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共通通話表(フォネティックコード)と無線通話符牒 〈3JKI07〉

次いで軍用や警察無線での無線通話符牒について触れたい。これらは平文(暗号、隠語を使用しない無線)での交話で基本となる符牒部分だ。必ずしも軍や警察組織において、常にこれらの通りの符牒を用いて無線交話が為される訳ではないし、また特に呼出等については省略される事も多い様である。あくまでも一つの参考であると理解して欲しい。

こちらは…:This is…  感明確認:Radio check 応答せよ(どうぞor送れ):Over  感度大:Loud 通信終わり:Out 感度小:Weak 了解:Roger  明度良:Clear 了解:Copy  明度悪:Noisy 要求:Request  感明良:Loud & Clear 許可:Wilco  感明良:Roger 不可:Negative  再送せよ:Say again 待て:Wait  再送する:I say again 待て:Standby  感度無し:Nothing Hard 全般呼出:All Station

続いて、いくらか重複もあるが無線用語全般を掲載する。

承認する:Ack(acknowledgeの略) 通信中の区切り:Break 現在通信中の相手と別な相手に切り替える場合:Break break 通信中の区切りを終了する場合:Break over 作戦遂行時に燃料が欠乏した場合:Bingo 接敵や攻撃を受けている場合:Contact その通りだ:Correct  修正する:Correction …どうぞ:Go ahead  攻撃を了承:Cleared hot 送信内容の確認・復唱要求:How copy 繰り返す場合:I say again 着陸地点:LZ(Landing Zoneの略) 着陸地点は安全・安全を確保:LZ green 敵に注意して着陸地点に進入する必要あり:LZ yellow 着陸ポイントにて接敵交戦中:LZ red 着陸は不可能・敵が着陸地点付近に存在:LZ hot 送信終了:Out  送信以上、どうぞ(返答を待ってる場合など):Over 移動を開始:Oscar mike 無線機の状態確認:Radio check 繰り返し・復唱:Read back 繰り返す:Repeat 了解:Roger 了解、確認した:Roger that 基地へ帰還する:RTB(Return To Baseの略) 合流地点:RV  繰り返しを要求:Say again  無線封鎖の指示:Silence 無線封鎖の解除:Silence lifted 送信内容を確認:Solid copy  ゆっくりの送信を要求:Speak slower  待機要求:Stand by 誘導レーザーが対象に照射された場合:Spot on 宛先が不明で確認する場合:Unknown station 待って欲しい時:Wait 弾薬が無くなった時:Winchester  命令を実行する意志を伝える場合:Wilco(Will complyの略)

最後に少し古い内容だが、サン=フランシスコ市警の無線通信用のコードワードを紹介しよう。米国の警察ドラマなどを観ていると頻繁に登場する数字を並べた符牒で、他の地域でもよく似たものを使用しているが数字が全く異なる場合もある。「3地区、アダム51へ……221発生。タウンゼント通りとロゴス街の交差点付近に急行されたし!」みたいな例のヤツである。尚、この場合の“アダム”は警邏パトロールカーのことだ。

10-4:了解 10-8F:徒歩で警邏中 10-20:現在地を知らせよ 10-29:指名手配・前科の照会 102:酒酔い運転 211:強盗発生 217:発砲事件 219:傷害事件 221:銃を所持した容疑者 222:ナイフを所持した容疑者 405:犯人を市民が確保中 406:警察官からの応援要請 408:救急車を要請 415:騒音の苦情 417:見知らぬ人物がベルを鳴らしている 418:喧嘩 459:空巣 519:自動車(人身)事故 528:火災 529:爆弾

 

また機会があれば、軍関係や警察組織で使用される同様の用語や符牒などについて解説してみたいと考えているが、本稿執筆時に関連して思いついた話題や事項を下記に余談としてまとめたので、是非、併せて読んでみて欲しい…。

-終-

【余談-1】空戦場面を描いた映画(例:『インデペンデンス・デイ(Independence Day))などでよく出てくる符牒“FOX-1(フォックス-ワン)”は、アクティブ・レーダーホーミングミサイル(ミサイル搭載レーダーで相手を追尾)やセミアクティブ・レーダーホーミングミサイル(発射した戦闘機が目標にレーダー照射してミサイルを誘導)の発射を味方へ伝達する場合の用語。また“FOX-2(フォックス-ツー)”は、IR・ホーミングミサイル(敵機のエンジンなどから出る赤外線を感知してミサイルが自分で追尾)の発射を味方に伝えるための符牒だ。更に“FOX-3(フォックス-スリー)”は、機関砲の発砲を味方に伝えるための用語(米海軍では長距離ミサイルの発射時の符牒としても使われていた)である。

【余談-2】軍用機等が自機のコールサインとして使用する場合は、例えば「イエローリーダー」(イエロー隊の隊長機)であるとか「イーグル・ワン」(イーグル編隊1番機)といった形で使われる。著名な例としては合衆国大統領の専用機はご存知『エアフォース・ワン』(合衆国空軍1番機=大統領乗機)だが、大統領が搭乗している間だけのコールサインである。ちなみに大統領の家族の搭乗機の場合は軍用機・民間機の区別はなく『エグゼクティブ・ワン・フォックストロット』と呼ばれている。個人コールサインとなると、映画『トップガン』ではトム・クルーズ演じるピート・ミッチェル大尉のコールサインは“マーベリック(Maverick)”であり、これは所有する子牛に焼き印を押さなかったアメリカ・テキサスの農場主 S. A. Maverick の名前に由来して、「異端者」から「変わり者」もしくは「一匹狼」という意味に転じた言葉であり、実際にも個人名はほとんど綽名に近いものが多いのだろう。

【余談-3】これも戦争映画で多く登場する“RPG(アールピージー)”だが、本来は符牒ではなく民兵やゲリラが多用するロシア製の対戦車ロケット弾/対戦車擲弾(ручной противотанковый гранатомёт)の略称である。筆者には映画『ブラックホーク・ダウン(Black Hawk Down)』での、MH-60L“ブラックホーク”ヘリコプターを撃墜するRPGが印象深い。

【余談-4】『ジュリエット・ブラヴォー(Juliet Bravo)』は、イギリス・BBCで1980年から1985年まで放送された警察ドラマシリーズ。ランカシャー州の架空の町ハートレーの警察署長を務める女性警部補の活躍を描いた物語で、番組名の『ジュリエット・ブラヴォー』は登場人物の名前ではなく、警部補を表す無線コード「J-B」の“NATOフォネティックコード”での読み方を指している。

【余談-5】筆者の世代にとっては往年の米国ABC系列の戦争TV番組『コンバット!(Combat!)』が懐かしい。この番組に登場する米軍部隊のコードネームはチェス用語から取られており、“チェックメイト(主人公サンダース軍曹たちが所属する第361歩兵連隊第3大隊のコールサイン)”、“チェックメイト・キングツー(K-2はK中隊第2小隊のコールサイン)”、“ホワイトルーク(サンダースが率いる分隊のコールサイン)”、“ブラックルーク(第2小隊の別の分隊のコールサイン”、そして他に“ホワイトビショップ”などが出てくる。またシリーズ前半では“ホワイトルーク”の部分は誤って“ホワイトロック”と吹き替えられて放送されており、筆者などはずっと子供心に「ホワイトロック(白い岩!?)」と思い込んでいたが、第5シーズンでは正しく訂正された。

【余談-6】本編で触れた「10-4」とは米国のCBや警察無線で使われる用語で、「10コード」と呼ばれるものである。「10-4(テンフォー)」は“了解”、「10-10(テンテン)」は“通信終わり”を意味する符牒・略語であるが、これまた筆者には想い出深い子供向けTV番組の『緊急指令10-4・10-10(きんきゅうしれいテンフォーテンテン)』のタイトルになっていた言葉。番組は1972年7月3日から同年12月25日までNET(日本教育テレビ)系列の月曜19:30 – 20:00枠にて全26話が放送された円谷プロ製作の特撮怪獣番組である。

【余談-7】『特捜隊アダム12(”Adam-12″ )』は、米国のTVドラマ。NBC系列で1968年から1975年まで放送されたが、我国では1970年から1972年にかけてフジテレビ系列で放映された30分枠の警察ドラマで、その内容は邦題の『特捜隊…』とは異なり、パトロールカー勤務のピート・マロイとジム・リードの二人の外勤警察官の日常の活躍を描く物語でリアル警官ドラマの初期金字塔。尚、これも本編で解説したが“Adam”とはパトカーを表すコードネームで、“12”とは管轄地域の番号である。ちなみに、劇中で無線により主人公たちに指示を伝えるシャロン・クラリッジは、当時、LAPD(ロス市警)の現役ディスパッチャー(無線でパトカーに指示を送る係)であったそうだ。そしてまたこのドラマも、筆者若かりし頃のお気に入り番組であった…。

【余談-8】FOX製作のTVドラマ『24 -TWENTY FOUR-(トゥエンティフォー)』の劇中で、キーファー・サザーランドが演じる主人公のジャック・バウアー捜査官が頻繁に発する、受信了解の意の“Copy”もしくは“Copy that”は一世を風靡した。筆者の周囲でも、一時期は「ラジャー」の代わりに「コピザ」が流行ったものである…(笑)。

 

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