Browse By

【三日月ネコの日々是好日記】 カーリングに似たスポーツ(後)、スポールブール・ペタンク・ ボッチャとは 〈1647JKI56〉

ボッチャ(boccia)とは、ヨーロッパで生まれた脳性麻痺者もしくは同程度の四肢重度機能障害者の為に考案されたブールスポーツで、パラリンピックの正式種目です。競技者が障害により球(ボーる)を手で持って投げられない場合は足で蹴るか、介助者の助けを受けて“ランプス(勾配具”)と呼ばれる補助器具を使って自軍の球を転がして競技を行ないますが、一般的にはイタリアのブールスポーツであるボッチェ(bocce)を障害者向けスポーツに改良したものとされています。

※パラリンピックに関しては、1984年の米国ニューヨーク&英国ストーク・マンデビル(エイルズベリー)大会に於いて公開競技となり、1988年の韓国ソウル大会より正式競技として採用されています。

このボッチャは、長さ12.5m × 幅6mのコートを用いて“ジャック(jack)”と呼ばれる白い目標球に対して、赤色 or 青色の直径が100mm弱で重さが270g程度の合皮製の球を各々6球づつを投げたり、転がしたり、他の球に当てたりして、どれだけ近づけられるかを競う競技ですが、両陣営が全ての球を投げ終えた時点を区切り(エンド)とし、ジャックに自軍の球をより近づけた側に得点が与えられ、最終的に合計の得点が多い方の勝利となります。

※赤球・青球の選択はコイントスで決め、赤球のチームが先攻となります。エンドの数及び各エンドで使用する球の数は競技種類によって異なります。

競技は男女の区別なく参加が可能ですが、障害の程度によりBC1~BC4 並びにオープンの5クラスに別れて行われ、個人戦と団体戦(2対2のペア戦と3対3のチーム戦)があります。オープンクラス以外の4クラスがパラリンピック等の国際大会対象のクラスとなっています。

個人戦の場合はエンドは4回、使用するボールは6個です。一方、2対2のペア戦ではエンドは4回、使用するボールは各ペア6個(1人当たり1エンドに3投)となります。更に3対3のチーム戦となるとエンドは6回、ボールは1チーム6個(1人当たり1エンドに2投)となります。また試合に参加する選手は、2.5m × 1mのスローイングボックス内でプレーします。

ボッチャはボッチェ(bocce)を基に派生して、重度障害者が参加できる競技スポーツとして整備されて、20世紀後半以降、急速に世界中に広まりました。その後、日本では1997年に日本ボッチャ協会が設立されて国際ルールを紹介、全国的に普及が促進されていきます。やがて2014年には、一般社団法人 日本ユニバーサルボッチャ連盟が設立され、2016年のリオのパラリンピックではボッチャ日本代表が混合団体(BC1・BC2)で銀メダルを獲得するまでになりました。

このボッチャは障害者向けのスポーツではありますが、他のブールスポーツと同様に球(ボール)を正確に投げる投擲技術と球の位置取りを計算する戦略的な思考が求められます。またペアやチームの団体戦では仲間同士のコミュニケーションが重要視されることも健常者向けの類似競技と同じであり、一見シンプルなゲームに見えてその技術や戦術性は奥深く、最後の1投での大逆転もあり得るスリリングな競技なのです。

 

ボッチャとペタンクとの違い

ペタンクもボッチャもヨーロッパ生まれのスポーツですが、発祥国で分けるとペタンクはフランス、ボッチャはイタリアとなるでしょう。即ち、イタリアにはボッチェという名前の酷似した類似のスポーツがあり、既に述べた通り、このボッチェを障害者向けに改訂したのがボッチャとされているのです。

ペタンクは金属球(重さ600g~800gで直径が約70mm~80mmの球、金属のままや黒鉄色・茶色が多い)を使用し、合皮もしくは本革の革製球(重さは280g前後で大きさは80mm~90mmの球、赤色と青色)を使うのがボッチャですが、ボッチャの球(ボール)の方がはるかに軽く小さい印象で、誰でも持ち易く投げ易いのが特徴です。また弾力があり、人にぶつかっても怪我などには至りません。そしてペタンクの目標球は黄緑色の小さいボールで、ビュットと呼ばれます。黄緑色が一般的ですが、実は色は何色でもOKの様です。かたやボッチャの目標球は白色で、名はジャックと言われて他の球と大きさ等の違いがありません。

本来、ペタンクは屋外競技ですが、ボッチャは原則として屋内でのスポーツです。障害のある人、特に車椅子を利用する人を対象としているので、自然と室内での競技となりました。またペタンクは重みのある金属球を使う為に下手投げが主ですが、これに対してボッチャの投げ方は大変自由です。蹴ることも可ですし、ランプスと呼ばれる傾斜台を使ってもOKです。球が投げられない人の場合は介助者(競技アシスタント)にランプスの操作を指示して競技に臨みます。

 

さて、久々の【三日月ネコの日々是好日記】でしたが、こんなに似た種類の競技があるなんて驚きですね。どの種目も、特定の目標に向かって球(ボール)などを投ずるというターゲット狙いの投擲スポーツです。その細かなルールも大変近似しており、今や大ブレイクした感のある冬のスポーツのカーリングとも間違いなく相通ずるものがあります。

全般的にどの競技に関しても、どうしても身体的要素は軽く見られがちですが、対戦相手側との攻防(自軍の球の防御配置や敵軍の球の排除など)に関して高度な頭脳的思考を要することから、勝利を得る為にはハイレベルな知的要素が要求されます。

また特にヨーロッパでこうしたボールを投げ合う球技が伝統的に盛んな様子ですが、同地域に古くから伝わる教訓・諺には「ボール投げに興じている暇があったら弓矢の訓練をしろ」というものがあるそうで、どうも古(いにしえ)の兵士たちも、これらの遊びが大変好きだったとみえます。更に、賭け事の対象ともなっていたそうですから、尚更、止められませんね‥‥。現代でも、多くの人々がこれらのブールスポーツの熱烈なファンとして、日々、こうした競技に勤しんでいる様です!!

-終-

【参考-1】同様の競技にラッファ(raffa)と云うものがある様ですが、ネットを使い調べましたが詳細は不明でした。世界ブールスポーツ連合(Confédération Mondiale des Sports de Boules、略称CMSB)の傘下で、イタリアに本部がある国際ラッファ連合 (CBI)が統括している模様です。またCMSBは、スポールブール・ペタンク・プロヴァンサル・ボッチェといったブールスポーツ全般の国際統括団体です。本部はモナコに置かれており、モナコ公国のアルベール王子が名誉会長となっています。更に、国際オリンピック委員会(IOC)の加盟団体でもあります。ちなみにワールド・ボウルズ(WB)も2003年から2013年までは加盟参加していました。

【参考-2】日本レクリエーション協会が屋内用に楽しめる様に改良を加えた、ペタンクから派生した競技が日レクボールです。金属球の代わりに(おもり)入りのゴム製のボールが使われる以外は全くペタンクの試合方法と同じとされています。

【参考-3ユニカール(unicurl)は、氷上のスポーツであるカーリングをオフシーズンでも手軽に楽しめる様にと、1979年にスウェーデンで考案された競技で、「ユニバーサル・カーリング」(皆のカーリング)を略してユニカールと呼ばれています。その概要はカーリングと同じく、把手の付いたプラスチック製のストーンを投げて専用カーペットの上を滑らせて得点を競います。3対3の2チームで対戦しますが、カーリングよりもルールが平易であり、身体能力もさほどには必要ないことから、幅広い年齢層の人々が楽しむことが可能なレクリエーションです。しかし、カーリングさながらの奥深さもあり、緻密な作戦とコントロール、チームワークが要求されるスポーツでもあります。

【参考-4】シャフルボード(shuffleboard)は、細長いコートの上でキューと呼ばれる長い棒を使って“ディスク(円盤)を滑らせ、コートの反対側にある“ダイアグラムと呼ばれる得点エリアに運んで得点を競うスポーツです。その起源は、はるか太古の石器時代の穴居人の遺構にも認められています。また中世スコットランドの貴族の間では、この遊びの小型で単純なタイプが流行していました。その後、19世紀後半に船旅の間に甲板で過ごす際のレクリエーションとして広まり、1913年、アメリカのホテル経営者がこれをヒントにフロリダ州デイトナで常設の競技場を始めました。元々、船上の遊戯であることから、カーリングの発祥に大変近いとされます。

前編 ⇒ カーリングに似たスポーツ(前)、ローンボウルズとは

 

《スポンサードリンク》

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。