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【OIC-8】 覚えたら便利な業界用語・・・靴業界編 – 2〈さ/サ行~な/ナ行の言葉〉 〈1647JKI24〉

靴業界編 – 2として、さ/サ行~な/ナ行の業界用語を解説します。

⇒ 靴業界編 – 1〈あ/ア行~か/カ行の言葉〉

⇒ 靴業界編 – 3〈は/ハ行の言葉〉

 

【さ/サ行】

サイドゴア

サイドゴア(side gore)とは、靴のアッパー(甲革)の側面、特に踝の辺りに縫い込まれた伸縮性のあるゴム布(ゴア)のことで、エラスティック(elastic)」とも呼ばれており、実際には両側面の踝の辺りに取り付けられることが多く、伸縮性が高い為に靴の着脱を容易にする他、足首のホールド感を高める効果もあります。このゴアが用いられた短靴を「ゴア・シューズ」、長靴を「ゴア・ブーツ」と言います。靴の両側面にゴアが用いられている「サイド・ゴア・ブーツ」の略称として使われることも多い様です。 

サドル・シューズ

サドル・シューズ(saddle shoes)とは、馬の鞍の様なデザインのアッパーが特徴の靴ですが、「サドル・オックスフォード・シューズ」とも呼ばれ、古くから英国人に親しまれてきた歴史のある靴です。その特徴は、2色のカラーや2種類の素材を組み合わせたアッパー(甲革)のデザインにあります。基本的につま先と踵は同色を使いますが、組み合わせるアッパーには同系色の革を使用する場合と、全く異なった色の素材を使用する場合があります。また基本的にはアッパーに馬の鞍が乗っている様なデザインが主流ですが、使用する素材や色によって様々な雰囲気を醸し出しています。更に、こうした2色または2種類の素材で作られた靴は、「コンビネーション・シューズ」もしくはそれを略して「コンビ・シューズ」と言います。

サンダル

サンダル(sandal)とは、足全体を包まない形状の履物のことで、足を覆う部分がなく紐やストラップなどで甲を押さえる形をとる為に、足を守る機能がほとんどありません。しかし通気性がよく、柔軟な素材で作られているので、一般的に他の靴と比べると大きな開放感があります。尚、このサンダルに用いられる素材は靴の底から甲の部分に至るまで様々で、現在、生産されているサンダルは動物の皮革や天然ゴム、ポリウレタン、プラスチック、そして人工ゴムなどの多種多様な素材が使用されています。

舌革

舌革(tongue)とは、つま先革の後部からインステップに伸びているアッパー(甲革)のことで、「タン」とも呼ばれています。つま先革に縫い付けられて靴紐の下を潜るように通され、特に上端がトップラインの前部に出ているものを「ベロ」と言います。

舌革は主に革靴やスニーカーなどの紐付の靴に用いられますが、甲の中央にあって靴紐を締めた時に革が足に食い込むことや紐が足に直接触れて肌を傷付けることを防いだり、また砂などが靴の中に入ることを防止する役割も持っています。更に、靴紐を結ぶことで靴紐自体の消耗も激しくなりますが、この舌革があることによって紐の不安定さや摩耗が解消されるだけでなく、靴紐が足に引っかかり難くなり、靴に足を滑り込ませ易くなります。

シャンク

シャンク(shank)とは本来、土踏まずを指す言葉ですが、靴業界では靴のインソール(中底)に埋め込んであるシャンク・ピースの略称として使用されています。詳しくはヒールのある靴に見られる土踏まず部分のアーチを支える役割を持つインソールに埋め込まれた芯材のことで、「ふまず芯」とも呼ばれています。体重が掛かっても靴が歪まない様にする役割を持っている強靭な芯材で、木材や革、プラスチックなどの素材が使用されています。

スクウェアトゥ

スクウェアトゥとはトゥフォルムの一種で、文字通りのスクウェア、つまり四角い台形をした先端を持つ靴のことです。イタリア系のモード靴に多いとされています。

スタック・ヒール

スタック・ヒール(stack heel)とは、革や板などの薄い素材を多層に積み重ねて作ったヒールのことで、スタックド・ヒールとも呼ばれます。スタック・ヒールの長所は、一般の革巻きヒールよりも衝撃に強く耐久性が高いことです。デザイン的には、共革で巻いたヒールよりも少しクラシックな印象になります。ちなみに簡易な製造法には、多層の縞模様を印刷したものを貼り付けるもの(「プリントスタック」)もあります。

ステッチ

ステッチ(stitch)とは、針を用いて革に糸を通す際にできる靴の縫い目のことです。本来、縫うという作業は素材と素材を縫い合わせることを目的としていますが、ステッチは縫い合わせによる素材の接合ではなくデザイン的に施される場合も多くあり、鎖が連なった様な見た目の「チェーンステッチ」や「モカ縫い」のU字型のものなどがその代表的です。モカシンだけでも、「モカ」と呼ばれる上部のアッパーをサイドに載せて縫ったタイプや切り口を合わせて上向きにして縫い合わせたもの、モカを使用せずに革をすくって縫ったものなど、様々な縫い方が存在します。

ストラップ

ストラップ(strap)とは、帯状の紐(ひも)のことです。但し、通常の靴紐は「シューレース」と呼ばれる別物であり、ストラップの方は足を靴に固定するベルトやバンドのことを指します。パンプスの様に履き口が広い靴を支える為の紐状のベルトだったり、踝部分を一周する形状で足首を固定する役割のストラップも存在します。またストラップは、つま先革や腰革の延長である場合と、後位から接合した形があります。

尚、ストラップは機能よりもデザイン優先のものが多い様ですが、広く開いた履き口の両サイドにストラップを渡すことで靴が脱げてしまう事を防止し、更に歩行時に安定感を与える効果も有しています。

ストラップには多くの形状があり、また用いられている部位やその本数などでも呼び方が変わります。例えば、モンク・シューズに用いられているアッパーをバックルで留めるベルト部分を特に「モンク・ストラップ」と言い、足首をぐるりと一周して巻ける形にデザインされた「アンクル・ストラップ」などもあります。他にも「ワン・ストラップ」や「クロス・ストラップ」、「バック・ストラップ」など、様々な種類があります。

ストラップ・パンプス

ストラップ・パンプス(strap pumps)とは、ストラップがついたパンプスの総称です。このパンプスの種類には、先ずストラップが甲の履き口の高い位置に付いた「インステップ・ストラップ・パンプス」があり、足首に近い部分で甲を留めることによって安定感を持たせています。次いでストラップが踝部分に付いた「アンクル・ストラップ・パンプス」があり、踝を一周するストラップにより足首を細く見せる効果があります。最後の、T字型ストラップが甲の一番高いインステップ部分に付いた「Tストラップ・パンプス」は、これも足首を細く見せる効果を持つと共に縦のストラップがあることでより安定感が増しています。こうしたストラップ・パンプスは、どのタイプも足が固定されるので履き心地がしっかりとしています。

ストレート・チップ

ストレート・チップ(straight tip)とは、つま先革が横一文字に切り返されたデザインで、見た目には一直線のストレート模様が入った形の靴のことですが、我国では「一文字飾り」、洋靴の本場・英国では「ストレート・トゥ・キャップ(straight-to-cap)」と呼ばています。一般的に革靴はどうしても履き皺(シワ)が付いてしまう傾向がありますが、ストレート・チップは一文字部分よりも前のつま先革に皺が付きにくいので、比較的、長期間にわたり美観を保つことが可能とされています。

この靴には、「メダリオン(穴飾り)」などの装飾が施されていないものも多く、見た目がシンプルであることから、公的(フォーマル)な場面に向いた靴とされており、なかでも黒色のものが最も格式が高く(冠婚葬祭などの)正装向きとされています。但し、装飾があるタイプもあり、「メダリオン(メダルの様な小さな穴が開いたタイプ)」や「パーフォレーション(大きめの穴が並んだタイプ)」、「パンチド・キャップ・トゥ」が施されたものを「セミブローグ」、「パンチド・キャップ・トゥ」と「パーフォレーション」だけが施されたものを「クォーターブローグ」と言います。

ストレッチ

ストレッチとは、専用の機械を利用してサイズの小さな靴の革を伸ばして靴幅を調節する修理方法のことで、「シューストレッチ」とも呼ばれています。但し、短時間で強制的に伸ばしてしまうと縫い目が裂けてしまうことがある為、ある程度の時間をかけてゆっくりと靴へのダメージが最小限になるようにサイズを調節していきます。

一般的に日本人の足は平たく横幅が広いという傾向があり、同じサイズでも海外製の靴を履いた場合には靴幅が狭く感じることがあります。この様な場合にはストレッチにより幅出しを行い、自分自身の足にフィットする靴へと調節することで、足への負担を減らすことが可能なのです。しかし素材やデザインによっては、このストレッチ作業が行えないこともあるので、注意が必要です。

スニーカー

スニーカー(sneaker)とは、ゴム底で紐付きの布製の靴のことです。また英語では「スニーク(sneak)」には「こっそり近づく」とか「忍び寄る」、「うろうろする」等の意味があり、靴底の硬い靴と比較して柔らかい素材を使用しているスニーカーの場合は、その足音が小さいことからこうした名前が付けられたとされていますが、特にこの言葉は、1916年にケッズ(Keds)社がプロモーションにおいて「音を立てずに忍び寄れる靴」というキャッチフレーズを用いた事実から生まれたとも伝わります。

但し、その直接的な始まりは何れも英国由来であり、1893年にキャンバス地にラバーソールを使用したボート競技用の運動靴が発明されて、それを進化・発展させたものが現在のスニーカーだとする説や、1895年にリーボック(Reebok)創業者のジョセフ・ウィリアム・フォスター(Joseph William Foster)が自ら製作した(靴底に釘を打ち付けた)陸上競技用スパイクに端を発しているとかの諸説があります。

更にスニーカーの歴史で重要なことには、1908年に創業したコンバース(CONVERSE)が、現在でも愛用者の多いバスケットボール専用のシューズの名作「オールスター(ALL STAR)」を1917年に発表した事でしょう。以降、スニーカーと云えばバッシュ系を指すことが多くなりました。

ちなみに、短いスニーカーは「ローカット・スニーカー」と呼ばれ、踝を覆い隠すような丈の長いスニーカーは「ハイカット・スニーカー」と言います。

スパッツ

スパッツ(spats)とは、短靴の上から被せる様に装着する、踝や脹脛(ふくらはぎ)を覆うカバーのことです。このスパッツには主にフェルトやリネンなどの素材が用いられており、ボタンやベルト等で留めるのが一般的で、男性・女性それぞれにスパッツがあります。

元来、軍用の脚絆(きゃはん、ゲートル)から発展・進化したともされますが、19世紀から20世紀初頭にかけてフォーマル用途や防寒用として流行しました。現在は踝丈のものから脹脛部分までを覆う様々なタイプのスパッツが使用されています。またこのスパッツの装着により、工夫次第ではショートブーツだったりロングブーツの様に見せることも可能な為、お洒落アイテムとしても大いに利用されています。

尚、ファッションアイテム/衣料としてのスパッツは、脚や腰にフィットするタイツ状のものを指す事が多いのですが、本来は上記の通り、脚や靴を土埃や泥水の跳ね返りから守る目的で脛の部分に巻く一枚ものの布または軟革をバックルやボタンで固定し足の甲を覆う形のレギンス(leggings、短ゲートル/半脚絆)を意味する言葉だった模様です。

スライダー

スライダー(slider)とは、靴に付いているファスナーを開閉する目的で手で掴んで上げたり下げたりするパーツのことです。 またファスナーは、生地とレールにスライダー、そしてスライダーを止めるストッパー金具から成り立っています。尚、スライダーには種類があり、セミオートスライダーの他に一般的な婦人ブーツに採用される事が多いオートスライダー(通称ストッパー付き)、バックなどで両方に自由に動くフリースライダー(通称ストッパーなし)などと多数があります。

ファスナーを長期にわたり使用するとその金属部分が擦り減ってしまう為に噛み合わせが弱くなり、ファスナーの開閉がスムーズに出来なくなる事がありますが、生地やレール部分が傷んでいなければ必ずしもファスナーを交換する必要はなく、スライダーだけの交換で元通り使える場合もあります。

スリッポン

スリッポン(slip on)とは、靴紐や留め金具がない靴のことです。正式な名称は「スリップ・オン」、もしくは「スリップ・オン・シューズ」であり、スリッポンとはそれらの略称となります。靴紐やバックルなどの金具を使わない方法で、つまり靴そのものの形状だけで靴を足に固定させるタイプであり、ある意味では靴本来の基本的な形状とも云えます。またパンプスやモカシン、ローファー等もスリッポンに含まれ、更に男性用にも女性用にも用意されていて、今では季節を問わずに履けるカジュアル靴の定番となっています。

セーム革

セーム革(chamois skin)とは、我国では一般的には鹿皮と表記されますが、鹿・山羊等などの皮の銀面を落として油(タラ肝油など)鞣した革で、淡黄色をしておりその材質は柔らかく洗濯も可能です。手袋などの衣料製作の材料に用いますが、ガソリンの濾過用やガラス拭きにも使用されます。当然乍ら、靴磨きの際にも多用されています。

先芯

先芯(box toe)とは、靴のつま先部分のアッパー(甲革)と裏革の間に挿入する芯材のことです。この先芯には、銀付きや床革などの天然素材の他に布類・和紙などに加えて色々な合成素材も用いられています。またハード芯とソフト芯があり、硬いハード芯はシンナーなどの溶剤で素材を溶かしてつま先の形に成形します。一方、ソフト芯は接着剤などを使用して取り付けています。尚、ハード芯は釣り込みがし易く、ソフト芯の場合は釣り込みが難しいという傾向があります。

先芯は靴のつま先部分の形状を保つ(型崩れを防ぐ)目的だけではなく、つま先を保護する役割もあります。JIS規格(日本工業規格)は、危険を伴う作業現場で履かれる安全靴などに先芯を入れることを義務付けており、かつては安全靴には鉄素材の先芯が多く使われていましたが、現在は強化プラスチックなどの軽い素材の使用も一般化しています。

セメンテッド製法

セメンテッド製法とは、アッパー(甲革)と表底を接着剤で貼り合わせた後に加圧密着させる製法のことです。甲の革と中底や表底が縫われずに接着剤により接合されていて、縫製されていないので強度が弱いとも云えますが、接着剤を使用することで様々なタイプのソールに対応可能で、デザイン的にも広く対応が出来ます。構造が簡単で作業工程が短縮可能であり、機械による量産化が実現出来ることから、一般的に安価・廉価な靴の大量生産に適しているとされています。

尚、この製法による靴はアッパー(甲革)とソールの間に縫い目が存在しないので、雨天時などに水分が靴の内部に染み込み難いメリットがあります。そして更に軽くて屈曲性に富む反面、靴底が擦り減った場合にも原則としてはソールの交換が出来きず、長期間の利用には向いていないともされています。

センター・シーム

センター・シーム(center seam)とは、靴のつま先部分から履き口方向に向けて伸びた(主に)中央部を切り替えて縫った縦方向の縫い目のこと、もしくはその縫い目が施された靴を指します。このセンター・シームは伝統的な紳士靴に見られるデザインの一つですが、本来はつま先の空間に余裕を持たせる為に考えられた実用的な縫い方でしたが、縦に入った縫い目が足を長く見せる効果があることから、この縫い方を使用したデザインは男性用だけではなく女性用にも用いられることになり、現在では短靴以外にもくブーツ等にも取り入れられていますが、返し縫いで糸目の表面に出ないタイプや、つまみ縫いによりカジュアルでラフな感覚を表現したものなどがあります。

足囲

足囲(そくい)とは、足の親指と小指の付け根部分を取り巻く周囲の長さのことです。靴の採寸は甲の高さも考慮に入れるので、足幅だけではなくこの足囲の寸法も重要とされています。足幅を測った所と同じ部分をメジャー等でぐるりと廻し、その部分の足の厚みを測ります。そして、この長さが「ワイズ」を選ぶ際の一つ目の基準となります。

足長

足長(そくちょう)とは、踵から最も長い足指の先端までの長さのことですが、親指が長い人や人差し指が長い人など、人によって測るところが異なります。そして、この長さが「サイズ」の基準となり、この足長と足囲を計測すると「サイズ」が分かります。

足幅

足幅(そくふく)とは、脚の親指のつけ根部分と小指のつけ根部分を一直線に測った時の長さのことです。足囲に対して足幅のしめる割合により、足の甲の形状が判別できます。そして、この長さが「ワイズ」を選ぶ際の二つ目の基準となります。足囲・足長と足幅の計測が完了したら、サイズ・ワイズ表と照らしあわせて自分の足の寸法・形を判定します。

ソール

ソール(sole)とは靴底の総称のことですが、靴底にも種類があり、地面に触れる外側の部分をアウトソール(本底)、内側の底をインソール(中底)、後から入れる中敷きのことをインナーソールと呼びます。また、インソールとアウトソールの間に挿入されるものをミッドソール(中板)と言います。ちなみに、アウトソールのみを指してソールと呼称する場合も多い様です。

アウトソールに用いられる素材には、ゴム製と革製があります。ソールの表面が波打った形状をしているクレープソールなどがゴム素材のラバーソールの代表例ですが、他にも登山用やアウトドア用、そして軍用など、各靴メーカーが独自に開発したラバーソールも数多くあります。ゴム製や革製以外にも、スポンジ底やポリウレタン底、またフェルト底などのソールが存在します。

外羽根式

外羽根式(blucher)とは、靴紐を通す穴(鳩目/アイレット)の空いた革(「羽根」と云う)が外で開いていて、甲より前の部分に鳩目の部分が乗っている状態の紐靴のことです。

ちなみに一説には、この靴はプロシアの軍人・陸軍元帥だったゲルハルト・レベレヒト・フォン・ブリュッヒャー(Gebhard Leberecht von Blücher)が発明者したとも云われており、米国では考案者の苗字を英語読みにして「ブルーチャー」や「ブラッチャー」と呼ばれる場合が多い様ですが、鳩目部分の形状が競馬のゲートに似ていることから、このタイプの靴は英仏などの欧州諸国では「ダービー」とか「デルビィ(Derby)」と呼ばれています。

羽根の部分が全開可能なので着脱が比較的素早く簡単な上に、足とのフィット感の調節も容易で、靴本来の必要条件を大いに満たしていることから、かつては軍事用だけでなく広く狩猟用や屋外労働用などで用いられてきました。1860年代にはブーツだけでなく短靴、つまり今日の一般的なシューズにも採り入れられて、更に普及が促進されました。

尚、羽根には靴によって二通りのタイプがあり、その一つは靴の皮と羽根の皮が一体化していないタイプでこれが外羽根式ですが、羽根の皮も靴の革と一体化しているタイプを内羽根式(バルモラル:Balmoral)と呼びます外羽根式の靴は羽根が外側に開く作りになっていますが、一方、内羽根式の靴は羽根が甲より前のアッパー(甲革)に潜り込んでいます。活動的な外羽根式に対して見た目にも品格の高い内羽根式は、冠婚葬祭などの公的行事や式典の際などに向いているとされますが、その詳細に関しては同項を参照ください。

 

【た/タ行】

タックス

タックス(tacks)とは、アッパー(甲革)をラストに釣り込む作業を行う際、アッパー(甲革)の形を一旦固定する為に打ち込む釘のことです。製靴工程では革の厚さや用途に合わせて複数種類のタックスを使いますが、それらのほとんどは製作の途中で破棄されてしまいます。そして最終的には残ったタックスはヒールなどで隠されてしまいますが、敢えてトップリフト(toplift、ヒール本体を保護するために取り付けられるパーツ)に「化粧釘」として外側から見える形で打ち込まれることもあります。

タッセル

タッセル(tassel)とは、靴のアッパー(甲革)や革ひもの先端などに取り付けられる房飾りのことです。この飾りはローファーやスリッポン等によく見られる装飾類で、タッセルが付いている靴を一般的に「タッセル・シューズ」と呼びます。その中でもスリッポンを特に「タッセル・スリッポン」、ローファーを「タッセル・ローファー」、ウィング・チップのデザインが施された靴を「ウィング・タッセル」と呼びます。こうしたタッセル・シューズは元来は宮廷等の男性用室内履きとして用いられており、房飾りは軍用のブーツにも施されていたそうです。

ダブル・ソール

ダブル・ソール(double sole)とは、アウトソール(本底)とインソール(中底)の間にソールを挟んだ、二重構造のアウトソールのことです。このタイプのソールは労働用の靴で多く使用されますが、稀にデザイン的な使い方としてアウトソールにボリュームを与える為に用いられることもあります。靴底が厚いことから丈夫ですが、実際に履いた時の印象は固くて重くなります。またダブル・ソールの靴は二重構造なので耐水性に優れ、雨天の作業等に適しているというメリットも有していますが、一方で靴底が固い為に、歩行時に反り返りが少なくつま先部分のアウトソールが擦り減りやすいというデメリットがあります。

短靴

短靴(shoe)とは、靴の分類のひとつで丈の短い靴のことです。履き口の丈が短いものが短靴と言えば分り易く、短靴は踝の下までの短い靴の事となります。

短靴を含めた靴とは履きものの一種であり、足を包む形のものを指します。短靴以外の主な履物には、靴底以外は紐や帯などで固定する「サンダル」や、踝より上に履き口が伸びている「ブーツ」があります。ちなみに靴の範疇に入る履物は、一般的に足の甲の部分が3分の1以上覆われていて踵の部分が固定されているものを指します。足の固定部分と履き口の丈の高さで、その呼び方は変化するのです。

チャンネル

チャンネル(channel)とは、ウェルト製法などでアウトソール(本底)やインソール(中底)を縫い付ける際に、糸が通り易い様に各々の縁に掘られる溝のことです。我国では「ドブ」と呼び、溝を掘る工程を「チャネリング」、または「ドブ起こし」などと言います。

また、靴底を縫い付ける糸が見える形で底付けしたものを「オープン・チャンネル」と呼びます。反対に、縫い付ける糸が見えない様に底付けしたものを「ヒドゥン・チャンネル」、もしくは「伏せ縫い」と言い、このヒドゥン・チャンネルは手間を要する為、高級革靴に使用される加工方法で、底革の端から薄く切れ込みを入れて、革をめくった中に糸を納める目的のチャンネルを掘ります。このチャンネルが無いと、薄い革を戻した時に縫い付けた糸がごろついてしまい綺麗に収まりません。

チロリアン・シューズ

チロリアン・シューズ(tirolean shoes)とは、アルプスのチロル地方で履かれていた革靴のことです。チロリアン・シューズの原型は、アルプスのチロル地方の伝統的な靴「チロリアン・ブーツ」です。チロル地方は傾斜が多い土地であるため、チロリアン・ブーツのような丈夫な革靴は、草原で働く牧童たちに愛用されていました。甲部はモカシンのようなU字型の袋縫いで、粗めのステッチワークが施されています。靴底には頑丈なラギッドソールを使用したチロリアン・シューズが多くあります。

登山靴製法による重厚な作りのチロリアン・シューズは防水性に優れており、雪にも強いため、軽登山の普段履きとされています。革靴全般の特徴でもありますが、チロリアン・シューズは履き続けることで足にしっくりと馴染み、ソールの張り替えをすることにより、長い間履くことができます。本来はアウトドアで履かれる靴ですが、現在はカジュアルな洋服にも合うようにデザインされたものも数多く登場しています。

釣り込み(吊りこみ)

釣り込みとは、製靴工程の中でも重要な作業の一つです。 先芯・月型芯を挿入したアッパー(甲革)を中底を仮り止めした靴型に被せた後、アッパー周辺を引張り靴型に沿って密着させて釘/鋲(タックス)もしくは接着剤等で中底に固定させる作業のことです。

先ずは「トーラスター」(つま先部をまとめる機械)でつま先を釣り込みます。次いでアッパー(甲革)を「ワニ(ピンサー)」と呼ばれるペンチの様な工具で革を引っ張りながらサイドを釣り込んで木型に釘などで留めていき、これである程度靴の形が出来上がります。その後、「ヒールシートラスター」(踵部をまとめる機械)で踵部を釣り込み、「パウンディングマシーン」という機械で踵のエッジを出してヒールの接合部が綺麗に見える様に仕上げます。この様に使用する革の癖を見ながら必要な力と正しい方向へと釣り込むことにより、長年にわたり型崩れし難い靴が完成するのです。

ちなみに釣り込み作業では、叩き作業が重要とされています。トゥの部分は特に念入りに釣り込み、皺を潰していき、踵周りも充分に叩くことが重要とされています。

当然ながら、この釣り込み作業は機械化をした方が簡単なので、現在ではほとんどが釣り込み用の機械を用いています。またこれらの釣り込み機は、トウやサイド、ヒール・シートに分かれて部位毎に釣り込むのが一般的となっています。

靴は本来、複雑な曲面から構成されており、材料である革も繊細な性質であることから、それを経験値からバランスよく人間の手で釣り込む「手釣り」の方が素材である革にストレスを強いず、仕上がりに余裕が生まれ革張りに無理がない靴が完成出来るとされています。但し、最近ではコンピューター制御の釣り込み用機械が多数開発されていて、細かく繊細な調整にも対応した釣り込み作業が可能となっている様です。

ティー・ストラップ

ティー・ストラップ(T-strap)とは、広くカットされた靴の履き口から、足首に向かって縦に伸びるT字型のストラップのことです。このティー・ストラップは、カットされた甲の中心部分から足首に向かって縦に伸びる細い革と、踝付近の両サイドに渡された細いベルトによってT字型になっています。両サイドに渡されたベルトの片側にはバックルなどの留め具がついており、それを開閉することで着脱が可能になっています。ティー・ストラップは足の甲をしっかり固定する為に歩行が安定するだけでなく、足首とつま先の間に一本の革が縦に通っていることから、足を細く見せる効果も併せ持っています。このティー・ストラップは、比較的、サンダルやパンプスなどの女性靴に用いられる場合が多い様ですが、他には子供靴などにも見られます。

デッキ・シューズ

デッキ・シューズ(deck shoes)とは、ヨットやボートの甲板で滑らないよう、靴底に切り込みの入ったラバーソールが使用されている靴のことです。このデッキ・シューズの別称は多く、「デッキ・モカシン」や「ボート・モカシン」、「ボート・モック」、そして「ボート・シューズ」とも呼ばれています。元々は濡れたヨットの甲板(デッキ)で滑らない様に作られた機能靴で、横に細かい溝を波状に入れたゴム製アウトソールが特徴です。

ちなみに米国の靴ブランド「スペリー トップサイダー(SPERRY  TOP-SIDER)」が、世界で初めてこのタイプのデッキ・シューズを作ったと言われています。当該社はボートやヨット専用のシューズ・ブランドとして1935年に自身も船乗りであった実業家のポール・A・スペリー(Paul A. Sperry)によって設立されました。犬の足に特徴的な溝があることにインスピレーションを受けた創業者スペリーは、開発中のシューズにラバー製のソールを採用し、これが世界で最も優れたデッキシューズの誕生に繋がります。

切り込み入りのラバーソールを使用する他、水中に入ったときに靴が脱げない為に履き込み口には甲に回して結ぶ紐が付いている点が特徴です。また一般的なデッキ・シューズには紐が付いており、水に強いオイルレザーを使用した革製のモカシン(U字型の縫い方)タイプが多いのですが、キャンバス素材が使用されているものや、スリッポン(靴ひもがない靴)タイプのデッキ・シューズもあります。そして現在は、船上とは関係なくスニーカーと似た形で履かれることが多く、男性用や女性用、更に子供用などがあり、色や種類も多種多様です。

トップ・ステイ

トップ・ステイ(top stay)とは、履き口の外側に施される縁取りのことで、摩擦が起こり易く消耗し易いトップ・ライン(履き口)を保護する目的で縫い付けられます。基本的にはアッパー(甲革)と同じ素材・色が使用されますが、デザイン重視から敢えて別途の素材や色が用いられることもあります。また、履き口の外側に縫い付けられる縁取りがトップ・ステイと呼称されるのに対して、内側の縁取りを「トップ・フェイシング」と呼ぶ様です。

トップ・パッド

トップ・パッド(top pad)とは、トップ・ライン(履き口)に縫い付けられる柔らかい素材の入ったパッドのことで、スポーツ・シューズやカジュアルなシューズなどに多く用いられています。靴の中でも摩擦が起こりやすいトップ・ラインにこのトップ・パッドを付けることで、足が密着して摩擦が軽減します。革の様に硬い素材を使用すると効果が期待できませんが、スポンジなどの柔らかい素材を用いる事で、足の動きに余裕が生まれるのです。

トップ・ライン

トップ・ライン(top line)とは、靴の履き口のことです。このトップ・ラインは靴を着脱する際の足の入り口となる部分ですが、靴の形状を決める箇所でもあります。この高さによって短靴か長靴かに分かれ、踝よりも下であれば短靴となり、踝より上であれば長靴(ブーツ)とされます。またブーツだけでも、「デミ・ブーツ」や「ショート・ブーツ」、「ハーフ・ブーツ」、「ロング・ブーツ」、そして「スーパーロング・ブーツ」など、トップ・ラインの高さによって細分化されています。更に履き口の広さも様々あり、「アンクル・ブーツ」の様に狭いものや「スリッポン」の様に広いタイプなどがあります。そしてこのトップ・ラインには、装飾が施されているものもあり、外気の進入を防ぐ目的も兼ねた毛皮などが取り付けられた冬用ブーツなどがその好例です。

トレッキング・シューズ

トレッキング・シューズ(trekking shoes)とは、軽登山向けの靴のことで「トレッキング・ブーツ」や「ウォーキング・ブーツ」、「キャンピング・ブーツ」等と呼ばれることもあります。またトレッキング・シューズの「トレッキング」には「ぶらぶら歩く」という意味があり、そこから気軽なハイキングなどの山歩き用の靴の名称となりました。一般的な登山靴はアッパー(甲革)が革製で、長さはアンクル丈で編み上げてあり、アウトソールは厚く、滑りにくいように加工が施されています。一方、トレッキング・シューズではソールの厚さや適度な重さが安定感を生むことから、若干、足場の良くない山道でも安心して歩くことが可能です。またトレッキング・シューズは、本格的な登山靴よりも軽量でラフに履けることから、ファッションアイテムとして用いられることもあります。

ドレッシング

ドレッシング (dressing) とは、靴に靴用クリームまたはグロスなどを塗布して、シューズの仕上げや外観を維持することを指します。

 

【な/ナ行】

中物

中物(bottom filling /filler)とは、アッパー(甲革)をラスト(木型)に釣り込む際に生まれる凹面を埋めるために、インソール(中底)とアウトソール(本底)の間に入れるクッション材のことです。この中物には足当たりを良くするだけでなく、長く履く内に靴を足に馴染み易くする効果もあります。

アッパーを釣り込んだ際に出来る凹面をそのままにしておくと足当たりが良くない為に、クッションの役割を果たす中物を挟みますが、この場合の中物素材はスポンジやコルクなどが主です。グッドイヤーウェルト製法ではインソール自体を厚く作れないので、リブの厚みに合わせたコルクなどの中物を詰め込みます。但し、靴の製法によっては中物を入れない方法もあります。例えば、ゴム底をつけるバルカナイズ製法では、袋状になったアッパーを金型に入れて未加硫のゴムを流し込んで底を形成・圧着するので、中物が存在しません。子供靴などに用いられるステッチダウン製法でも、アッパーとアウトソールをシンプルに縫い付ける製法なので中物が存在しません。

鞣し/鞣す

鞣し(なめし)とは、生ものである皮はそのままにしておくと腐敗したり劣化したりしますが、そうした皮を利用出来る様に腐敗や劣化から防ぐ加工技術のことを指します。また、単なる素材の保護目的だけではなく、耐久性を持たせる他に革製品として利用できるように必要な作業のことを総じて鞣しと呼ぶ様です。

動物の皮は、柔軟性に富み非常に丈夫ですがそのまま使用するとすぐに腐敗したり、乾燥すると板のように硬くなり柔軟性がなくなります。この大きな欠点を樹液や種々の薬品を使って取り除く方法のことを鞣しと言います。また鞣していない状態を「皮」と呼び、鞣した後を「革」と呼んで区別しており、鞣し工程を経て皮は革へと変化するのです。

さて鞣しには、大きく分けて2つの方法があり、その一つは「タンニン鞣し」、もう一つは「クロム鞣し」と呼ばれています。他に、その両方の鞣し方を組み合わせた「混合鞣し」があります。それぞれの鞣し方法に合った鞣剤を皮に浸透させコラーゲン繊維と結合させて、耐久性を高め耐熱性を与えます。

先ずタンニン鞣しは、皮革の鞣し方法の中でも最も伝統的な方法とされています。この方法は「渋鞣し」・「植物鞣し」とも呼ばれ、皮の中のコラーゲン成分を結合させる働きを持った植物に含有されている「渋(タンニン)」を使用して、皮中の繊維組織を固くしてその性質を安定させる効果があります。

このタンニンを含んでいる植物は多数ありますが、現在、主に使われているのは南アフリカ産のミモザから抽出した「ワットルエキス」や南米のケブラチヨから抽出した「ケブラチョエキス」、欧州のチェスナットから抽出した「チェスナットエキス」などで、これを各々単独で使用したり混合したりして鞣し作業を行っています。鞣された革は伸縮性が小さく堅牢なので、鞄や靴などの立体化して製作する革製品に適しています。

続いてクロム鞣しですが、合成剤(硫酸クロム・重クロム酸ナトリウム・クローム塩など)を利用した化学的な方法による鞣技法です。タンニン鞣しに比べて、現在では革製品の多くはこのクロム鞣しにより作られており、その特性としては柔軟性や伸縮性に富み、熱にも強い革を作ることが可能です。タンニン鞣しで作られた植物タンニン革に比べて鞣剤の結合量が少ないので、軽くて吸湿性も大きいとされています。

最後に混合鞣しですが、これは多種多用の革製品の為に研究された技術で、タンニン鞣し、クロム鞣しの特長を組みあわせた方法で各々の欠点を補う効果があり、セーム革の製造等にも使用されます。

縫い補修

縫い補修とは、文字通り縫って靴を補修することです。通常、革製品の補修をする場合は、基本的に元の縫い目に沿って縫いますが、新しい革を縫う際には目打ちや鳩目(ハトメ)抜き、菱目打ちなどを使って縫い穴を最初に作ってから縫う作業に入りますが、薄革の場合は縫い目を開けずに直接縫うこともあります。またモカシン縫いの縫い目のほつれやストラップの付け根などの補修、そして革が切れてしまった部位に関しても縫いで補修する事は可能ですが、但し特殊な製法で作られた靴や、素材・部品の取り寄せが不可能である場合は、縫い補修では修繕が出来ない事もあります。

ヌメ(ぬめ)革

ヌメ革とは、タンニン鞣し(鞣し/鞣すの項参照)を施しただけで型押しなどの表面加工をほとんど施さずに仕上げた染色・塗装が為されていない革のことです。革本来の自然でナチュラルな風合いが魅力的で、高い質感や滑らかな手触りが特徴とされています。そしてこの革には、表面加工がされていない生の革であることから革の元の持ち主である動物それぞれの個性が残っていて、生きている時に出来た傷痕(「バラ傷」・「トラ」)や血が通っていた痕(「血筋」)などが数多く存在しますが、これらは本革である証なのです。

またヌメ革は、経年変化により使い込む程に質感や色合いが変質・馴染んでくることもその魅力の一つとされており、更にこのヌメ革により製作された靴は高い強度を併せ持っています。そしてこの革は、数多い革の中でも最も革らしい雰囲気を持っていることから「革の中の革」・「革の王様」と呼ばれています。

ヌメ革は、他の皮革に比べて繊維の目がキュッと詰まっているので大変丈夫な革ですが、その為に使い始めはややゴワゴワとした硬質な感じがしますが、使い込んでいくと徐々に繊維がほぐれて柔らかくなり、手触りも随分と馴染んできます。その色味も当初は主に薄く乾いた茶褐色等ですが、使い続ける内に素手で扱うとその脂分が付着することや直射日光を浴びたりして、それらの影響で艶が出てきて色合い自体も飴色へと変化したりと、使用年数を経るほどに風格・重厚さが増していきます。

そして少々、手荒い扱いをしても革自体が大きく損傷することはありませんし、正しく丹念な保守・メンテナンスをしていれば長期間にわたり使い続けることが可能です。しかしヌメ革は素材自体は固いのですが、表面加工が施されていませんので傷が付き易く、爪があたったり、ちょっと擦るだけでも簡単に傷跡が付いてしまいますが、ある意味、そういった傷跡さえも一種の味わいに思える様な不思議な魅力を持った革なのです。

但し、表面加工をされていない為に傷だけではなく、水分には特別弱いので取扱いには注意が必要です。特に使い初めに水に濡れると染みに成り易いので、ある程度、使い込んで表面が自然の保護膜などでコーティングされる迄は雨天の日などには使用しない様にした方が良いでしょう。また、下ろし立てのヌメ革は汚れ易いので、入手後にヌメ革専用のクリームを塗って日光浴をさせると、汚れが着き難くなるとされています。

その後の日頃の手入れは、素仕上げのヌメ革製品もワックス加工がされたものも、乾拭きや小まめなブラッシングに加えて定期的に「レザープリザーバー」を塗り込めば充分ですが、更に使い込んで汚れや革のひび割れが気になってきたら「シリコンポリッシュ」を使用すると良い様です。

ノルウィージャン製法

ノルウィージャン製法(Norwegian  process)とは、登山靴やスキー靴など、雪道を歩くための堅牢な靴作りに用いられる製法です。この製法ノルウィージャンウェルト製法とも呼ばれ、元々、ノルウェー人(ノルウィージャン)が愛用することに由来し、極寒の地での過酷な使用法に耐え得る耐久性・防水性を備えた靴の製法なのです。しかし最近では、本来のヘビーデューティーな用途の他に、カジュアルなタイプのシューズの製造にも採用されています。

ノルウィージャン製法は、ウェルトをL字に折り曲げた状態でアッパー(甲革)の外側に重ねて縫い合わせる方法で、先ずはアッパー(甲革)の端部は内側に折り込まずに外へと出します。次いでアッパーとインソール(中底)の底部に彫られた「ドブ起こし」と呼ばれる突起部をすくい縫いし、その後にアッパーの端部をミッドソール(中板)・アウトソール(本底)と一緒に出し縫い(縫い目がコバ上に見える縫い方)をして合わせるのです。

こうしてソール部分を横と縦の2方向でしっかりと固定し、またミッドソールを挟むことで重さと靴底の厚みが増して荒地や岩場などでも路面の凹凸や突起物等から足底が守られ、且つ安定して歩行が可能となります。

またこの様に耐久性重視から履き心地は硬く重い感じの靴ですが、アッパーとソールの隙間が埋まることで丈夫さに加えて防水性が高い靴を作るのに適した製法となっており、これはグッドイヤー製法とノルウィージャン製法の大きな違いにも関連しており、それはウェルト(甲革と本底に縫い付ける細い帯状の革)の付け方に現れています。

グッドイヤー製法ではウェルトは革靴の内側に入れ込まれていて、すくい縫いは外側から見えず、ウェルトとアッパーの間にできた境目から水が入り込み易いのですが、ノルウィージャン製法の場合は、防水性を高める為にウェルトを内側に入れずに外側に出しており、このウェルトがL型に折れてアッパーとソールの境目にぴったりと埋まっているのです。この為、ノルウィージャン製法ではL型ウェルトによりアッパーとソールの境目が見事に塞がれて防水性が大変向上しています。尚、この手法でL字型のウェルトをアッパー端上部に重ねて縫い合わせる「ノルウィージャンウェルト製法」もあります。

ノルヴェジェーゼ製

ノルヴェジェーゼ製法(Ricetta norvegese)とは、イタリアの紳士靴ブランド「ステファノ・ブランキーニ(Stefano Branchini)」が開発した製法と云われています。そしてその最大の特徴は、アッパー(甲革)が側部に残っている事と3本のラインが見えることで、この製法で作られた靴は丈夫で防水性が高いといった実用面と共に、その外観も魅力的な仕上がりとなっていて、特徴である3本ラインが美しさと高級感を漂わせています。

またこの製法はノルウィージャン製法の派生型とされますが、の周りを縁取るようにアッパーとアウトソール(本底)に縫い付ける細い帯状の革であるウェルトを使用せずに、インソール(中底)をウェルトの代わりに使ってインソールをソールの上まで出して縫い合わせます。即ち、この製法の場合にはウェルトがありませんが、その代わりにインソール(中底)などを固定するミッドソール(中板)というものを使い、アッパーの端とミッドソールを縫い付け、そして最後にそのミッドソールと革底を出し縫いするのです

こうしてミッドソールが加わることで足に馴染むまで多少の時間がかかりますが、見た目はドレッシーながらも意外にしっかりとしていて堅牢に仕上がります。但し、ノルウィージャン製法で作られた靴の中でも、一部には3本のラインが見えるものもあり、同じ3本ラインでもアッパーに何もパーツが付いていなければノルヴェジェーゼ製法、逆にアッパーにパーツ(これはウェルトです)が付いていたらノルウィージャン製法の靴ということになります。

さて、ノルヴェジェーゼ製法は実用性を考量して開発されたノルウィージャン製法とは異なり、デザイン性を重視して開発された製法と云えます。ウェルトを使用すると靴が固く分厚くなり、特にソールが厚くなる事を回避する為に、薄いインソールをウェルト代わりに使用したのです。この為、開発されたイタリアではドレスシューズによく使われる製法でもあります。ちなみに「ノルヴェジェーゼ(Norvegese)」というのは、「ノルウィージャン(Norwegian)」のイタリア語訳が語源とされています。

-終-

⇒ 靴業界編 – 1〈あ/ア行~か/カ行の言葉〉

⇒ 靴業界編 – 3〈は/ハ行の言葉〉

 

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