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我が音楽趣味とオーディオ遍歴 “第1.5世代/Season-1.5” 〈759JKI07〉

ところで前回(“Season-1.3”)ではテナー・サックスの名盤を幾つか紹介したが、自身がアルトを吹く様になると、当然乍らアルト奏者のレコードを色々と聴いて参考にしなければならないと思い、入学からしばらくの期間は改めてアルトの評判の高い演奏を集中的に聴いていたのだが、その内に、とても真似は出来ないが筆者が好きなミュージシャンはやはりアート・ペッパー(Art Pepper)であることを再確認したのだった。

筆者は、アルトは艶やかさを持ちながら繊細でセンチメンタルであるべき、と当時は考えていたから、黒人のパーカースタイル硬派のバリバリと押してくるタイプには、少々、抵抗感があったのだろう。しかもペッパーの演奏は歌心豊かだが時により颯爽とした明るさもあり、愁いや翳りばかりを強調したものではなかった。

Art Pepper『The Return of Art Pepper』

彼の推薦レコードを数枚挙げるとすれば、『リターン・オブ・アート・ペッパー(The Return of Art  Pepper)』は麻薬で服役後の秀作録音を集めた盤、次いでタンパ(Tampa)盤『アート・ペッパー・カルテット(The Art Pepper Quartet』での名演〈ベサメ・ムーチョ(Bésame Mucho)〉は有名だが、ラス・フリーマン(Russ Freeman)のピアノも光る。流麗な演奏が際立つ『モダン・アート(Modern Art)』だが、CD化に際して未発表テイクの超名曲〈サマータイム(Summer time)〉が追加収録された。そしてコンテンポラリー(Contemporary)盤の『アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズムセクション(Art Pepper meets The Rhythm Section)』は当時のマイルスのリズムセクションと組んだ傑作で、いつも以上にグルーヴィでスリリングなアドリブを展開している。

そして次に挙げる人が、フィル・ウッズ(Phil Woods)。演奏者の立場で接すると初期のウッズの演奏は余りにキッチリとしていて肩に力が入り過ぎ、金属質で技巧ばかりが目立つ様な感じを抱く。だが、劇的な感動を与える様なミュージシャンではないが、調子の良い時の音色はとても綺麗で且つ歯切れよくパワフルな印象があり、ミストーンなく高音が綺麗に伸びている時の彼は決して嫌いじゃなかった。また技術面に着目すると、そのフィンガリングとタンギングの技術に関しては段違いの凄さで、やはり大変な名手であることは間違いない。

後年の彼は、情熱的でエモーショナルな鳴りを獲得、情緒的でメロディアスな独特のフレーズが素晴らしいアルト奏者となる。だが印象としては、アート・ペッパーほどには情感に流されず、高速プレイでの超絶技巧に裏打ちされた、心の何処かで冷静な気持ちを保っている演奏スタイルだったと思う。但し、フリー・ジャズ時代は全てが中途半端でいただけない。

Phil Woods『PHIL TALKS WITH QUILL』

多少、前のめりながらも既に閃きを見せている初期のワンホーン盤代表作が『ウッドロア(Woodlore)』、またジーン・クイルとのエモーショナルなバトルをみせる『フィル・トークス・ウィズ・クイル(PHIL TALKS WITH QUILL)』だが、よくよく聴くとバトルと言うよりはアンサンブルの掛け合いの巧さが光るし、とにかくこの二人のプレイは似ていて区別がつかない。次いでは、フランスで結成したヨーロピアン・リズム・マシーンの第1作『アライブ・アンド・ウェル・イン・パリ(ALIVE AND WELL IN PARIS)』、そして最後に熱いライブ・パフォーマンスで魅了する『ライブ・フロム・ザ・ショーボート(LIVE FROM THE SHOWBOAT)』。ジャズファン以外の読者には、ビリー・ジョエル(Billy Joel)のヒット曲〈素顔のままで(Just The Way You Are)〉でのアルト奏者がこの人だと知れば、その力量が理解し易いだろう。

Lee Konitz『Lee Konitz With Warne Marsh』

さて、これもアルトの巨人リー・コニッツ(Lee Konitz)などはリーダーアルバム(『ウィズ・ウオーン・マーシュ(With Warne Marsh)』は好きな作品、『インサイド・ハイ・ファイ(Inside Hi Fi)』も名盤で両盤ともに彼としてはくつろぎ感のあるウォームな作風)を何枚か持っていても、自分が演奏(コピー)する立場になってからは、その高踏的で硬質な演奏スタイルはやはりしっくりとこなかった。そして時としてそのアドリブはリコーダー(縦笛)をハイテクニックで吹いている感じ(稚拙という意味ではなくメカニカルということ、リード/葦を介した温か味が感じられない)がしたりするのだが、気のせいだろうか。まぁ、クール派の代表格としてレニー・トリスターノ(Lennie Tristano)の門下生筆頭として活躍していた頃(代表作は『サブコンシャス・リー(Subconscious-Lee)』)の彼にとっては、そうしたスタイルが当たり前だったのだろう。

しかし1950年代半ばから60年代になると音色に変化が出てきて、ウォームで少し艶が感じられる様になるのだが、理知的なフレージングは昔のままだったりする。だがより後年になると中低音を中心に随分とスムーズな音を聴かせる様に少しづつ変わっていったのだが、結論としては、現実的には初期の彼の様な吹き方(フレージングというより、パーカー臭が極めて薄い事や音の出し方に関して)が、筆者の様な素人には一番手の届きそうな奏法だったのかも知れないが、(当たり前なことに)あれだけの技能とアドリブ能力は到底持ち得ないから、結局はその模倣はムリなのだった…(笑)。

ちなみにチャリー・パーカー(Charlie Parker)のアドリブ・ラインは大胆で劇的な縦横への爆発と跳躍力を持っているが、コニッツのそれは初めは堅実に音を紡ぎながら、やがて水平方向にうねる様に進み、徐々にそのフレーズを積み重ねて大団円に向かうというスタイルで、勿論、途中にトリッキーな音使いも含まれているが、やはり理性で制御されている感じが強い。

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