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李氏朝鮮(李朝)の身分・階級制度 〈2408JKI27〉

爵位品階制度

李朝の爵位(爵号とも、以下では爵位で統一)と品階(品位とも、以下では品階で統一)制度は、中国の制度を見習って制定されました。爵位には王族や王の側室等がその地位の確定(相続や生まれながら、もしくは成人した場合等も含む)とともに授けられるものや、両班や中人階級が科挙合格を経て(功労に対して)叙爵されるものなどがあり、それぞれの品階(プムゲ:품계)が決められていました。例えば王族の男子が得られる顕禄大夫は正一品の上席、興禄大夫は同じく正一品の次席であり、臣下の文武官の崇禄大夫(スンノクテブ:숭록대부)は従一品の上席、次席は崇政大夫(スンジョンテブ)となります。つまり同じ品階でも爵位によっては序列が異なる場合があり、更に文官(東班)と武官(西班)では異なる爵位(例えば、正三品堂上の文官:通政大夫と武官:折衝将軍など)が設定されていたり、続編記事で述べますが、官職(軍事・行政組織などの役職)毎にも品階が定まっており、同身分(品階)の爵位と官職が多数存在していました。

品階は正一品・従一品から正九品・従九品まで(全部で18の位階が)あり、数字の小さいほうがより高位、且つ従より正が上位となっています。但し上記の通り、同じ品階でも爵位や官職による序列の上下があり、現実には身分・立場はより細分化されていました。

・正一品(チョンイルプム:정일품)
・従一品(チョンイルプム:종일품)

・正二品(チョンイプム:정이품)
・従二品(チョンイプム:종이품)

・正三品(チョンサンプム:정삼품)
・従三品(チョンサンプム:종삼품)

・正四品(チョンサプム:정사품)
・従四品(チョンサプム:종사품)

・正五品(チョンオプム:정오품)
・従五品(チョンオプム:종오품)

・正六品(チョンユクプム:정육품)
・従六品(チョンユクプム:종육품)

・正七品(チョンチルプム:정칠품)
・従七品(チョンチルプム:종칠품)

・正八品(チョンパルプム:정팔품)
・従八品(チョンパルプム:종팔품)

・正九品(チョングプム:정구품)
・従九品(チョングプム:종구품)

※正はチョン: 정、従も同じ発音でチョン:종、数字の一から九は、イル:일・イ:이・サム:삼・サ:사・オ:오・ユク:육・チル:칠・パル:팔・ク:구で、品はプム:품となり、それらを組み合わせると上記の様になります。 

 

また特に正三品は堂上官と堂下官に別れていて、正三位堂上官以上は宮殿(王宮)に昇殿が許さた王様に面会(御目見え)が可能な位階であり、御前会議等でも上席に着く官吏となります。そして正三位堂上官以上の人たちの制服は赤い色で、それは高官である事を示しています。

但し、その中でも役職によって区別があって、大監(テガム:대감)と呼ばれる正一品、従一品、正二品などが我国(日本)の太政大臣や左・右大臣に当たる領議政や左・右議政と各省庁の大臣である六曹の判書(パンソ:판서)などですが、その下の令監(ヨンガム영감)と呼ばれる従二品や正三品堂上官などは、まだ大臣職に就いていない次席高官クラスの人となります。ちなみに、領議政や判書などの官職については本記事の続編にて解説の予定です。

次いで青い服の人は正三品堂下官以下従六品(堂下官の中で従六品以上が参上官)まで緑の服を着ている人は正七品以下従九品(堂下官の中で正七品以下が参下官)までの身分となり、着ている服で彼らの位階・品位が解る仕組みでした。また国王と対面している場合には、当然乍ら位階・品位の上下で着座場所や立ち位置が異なります。更に、その着衣も胸や背中の刺繍(胸背=ヒュンベ)などが異なっており、時代によって多少差異がありましたが、李朝末期のヒュンベでは文官の堂上官(タンサングァン:당상관)は2羽の鶴で堂下官(タンハグァン:당하관)は1羽の鶴、武官の堂上官は2匹の虎で堂下官は1匹の虎が刺繍されていました。また品階により、衣服だけではなくその住居や乗り物などにも明確な差が付けられていました。

そして正三品堂下官以下(青い服と緑の服)の官吏たちはよく“ナウリ(ナ~リ)”と尊称されますが、この“ナウリ(나리)”という呼び方は直接的に品階と対応するのではなく、役職名などに付して「都承旨ナウリ」とか「提調ナウリ」と呼ばれ、単に目上の人を呼ぶ場合の敬称として使われることが多く、英語で使用される“sir” 近いと考えれば良い様です。日本語への吹き替えや字幕では、「お役人様」とか「旦那様」などと訳されていますね。

また“オルシン(어르신という言葉も、よく韓流ドラマで出てきますが、これは老齢・年配の方を敬って言う表現の様で、大人という意味の“オルン(어른)”と尊敬を表す“シ(시)”が組み合わさった言葉だそうです。 ついでに、日本語の敬称の「~様」に当たる言葉が“ニム”で、「~さん」が現在でも使われる氏“シ(씨)”です。ちなみに韓国(朝鮮)では、日本とは異なり身内の人にもこの「様」や「さん」を付けて呼ぶのが普通で、“シ(씨)”は姓だけに付けると失礼にあたるので注意しましょう。必ずフルネームか親しい間柄でしたら、名前に付けて使う様にします。

ところで、王族の身の回りの仕事を司る官庁組織である内侍府(ネシブ:내시부、内侍院とも)に属する内侍(ネシ:내시、去勢された宦官で宮中において王の世話・面倒をみた)に関しては、最高位が尚膳(サンソン:상선)/判内侍府事(パンネシブサ)の従二品でそれ以上には昇格出来ませんでした。またこの内侍も、位階によって服の色が水色から灰色、続いて青色から紫色へと変化します。

ちなみに、王室の外戚や功臣の子弟は成年すると自動的に忠勲府(チュンフンブ)や宗親府(ジョンチンブ)に配属されて、科挙に合格しなくても爵位を受けることが可能(「蔭敍(음서)」)で、実際には先に役職を授かってから後に科挙に合格して本来の官吏(官僚)に就くことが多かったとされます。

李朝官職表

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