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英米人の嫌う表現 頻繁に使われるクリシェ(cliché) 〈3545/1129JKI24〉

英国人が最も嫌うクリシェには、「基本的に/要するに…」(basically)が選ばれています。私もよく使う言葉ですし、それほど悪い言い回しではないと思いますが、この単語を使い過ぎると「要するに…、えぇ~と、要するに…」といった感じを与えて、会話の相手方は次第にイライラするのだそうです。また本来「じゃぁ、教えてあげるよ」的な上から目線の表現で、自分は頭が良いだろう!と自慢気な人物が多用すると感じる人が多いようです。

第2位には、「to be fair」(公平に言うと…/フェアな立場から見ると…)が入りました。このフレーズは、公平性を重んずる英国流に沿った物事の結果の不首尾を正当化する時の決まり文句であり、またそのニュアンスとしては続けて話す内容の着地点をソフトに印象付ける為に使われるフレーズと云えるでしょう。しかしこの表現が嫌われる本当の理由は、「(敢えて公平に言うということは)今までの発言は公平なものではないの?」という感想を相手側に持たれるからでしょう。そして更に重要なポイントは、発言者がこのクリシェを使う場合、大概がその後に言う意見が公平ではない場合が多いからとされています。

3位は、「to be honest」(正直に言うと…)です。このフレーズは第2位の「to be fair」と似ている決まり文句です。つまり同じシチュエーションに使用される事の多いクリシェで、要するに少々嫌なことや反対意見を述べる前に使われるフレーズなのです。つまり完全に補足すれば「本当はあまり言いたくないのだけれど、敢えて正直に言うと…」となりますから、確かに日本語でも相当にクドイ感じはしますよね。

続いて第4位が、「going forward」(これから/今後は…)でした。これは比較的最近使われだしたビジネス用語の様ですが、「from now」や「in the future」よりも多用されている様で、政府の公文書などにも見られるそうです。但し「不必要で冗長な表現」という批判も多く、ネイティブによればこのフレーズは冴えないビジネスマンが頻繁に使いそうな言い回しなのだそうです。また米語的なビジネス用語の為に、一般の英国人には馴染めないとも聞きました。会社で自分の上司がこの言葉を多用して指示を出すと、部下たちは皆イライラするだろうと言ってました。

第5位は「the fact of the matter is…」(結論は…だ/私が言いたいことは…だ/要点は…である/他でもない/実際は…だ)ですが、このフレーズは大変よく耳にします。私も使ったことがありますが、英国では政治家や会社の経営者等の演説によく使われる言葉だそうで、自身の意見や発言を強調する時に使う決まり文句です。この言葉も少々、断定が過ぎるのでしょうか、尊大な雰囲気が感じられますよね。

第6位には、「let’s face it」(事実を正直に受け入れよう/直視しよう)が選ばれました。この表現は、まさしく(正直に)会話の相手にとって受け入れ難い事実や嫌な事を言う前に使用する決まり文句ですが、一歩間違えると、ケンカを売っている感じに取られることがあるのではないでしょうか。

英国人が嫌うクリシェの第7位は「touch base」(打ち合わせする/話し合う/連絡を取る)となりました。このフレーズが英国人に嫌われる理由は、もともと「touch base」という言葉の由来がアメリカの野球用語から派生したビジネス用イディオム(慣用句)だからでしょう。そして皆さんご存知の通り野球はアメリカのスポーツであり、英国人には馴染みがなく、この言葉の使い方も前述の様に英国では煙たがられる米語的用法なのです。英国人にとっては、このクリシェを会社でよく使う上司や同僚のことは、「こいつ、アメリカンスタイルのビジネスに毒されているんじゃない?」と思ってしまうそうです。またちなみに、「touch all bases」は「徹底してやる」という意味だそうです。

続いて第8位は「to give 110%」(110%の努力を尽くした/最大限の努力をした)です。このクリシェは、スポーツ選手等によく使われている決まり文句の様です。そして更に、「110%」の部分を「150%」や「200%」と言い換えて話す人がいるそうですが、この言葉を多用する人は鼻につく自信家ととられる様で、また現実には「110%の努力」などという事はあり得ないから安易な言葉として嫌われているとも聞きました。

第9位は「in the pipeline」(“計画などが”まだ進行中で)となりましたが、このフレーズもビジネスシーン等でよく使われているものです。実際の使用時においてこの言葉の意味するところは、「計画が(順調には)進んでいない」とか「進み具合が遅い」というニュアンスが含まれている場合が多いとのことです。

そして英国人が嫌うクリシェの第10位は 「the reason being…」(その理由は…)です。この言葉も会社等で上司が偉そうに業務方針などの実施理由やその背景を説明している際に使われそうなフレーズです。ちなみに一般的には「because~」や「the reason is~」等が普通の用法の様です。

 

続いて米国。ニューヨーク州のマリスト(Marist)大学が2016年12月21日に発表した調査によると、12月上旬に1,005人を対象に実施された米国人が会話の中で最も苛立ちを覚える表現のトップは8年連続で「whatever」(どうでもいいよ)となりました。この言葉は、色々な意味(何でもOKの何でも/何であっても関係なしに/何かそんなもの etc.)があるのですが、自分の興味が無いことに関してうわの空で返答する場合の表現でもあるので、使い方には注意が必要なのでしょう。答え方次第では、相手に対して面倒くさそうに答えている感じがプンプンで、回答者の38%がこの表現にいらだつと回答したのも頷けるというものです。

嫌われているクリシェの第2位には「no offense, but」(悪気はないけど…/誤解しないで欲しいのだが…)となり、第3位は「Ya know, right」(でしょ?/だよね? )と「I can’t even」(ヤバイ!!/凄過ぎ!/超カワイイ!!)で共に14%でした。次いで「huge」(どでかい!/でっけい!!)が8%で第5位となりました。第2位に関しては、「そんな前置きをする位だったら敢えて言うなよ」と云うことなのかも知れません。第3位以下は、その濫用はとにかくウザイに尽きるのでしょう。尚、申し訳けありませんが、一時期、私のビジネス上のパートナーだった中国系シンガポール人が第3位のフレーズを連発していましたが、「だよな、だよね」、「ヤバイよ、わぁ、凄げえ」と頻繁に言うので、(根はいい奴なんですが)一緒にいて物凄く五月蠅く感じたものです。

ところで「whatever」の使用は、1995年公開の青春コメディ映画『クルーレス(Clueless、ダサいことの意)』をきっかけに増加したとされ、ベビーブーマー世代(51歳~69歳)の54%が苛立ちを感じた一方、18歳~34歳のミレニアル世代においては、苛立つ人の割合は24%に止まっています。

これに対し、インターネットを通じて広まった「I can’t even」に関しては、ミレニアル世代の28%が苛立ちを感じると回答していますが、ベビーブーマー世代では5%と少ない結果になりました。この辺は何事も「ヤバイ!!」の連発で、その意図する内容や意味合いが通じてしまう最近の日本と同じ傾向でしょう…。

ところで、米国人の嫌うクリシェの第5位の「huge」ですが、最近では何と言ってもトランプ大統領が頻繁に使うことで有名です。但し彼は“h”を落して「yuge」として使用していますが、英米においては昔から“h” で始まる単語の “h”音を落として発音すること自体は珍しくはないのですが、何だかちょっとばかり下品なボキャブラリーの持ち主である彼らしい言葉遣いの様な気がしますよね(笑)。

 

本文中で紹介した私の友人の英国人によると、個人的には「actually」を口癖の様に頻繁に使う知人に閉口しているそうです。この言葉は文頭で使う場合は「実は…」の意味ですが、「実際には…」、「本当のところ…」、「なんというか…」といったニュアンスに使われ、前後の文脈を強調する意味合いを持っていますが、私も「basically」や「whatever」と共によく使用しているとの自覚があるので、今後は充分注意して会話に使うことにしたいと思います。

本来、クリシェ自体はスムーズで巧みな英会話を行う上で必要なものなのですが、その安易な濫用は戒められねばなりません。こちらの会話のレベルが低い内は、多少的外れな使用法も愛嬌として捉えてもらえるでしょうが、中級レベル以上となると中途半端なクリシェ使いは危険です。語学知識として正しくそのニュアンスを把握することと共に、ネイティブたちの実際の使用方法を注意深く学ぶ必要があり、やはり会話の上達には実践が何よりも大切であることが痛感されます…。

-終-

 

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