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【三日月ネコの日々是好日記】 カーリングに似たスポーツ(後)、スポールブール・ペタンク・ ボッチャとは 〈1647JKI56〉

前回の【日々是好日記】では、カーリングに似たスポーツとして英語圏で人気のローンボウルズを紹介しましたが、今回はその他のヨーロッパ大陸の国々で多くの支持を得ている同様の競技を紹介していきます。

← ペタンク競技中の写真

前編 ⇒ カーリングに似たスポーツ(前)、ローンボウルズとは

 

さて、この様な投擲型球技タイプの競技が何世紀にもわたってヨーロッパの人々の間で親しまれてきた内に、これらはいつしか“ブール(ボールの意)スポーツ”と総称される様になりました。

そして“ブールスポーツ”と言えば、ヨーロッパ大陸では一般的にはフランスの“スポールブール(sport boules)”やイタリアの“ボッチェ(bocce)”のことを指しますが、広義には前回紹介した英語圏の“ローンボウルズ”や後ほど触れる“ペタンク(pétanque)”や“ボッチャ(boccia)”などもブールスポーツが進化もしくは変形した競技とみなされています。

 

さぁ、それではヨーロッパ大陸を代表する同種の競技であるスポールブールから紹介を始めましょう。

スポールブール(sport boules)は、ヨーロッパ、特にフランスやイタリアで盛んな球技です。フランスでは“ブール・リヨネーズ(boule lyonnaise)”とも言いますが、イタリアにはスポールブールの基本形とほぼ同じルールの“ボッチェ(bocce)”と呼ばれている兄弟競技があります。

そしてフランス語では、“スポール”は「スポーツ」を、“ブール”は「ボール(球)」を意味しており、またイタリア語での“ボッチェの元々の意味は、「ボウリング用の球の複数形」を指し、「球体」を意味するラテン語 ボッティア(bottia)がその由来の様です。 

スポールブールの基本形について説明すると、全長27.5m・幅4m程度のコート内で、“ビュット”と呼ばれる直径 5cm程度の小さい目標球に向かって重さ約1kgの金属製の球ブール=ボール)を転がして自分の球(ボール)を相手の球(ボール)よりもビュットに近づけたり、自分の球を投げて相手の球に当てて弾き飛ばし、それをビュットから遠ざけたりして、最終的にビュットに近い球の側が得点を得るゲームとなります。

この時、ビュット(目標球)に向けて球を転がして近づける方法を“ポワンテ”、ターゲットの球に向かって自分の球を投げ、原則ノーバウンドで当てて弾き飛ばす方法を“ティール”と言い、この二通りの投法の組み合わせでゲームを進めていきす。

必ずしも交互に投げ合う訳ではなく、ビュットから自軍の球が遠い方のチームが次のターンを獲得(ゴルフの打順と同じ)し、自分の球がビュットから一番近くなる様にポワンテしても良いし、少し助走をつけて球を投げて、ビュットから一番近い相手側の球を弾いてもOKです。更にティールによりビュット自体に当てて、ビュットを移動させることも認められています。

そして敵味方双方の持ち球が無くなった時点でビュットから一番近い球の方のチームが勝利となり、ビュットから一番近い相手側の球よりも、その内側にある自軍の球の数が得点となります。

これが最も基本のルールで、1対1で行うのが“シングルス”、2対2で行うのが“ダブルス”という種目です。他にも、コンビネやプレシジョン、プログレッシブにラピッドという4種目が存在します。

世界選手権では6種目全てが行われますが、オリンピックに採用される可能性があるのが人気種目のプログレッシブです。このプログレッシブは、5分間走りながら金属製の球(ボール)を投げ、目標球に当たった回数を競う競技で、助走しながら規定のラインの手前から12.5m以上先の目標球を狙ってボールを投げます。そのまま走って折り返し、反対側の目標球を狙います。この繰り返しで、5分間で何球当てられるかを競い、命中した回数が得点となります。

※ラピットは、2名が4球毎に交代しながら5分間でボールを何球当てられるかを競います。プレシジョンは、それぞれ難易度が違う11球のターゲットにボールを投げて当てた得点を競う種目です。コンビネは、16球ボールを転がして目的球の70cm以内に何球入ったか、また16球ボールを投げて何球当たったかを競う競技です。

尚、イタリアのボッチェ(bocce)はスポールブールの基本形と同一の競技で、“ボッチ―ノ”と呼ばれる目標球に自軍の球(ボール)を近づけて競います。コート等の大きさも同じで、シングルスやダブルスに加えて3対3と4対4の試合形式があります。また使用する球の大きさや重さ・素材などは様々であり、金属製以外にプラスチック等の合成樹脂製(水入りの重いもの)もある様です。またコートは木枠で囲まれていますので、周囲の木枠のクッションが利用でき、ビリヤードに似たプレーも楽しめます。

ところで、これらの競技の祖先に当たるゲームは、エジプトからギリシャやローマに伝わり、やがてヨーロッパのかなりの地域に広がり、特に現在のフランスやイタリアに相当する地域で人気の遊びとなっていきました。その後、中世になるとあまりにも盛んになり過ぎた為、フランス国王のシャルル5世(在位:1364年 – 1380年)が禁止令を出したとの説もありますが、これはイングランドにおけるローンボウルズと同様の経緯ですね。但しこの頃は、スポールブールもローンボウルズも実際には同じゲームだったと考えられ、遊ばれていた地域が異なるだけであったと思われます‥‥。

シャルル5世の場合、前回のローンボウルズの項で触れたイングランドのエドワード3世の禁止令より少し後で、リチャード2世の禁止令とほぼ同年代の発令と考えられます。

その後のヨーロッパ大陸ではこの種の球技が益々盛んとなり、例えばフランスの人文主義者で作家・医師のフランソワ・ラブレー(François Rabelais、 1483年? – 1553年)や同じくフランスの哲学者で美術批評家・作家のドゥニ・ディドロ(Denis Diderot、1713年 – 1784年)などが好んで同種のゲームに熱中したとされ、またスペイン画家であるフランシスコ・デ・ゴヤFrancisco de Goya、1746年 – 1828年)などもスポールブールに近似した競技を楽しんでいたとの記録があります。

しかし、現在のスポールブールの原形となるスポーツが生まれたのは200年近く前のフランスのリヨン地方との説(“ブール・リヨネーズの由来”)があり、更に近代になりルールが統一化された後の組織的な最初の大会は、1894年6月3日から5日にかけて凡そ1,200人が参加してリヨンで行われた大会とされています。

1933年には、世界で初めてフランスにおいてスポールブールの全国連盟が結成されました。そして1946年には、国際スポールブール連盟(Fédération Internationale de Boules)が設立されました。

また、国際スポールブール連盟の上部組織でもある世界ブールスポーツ連合(Confédération Mondiale des Sports de Boules)は国際オリンピック委員会(IOC)加盟団体になっています。スポールブールはオリンピック種目に採用される可能性があり、オリンピックの補完的な競技大会であるワールドゲームズ(次回は2021年にアメリカのバーミングハム〈Birmingham〉で開催)の加盟競技です。

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