Browse By

【ライバル対決】 独軍 キューベルワーゲン vs 米軍(連合軍) ジープ 〈3JKI07〉

砂漠地帯のキューベルワーゲン

意外にも前線への配備は北アフリカ戦線が早く、砂漠地帯で空冷の利点を活かして活動したキューベルワーゲンは、1942年からは砂地での走破性能を高める為の幅広のバルーンタイヤを装着した。このアフリカ仕様のキューベルワーゲンは、1943年5月の北アフリカ撤退後も一部がイタリア戦線で使用された。

一方、東部戦線においては、バルバロッサ作戦開始の時点(1941年6月22日~)ではキューベルワーゲンらしき車輌の存在は確認出来ないが、翌年のブラウ作戦では多数の姿が戦場写真などに写っている。つまり1941年後半から翌1942年初頭にかけてのある時期を境に、“Typ-82”が独軍戦線の各所に進出、初めは装甲師団の偵察大隊(後の捜索大隊)で使用されたのを皮切りに、その後は全兵種に配属されていき、独軍将兵の足として大活躍を見せるのだ。

 

Typ-82Eとされるフォルクスワーゲン

“Typ-82”の生産が軌道に乗ると幾つかの派生タイプが生産されたが、各個別のモデルは可能な限り“Typ-82”と共通のシャーシなどの部品を使っていたことでその生産性は高かった。

代表的な派生型としては、“Typ-92” 荷台付貨物車(Pritschenwagen)、“Typ-174” 突撃ボート(Sturmboot mit VW-Motor)、“Typ-287” 指揮車(Kommandowagen)等がある。

また戦争期間中は当然ながら純軍用車輌型の生産が優先されたが、“Typ-82”だけではなく、セダン・ボディのタイプも多くが軍用に回され、“Typ-82”のシャーシにセダン・ボディを載せた“Typ-82E”や4輪駆動(4WD)の“Typ-87”も製造された、大量生産には至らなかった。

Typ-82Eは、民生用“Typ-60”よりも最低地上高が75mm高く、優れた路外走破性を発揮した。軍部や政府機関などでスタッフ・カーとして使用され、1945年までに約500台が生産された。また4輪駆動のTyp-87は、1942年から1944年までの間に約600台が生産された(異説在り)とされる。

水上走行中のシュビムワーゲン

但しこの4輪駆動化の動きは、後に派生型である水陸両用車のシュビムワーゲン(Schwimmwagen)“Typ-128/Typ-166”の開発に寄与する。即ち、シュビムワーゲンには水際から再上陸する際に4輪駆動機構が必要とされたのである。

また“Typ-87”は、戦後に英軍の管理下で2台が組み立てられ、“Typ-82E”は“Typ-51”という名称で暫く生産が続けられた様である。

 

第二次世界大戦後、民生用の“Typ-1”は KdFワーゲン市のフォルクスワーゲン社で生産が開始され、やがて米国をはじめとした海外でも人気を博し、世界中で大量に販売された。その後、“ゴルフをはじめとする1970年代の前輪駆動車(FF車)へのシフトで、独本国のエムデン工場では1978を最後に生産を終了したが、その後も南米ブラジルやメキシコ、ペルー等で生産が続けられたが、2003年7月30日、メキシコ工場で“Typ-1”の最終車輌が完成し、このクルマの長い生産の歴史に幕が降ろされた。

尚、“Typ-1”のデザインは、フォルクスワーゲン社の“ニュービートル”に引き継がれたが、駆動方式はエンジン前置きの前輪駆動(FF車)であり機構面での“Typ-1”との繋がりは薄く、当該シリーズは2010年をもって販売が中止された。2011年には、“ザ・ビートル”へと改名されたが、このクルマは“ニュービートル”より車高が低くなり、本来の“Typ-1”の全体的な形状を引き継いでおり、2018年1月現在も製造・販売中である。

軍用車輌ヴァージョンに関しては、戦後、“Typ-82”の改良版にあたる“Typ-181”(RR車)が1969年から1983年にかけて製造され、西ドイツ軍はこの“Typ-181”を1980年代の初頭まで使用していた。またこの軍用車輌は、“Typ-82”と同様に“Typ-1”由来のリアエンジン・プラットフォーム、マニュアルトランスミッション、水平対向の4気筒エンジンの機械部品を使用していた。

更に“Typ-181”の民間仕様版もあり、英国では“トレッカー(Trekker)”、米国で“シング(Thing)”、メキシコでは“サファリ(Safari)”という名称で知られていたが、販売は1980年に終了している。

 

さて、大戦中の独軍の小型軍用車輌であるキューベルワーゲンに関しては、結果的には1940年から1945年の終戦までに約52,000台の“Typ-82”とその派生型車輌が製造されたのである。そしてこれらの車輌は従来の軍馬の代わりとして、その軽快な機動性を活かして少人数の兵員や物資の輸送や連絡・偵察にと様々な任務をこなし、独軍の行く所々、あらゆる戦場で使用された第二次世界大戦を代表する傑作小型軍用車輌となったのである。

 

【キューベルワーゲン 性能諸元
水平対向4気筒  定員4名+貨物の合計400kg
排気量:985cc/23.5HP (強化型エンジンでは排気量:1,131cc/24.5HP)
全長:3,770㎜ 全幅:1,545㎜ 重量:750kg
生産台数:約51,000台~52,000台

《広告》

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。