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【刑事ドラマ大全 -1】嘘と間違いだらけ・・・それでも大好き刑事ドラマ!! 〈22JKI35〉

ところで設定の馬鹿バカしさでは、近作のテレビ東京の『警視庁0課~生活安全課なんでも相談室~』が目立った。小泉孝太郎さん演じる小早川冬彦警視を主人公にした警察ドラマだが、その基本設定にはビックリだ。

杉並中央署生活安全課に新設された「なんでも相談室」に配属された出来損ないの訳アリ警察官たちの活躍を描く物語だが、現実には当然ながらこの様な組織は存在しない。警察庁科学警察研究所からキャリア官僚(警視)が「なんでも相談室」へ転属になり、係長である警部補(大杉漣さん)の下で働くことはあり得ない。また相棒役の女性巡査長(松下由樹さん)と現場を駆け回るハズもない。原作者の富樫倫太郎さんの小説には架空の警察部署を舞台にした奇想天外なものが多く、この番組の設定も原作に基づいている為にテレビ制作者側の責任ではないが、とんでもない状況には違いない。

またこの作品の設定は、どことなく天海祐希さん主演のフジテレビ系列の『BOSS(ボス)』に似ている。訳アリのキャリア主人公と落ちこぼれの部下たち。それを監視しているスパイ役の存在。でも『BOSS』はスタイリッシュ志向で、『警視庁0課』はハートウォーミング路線という明確な違いがあったが・・・。

但し、『警視庁0課』での小泉孝太郎さんのコミカルな演技は悪くないし、松下由樹さん演じる男まさりのベテラン女性刑事の寺田 寅三巡査長がイイ味を出していた。このあたりの番組は、ありそうで無さそうな組織を舞台にしていてギリギリ、セーフなのかも知れない。

またここで小泉孝太郎さん繋がりで紹介すると、『魔性の群像 刑事・森崎慎平』はTBS系の2時間ドラマで2013年から放送されているシリーズ。小泉さん演じる主人公の森崎慎平は警視庁刑事部捜査一課に所属、階級は警部補。こちらは比較的真面目なつくりの刑事ドラマといえるが、それも森村誠一さんの原作故か。

さて『BOSS(ボス)』で主演した天海祐希さんも刑事役が多い女優さんだが、彼女を主人公とした(刑事ドラマではないが)テレビ朝日系のミステリドラマ『パディントン発4時50分』では、主人公の探偵役である元敏腕刑事で危機管理の専門家・天乃瞳子(天海祐希さん)の警察官としての職歴資料が紹介される場面で誤りがあった。こうした非現実的な職務内容や職制と階級のミスマッチなどをノーチェックで映し出している番組は意外に多く、制服姿や警察手帳での階級章や階級の間違いもよく見掛けるし、番組制作のスタッフや監修者はもう少しきめ細やかに表現内容の確認をして欲しいものだ‥‥。そして同様の問題点は、本稿連載では何度か指摘することになるだろう。

 

ところで、『警視庁0課』の小早川警視と同じく空気の読めない唯我独尊系の主人公とも云えるのが、テレビ朝日系の『刑事7人』の主役、天樹巡査部長(東山紀之さん)。警視庁刑事部捜査一課の強行犯12係に所属する刑事たちが、様々な凶悪事件に立ち向かう物語だが、時間の矛盾をつく主人公の独特の推理が冴える。

この番組でも、12係は係長(吉田鋼太郎さん)を入れても6名で、また個室が与えられている。多くの刑事ドラマ(『警視庁捜査一課9係』『ハンチョウ』シリーズも同様)で各々の係は洒落た個室に机を並べているが、本来は大部屋が正解なのだろう。

2016年7月より始まった第2シリーズでは、主人公の天樹は機動捜査隊に異動して、扱う事件や推理の幅も広がった。吉田鋼太郎さんが演じていた片桐係長は刑事総務課長となり、天樹の同僚だった沙村警部補(高嶋政宏さん)が12係の係長に昇格している。また、塚本高史さん演じる若手刑事が12係に加わった。但し、第2シリーズ初回で、所轄警察署の副署長が刑事捜査を率いているのがいただけない。この回の、捜一の管理官とツートップで帳場(捜査本部)を仕切っているという設定にはムリがあり、署の管理部門を束ねている副署長の立場上、この様なことは現実にはあり得ない

この様に登場人物を極めて異質な性格の人にして、また関係者を集約して限定する手法は、テレビ・ドラマとして視聴者に物語を解り易く進行する上で必要なのだろうけれども、モノには限度があるということを考えて欲しいなと思う。あまりに実際とかけ離れていると観る気が起きないというものだ・・・。筆者の好きなテレビ朝日の『相棒』などは、その典型だが(汗)。

 

さて引き続いて、ムリな設定のドラマの極め付けとも云える作品を紹介すると、『さすらい署長 風間昭平』がある。この番組は、テレビ東京の2時間ドラマで2003年から放送されているシリーズ。主演は北大路欣也さん。彼の演じる風間昭平署長は 警察庁公安部(実在しない組織であり、現実には警察庁警備部が警視庁のみに存在する公安部や他の道府県警察の公安課を指揮・監督)からの特命を受けて全国の所轄署署長を転々としているという風変わりな役柄。臨時署長として都道府県を跨って異動することなど、そもそもあり得ない設定なので、後は推して知るべし。処遇はキャリアの警視正らしいが、劇中で大規模警察本部の本部長と同期であるとの台詞があることから、本来は警視監級だが、過去に不祥事でも起こして出世街道からはハズれて現在の特命任務に就いたものだろうか‥(笑)。またこの人も当然ながら、どんどん現場に赴いて捜査活動を実施する。

また同じく、あり得ない設定の署長ものでは、警察庁から千葉県警の所轄署に飛ばされた恵俊彰さん(階級は何と警視長)主演の鉄道オタクな警察署長の推理を描くTBS系2時間ドラマ『はぐれ署長の殺人急行  九十九里浜迷宮ダイヤ』なんていう作品(続編も複数あり)もあったが、もちろん、真面目な刑事ドラマ・ファンにはお薦めはしない。

そして上記の二作品に比べればそれほど設定にムリはないが、同様に警察署長を主人公としたものとして、2016年に放送されていたフジテレビ系『キャリア〜掟破りの警察署長〜』がある。主演は玉木宏さんで、彼がキャリア役の警視庁北町警察署長・遠山金志郎警視正を演じた。主な共演は高嶋政宏さん演じる南洋三警部補(刑事課係長)や瀧本美織さん演じる相川実里巡査だが、主人公の警察内部での後ろ楯とも云える長下部晋介警視庁警務部長(近藤正臣さん)の階級も警視監であり、署長の名前がおふざけな点を除くと特に役職と階級のミスマッチ問題はなし。但しこの署長も私服で現場捜査に度々出向くのだが、これは番組の骨子・肝(「桜吹雪の遠山の金さん」)だから仕様がないのかも知れない…。

-終-

【注意/お願い】本稿並びに関連連載記事において解説している警察関係の人事・組織・活動内容などについては、時期や管轄地域においては変更・変動となっていることがあることを、ご了解願う。更に階級とその職務の関連においては、昇格前提/内定で異動、但し手続きの関係で階級が一時的に昇格していないこともあり得る様だ。また、現実の刑事部門における「係」と「班」の違い、更に「班」名称の使用について何らかの情報を有する方がいらっしゃれば、是非、コメントをお寄せ願いたい。正直なところ、筆者もこの点に関して正確な実態を知らずに筆を進めていることを申し述べておく。

 

【刑事ドラマ大全 -2】・・・はこちらから

【刑事ドラマ大全 -3】・・・はこちらから

【刑事ドラマ大全 -4】・・・はこちらから

警視庁、創立140周年。その実態は?・・・はこちらから

 

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2 thoughts on “【刑事ドラマ大全 -1】嘘と間違いだらけ・・・それでも大好き刑事ドラマ!! 〈22JKI35〉”

  1. ニコラス刑事 says:

    「未解決の女」と「捜査一課長」のコラボの件、「未解決の女」の初回放送を見逃していたので、再放送を観るまでいまいち繋がりが解らなかった。要するに、どちらも同じ捜査一課が舞台なんだという設定な訳ね。

    1. 所轄の娘 says:

      でも、これって凄く面白いことかも。大岩課長繋がりでどんどん番組の輪を広げたらどうでしょうか?別の刑事ドラマでも、同じ捜査一課に属する警官を主人公(例えば鑑識とかSITとか)にしちゃうとか。内藤さん経由で波留ちゃんともコラボ。『科捜研の女』みたいに内藤さんが別の役で既に出ているのはムリだけど、オリジナル新作ならばOKと思います。木曜日以外でも、ガンガンにクロスオーバーさせちゃう。

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