さんのテレビ朝日『ダブルス〜二人の刑事』とフジ『東京DOGS』(小栗旬さんと水嶋ヒロさんの共演)も相棒ものだった。特に『ダブルス〜二人の刑事』に関しては、肉体派ふたりの共演に期待したが空振りに終わった感が強い。

少々以前の放映となるが、フジテレビ『TEAM』は文部省所属の風見勇助(草彅剛さん)と警視庁の刑事である丹波肇(西村雅彦さん)がコンビを組んで少年事件に挑む物語。また、第1話に小泉純一郎元内閣総理大臣が文部大臣役で出演し話題となった。他に2時間ドラマでは、フジの『所轄刑事』(船越英一郎さんと的場浩司さんの共演)がコミカルで軽いタッチの一応バディものとなっており、的場浩司さんがいつもながらイイ感じの役どころ。

フジテレビ系『刑事ゆがみ』は、井浦秀夫さんによる漫画が原作。浅野忠信さん演じる所轄署の刑事課強行犯係の刑事・弓神適当巡査部長と相棒の羽生虎夫巡査長(神木隆之介さん)の活躍を描く。原作が漫画故か非現実的で相当に強引な捜査手法が目立つが、登場人物のキャラ設定や互いの会話も面白くストーリーの展開も意外性のある刑事ドラマ。但しこのドラマでも、例え殺人事件が発生しても帳場は立たず弓神たちの上司である、うきよ警察署刑事課強行犯係の係長・菅能理香警部補(稲森いずみさん)を筆頭とした数名の強行犯係だけで事件を解決していくことが多い。

次いでこれも一種のバディもの。安田顕さん演じる多くの無罪を勝ち取り警察(&検察)の天敵とも云われる敏腕弁護士の相良修平が、特別捜査官(刑事)となり渋谷美里巡査(真野恵里菜さん)とコンビを組んで難事件の解決に当たる『白い刑事』も相当に異色の内容だ。勿論、こんな刑事は現実にはいないし、階級が警部補というのも如何なものか(百歩譲って存在するとしても、従前のキャリアからして警視以上が適当では)。また、ふたりの上司、警察署長の東谷慎一郎(小堺一機さん)の階級がドラマのテロップでは警視となっていたが、小堺さんが着用している実際の制服の左胸の階級章は警視正のものだった。こういった誤りはたまに見掛けるので、間違い探しをするのも楽しくはあるが‥。

 

バディものは、それこそ本命『相棒』を除くとあまり成功した作品はないようだが、最近になってようやくシリーズに終止符を打った日本テレビ系『あぶない刑事』シリーズ(舘ひろし演じる“タカこと鷹山敏樹刑事と柴田恭兵さん演じる“ユージ”こと大下勇次刑事が登場)なんてのが、あったっけ!! 拳銃やショットガンを撃ちまくり、パトカー壊しまくるような荒唐無稽もあそこまで極めないとダメだということか。

それでも破天荒さ(と云うより爆発物の使用量? )ではテレビ朝日系列・石原プロモーション制作の『西部警察』(石原裕次郎さん・渡哲也さん他出演)には及ばないが‥‥。ちなみに石原裕次郎さん演じる警視庁西部警察署の捜査課長の木暮謙三課長の階級は警視で、当然乍ら通常であれば所轄署の捜査(刑事)課長としては警部が正しい。しかし基本設定がデタラメの番組であることから、そんな小さな誤りは何とも感じられない(笑)。

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2 thoughts on “【刑事ドラマ大全 -1】嘘と間違いだらけ・・・それでも大好き刑事ドラマ!! 〈22JKI35〉”

  1. ニコラス刑事 says:

    「未解決の女」と「捜査一課長」のコラボの件、「未解決の女」の初回放送を見逃していたので、再放送を観るまでいまいち繋がりが解らなかった。要するに、どちらも同じ捜査一課が舞台なんだという設定な訳ね。

    1. 所轄の娘 says:

      でも、これって凄く面白いことかも。大岩課長繋がりでどんどん番組の輪を広げたらどうでしょうか?別の刑事ドラマでも、同じ捜査一課に属する警官を主人公(例えば鑑識とかSITとか)にしちゃうとか。内藤さん経由で波留ちゃんともコラボ。『科捜研の女』みたいに内藤さんが別の役で既に出ているのはムリだけど、オリジナル新作ならばOKと思います。木曜日以外でも、ガンガンにクロスオーバーさせちゃう。

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