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【刑事ドラマ大全 -4】嘘と間違いだらけ・・・それでも大好き刑事ドラマ!! 〈22JKI35〉

この番組では室井以外にも、特に上級職警察官の役職と階級のミスマッチが多く目につく。例えば、草壁中SAT中隊長(高杉亘さん)の階級は警視正となっているが、機動隊等の中隊長職は本来は警部の階級である。SATなどの特殊部隊の中隊長も警部であることが多いとされる。

レギュラーメンバーのひとり、ユースケ・サンタマリアさん演じる真下正義は、テレビシリーズの途中で昇任試験を受け警部となるが、現実のキャリア組には昇任試験はない。また警視庁刑事部に「交渉人」だけで編成された交渉課など存在しない。そして通常の警察官が、特にキャリア組が長期間にわたり、しかも昇進した後も同じ警察署に所属し続けることはない

特に彼はTHE LAST TV サラリーマン刑事と最後の難事件」は警視正の階級章を付けているが、同番組のオープニング(OP)場面およびTHE FINAL 新たなる希望」のOPでは、所持している警察手帳に警視と表記してある。

松重豊さん演じる眉田勝重警視は警視庁警備部爆発物処理班の班長であるが、この役職は本来は警部の階級の警察官が担当するポストである。

真矢みきさん演じる沖田仁美警視正は警視庁刑事部の管理官として登場するが、何度も指摘している通り、管理官は警視の階級の警察官をもって充当するポストである。

一倉正和警視正(小木茂光さん)は、一時期、警察庁の課長級(本来は警視長クラス)にまでなっておきながらTHE MOVIE 2  レインボーブリッジを封鎖せよ!」では警視庁刑事部捜査一課長となり、THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!」では更に降格して警視正のまま捜査一課の管理官となっている。とにかく不遇なキャリア人生を過ごしている人だ。

警視庁刑事部に交渉課などという部署はないと思うが、その課長となった小池茂(小泉孝太郎さん)の階級は警視。警視庁の課長級は、通常は警視正が任じられるポストである。まぁ、存在しない部署の責任者だから良しとするべきか・・・。

実際の警視庁刑事部には、小栗旬さん演じる鳥飼誠一警視が任じられている管理補佐官という役職は存在しない。また河西健司さん扮する警視庁の多田野刑事部長も階級は警視長。これも当然おかしい。

大杉漣さんが演じる横山邦一警視庁公安部長もTHE MOVIE 湾岸署史上最悪の3日間!」では警視長の階級であり、ミスマッチ。その後、容疑者 室井慎次」において警察庁警備局公安課長を務める。つまり警視長公安部長は警視監のハズ、そしてその公安部長の次のポストが警察庁の課長級では降格異動だ。

木島丈一郎(寺島進さん)は、警視庁刑事部捜査一課特殊犯捜査一係(SIT)の係長を警視の階級で務めているが、本来は警部が任じられるポストだ。とにかく警視庁刑事部では、管理官は警視、係長は警部と脚本家は肝に銘じて欲しい。

辻萬長さん演じる町屋忠正も、「交渉人 真下正義」「逃亡者 木島丈一郎」などで警視長の階級で警視庁刑事部長に任じられている。

また、この『踊る大走査線』シリーズだけでなく、多くの刑事ドラマにおいて警視庁の刑事部長や警備部長、警務部長の階級が警視監ではなく警視長であることは多い。しかし、小さな県警などでは同じポストが警視長より下位の警視正の場合もあるので、たしかに混乱を来し易いのではあるが・・・。

最高幹部クラスに関する誤りとしては、「容疑者 室井慎次」他で警察庁長官の座を巡り安住武史警視庁副総監(大和田伸也さん)は池神静夫警察庁次長(津嘉山正種さん)と対立するが、実際の人事では警察庁次長が次期警察庁長官になり得る最有力ポストであり、警視庁の副総監ではまったく歯が立たない。

たしかに安住警視庁副総監は警察庁次長と同じ「警視監」という階級ではあるが、警察官僚の中の通常の序列は、1位が警察庁長官で警視総監が2位、3位が警察庁次長となり、警視庁副総監は10位にあたる。ちなみに、警視総監から警察庁長官に昇格することもない。

※4位:警察庁官房長、5位:警察庁警備局長、6位:警察庁刑事局長、7位:警察庁生活安全局長、8位:警察庁交通局長、9位:大阪府警察本部長、10位:警視庁副総監、11位:警察庁長官官房総括審議官・・・と続く。

現実の具体的な人事例では、警視庁副総監は概ね警視庁の部長クラスからの昇格が多く、異動先は大阪府警察本部長か警察庁の官房長や各局長級が多いとされる。

つまり警視庁副総監が警察庁次長と次の長官の座を直接争う事態は起こりえないのだ。

 

どうしても『踊る大走査線』シリーズでは、キャリア警察官の存在に光を当てたことで、逆にボロも頻繁に露呈したということだろう。一番多い問題点は、やはり警察庁と警視庁の違いを理解していないことと、多作のシリーズ作品故に、作品の前後関係における人事の連鎖の基本が守られていないことだ。こんなに(極端な)昇格や降格人事が頻繁に行われることは、現実には絶対にあり得ないからだ。もう少し番組制作者は人事の繋がりを注意して設定を考えて欲しいものだ。また制服警官は階級章にも注意が必要。そして警察手帳にも階級が明示されている。

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2 thoughts on “【刑事ドラマ大全 -4】嘘と間違いだらけ・・・それでも大好き刑事ドラマ!! 〈22JKI35〉”

  1. 春田啓郎 says:

    木村様
    いつもながらの博識に感嘆いたします。私は滅多にテレビは見ないので殆ど原作の本で読んだものが多いです。双葉社の小説推理を50年以上愛読しているのでそれが起源となった「症候群シリーズ」「越境捜査シリーズ」は物語としては知っています。
    貴殿は私とほぼ同年齢だと思われますが、1960年くらいから始まった「特別機動捜査隊」は格別のファンでした。BSの東映チャンネルで再放送していますが、まもなく終わりです(未契約)1961年からの「JNR公安36号」後の「鉄道公安36号」にもいろいろ教えられました。どちらもNFTでYOUTUBEで主題歌など聞くことができます。これからも発表を楽しみにしています。

    1. 諸子 百家 says:

      コメント、有難う御座います!今後ともお引き立てのほど、よろしくお願いいたします。《Brigadier★General》

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