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経団連“就活ルール”の廃止表明と主要企業の考え‥‥6割以上“ルールは必要”(NHK調べ)

先日、経団連の中西会長が、“就活ルール”の廃止を発表した。これにより近い将来(2023年春の新卒者以降? )、各企業は従来の“就活ルール”により定められていたスケジュールに制限されることなく、自由に学生に対して採用活動を実施することが可能となると考えられている‥‥。

 

廃止賛成派の論理

実は、一部の報道では経団連の最終的な目的は、新卒一括採用、更には日本的雇用システムの再構築であると云うのだが、これは「(現状の雇用制度や採用活動は)終身雇用や新卒一括採用をはじめとするこれまでのやり方では成り立たなくなっている。各社の状況に応じた方法があるはずであり、企業ごとに違いがあってしかるべきだろう」との大手有力企業の経営陣の考えに基づいている。

また「“就活ルール”は既に形骸化していてその見直しは当然だ」との意見や、「国際的な競争下で優秀な人材を獲得するには自由な採用環境が必要である」との主張も目立つ。

更に彼らは、「今の一括採用は過去の高い経済成長期にできたが、どの部門でも務まる代わりに、あまり秀でた能力がない人をたくさんつくってしまう。新卒一括採用のやり方は時代後れだ」と述べ、今後は年間を通じて、専門性を持った若者を採用する企業が増えていくと指摘する。そして「もっと社会に出てから役に立つ競争力や主体性を、大学時代迄に身に付けて入社してほしい」と考えている様だ。

 

廃止反対派の意見

しかし、性急な改革に対する危惧も根強い。大学側の「就活は学業の妨げにもなり得るので、企業側はある程度自制的であって欲しい」との見解や、学生の側の「大学時代は学業は勿論のこと、趣味やスポーツ、アルバイト、遊びや交友など多くの目的があり、出来るだけやりたいことに集中出来る時間を確保したい」との考えを尊重するべきだとの考えである。

更にルール無用の採用自由競争時代においては、従来とは比較にならない程に学生間の格差が広がると云われている。職業意識の高い者が早くから積極的に就活を行うことと比べて、多くのそうではないごく普通の学生が置き去りとなり、就活敗者となってしまう可能性が大である。

また地方の企業や中小企業を中心に、“就活ルール”廃止により採用活動が大企業に益々有利となることを心配する声が上がる。

 

“就活ルール”廃止後の就職活動

ところで“就活ルール”が完全に廃止された暁には、先ず就活期間が早期化し、続いて長期化傾向となるだろうと云われている。次いで新卒一括採用の消滅や通年採用の増加、そして学生間の情報格差拡大など、就活には大きな変化が起こりそうだ。更には、企業が採用活動を前倒すなどして“超青田買い”、別称“種もみ買い”と呼ばれる行為が多く起きるとも。

より具体的な話としては、従来の新卒一括採用においては、採用後に様々な仕事・業務に関してOJT等の力を借りながら経験を積み、結果的に20代半ば~後半の年齢で職業キャリアの礎を構築するというのが、我国のキャリアパスの通常の流れであったが、今後、促進されるだろう長期インターン経由での新卒社会人の採用においては、この(入社後の社員育成)プロセスが早まり大学時代のインターン期間に前倒しとなる可能性がある。

これは欧米型の採用状況に似たものとも云え、我国においても徐々に新卒一括採用が廃れて通年採用が定着していけば、当然ながら入社前にある程度の職業意識と業務スキルを身に付ける必要が出てくるというものである。

 

NHKによる調査結果

こうした中で、NHKが今月(10月)実施した調査100社を対象に新卒採用に関するアンケート調査を実施、97社から回答を得たもの)の結果、全国の主要企業97社の63%が面接解禁の時期などで「何らかのルールが必要だ」と考えていることが判明した。

またその理由としては、「かつて就職協定をなくしたときは就活の超早期化を招いた」等の就職活動の早期化や長期化を懸念する声の他に、学業との両立や中小企業の人材確保に配慮する必要があるという意見が多くあった。

その一方で、「ルールは必要ない」と答えたのは僅かに9%だったと云う。ルール撤廃賛成派の意見は、IT系や通信関連企業、一部の大手製造業などを中心に「多様な人材を確保するうえでは通年採用が有効で、ルールは廃止すべきだ」というもの。

また、政府の未来投資会議で議論される予定の日本型雇用慣行の見直しについて質問したところ、我国企業の国際競争力強化に繋がる仕組み作りを期待する声が、自動車や電機などの大手製造メーカーから相次いだとされる。

尚、地方を基盤とした企業からは、“就活ルール”を定める場合には、それを徹底して順守させる対策が必要であり、ルール破りを抑止する方策を求める意見が寄せられた。

 

この調査の結果は、既に挙がっていた廃止反対派の意見と同様のものが6割を占めている。これは完全にルールを撤廃するよりは、一定の就活秩序を維持する為、やはり「何らかのルールが必要だ」という意見に数多くの企業が賛同していることを表しているのだろう。

筆者としても、段階的で緩やかな変革は許容しながらも、早急な“就活ルール”の全面廃止は、採用戦線で不利な地方企業や大多数の中小企業、そして多くの学生にとっては混乱を助長する可能性が高いと考えている。そこで今後、主体的にこの問題に取り組む政府には、是非とも慎重な検討を願いたいと思うのだが、読者諸兄の意向は如何であろうか‥‥。

-終-

【続報】10月29日、政府は経団連 並びに大学側 双方との協議を経て、今後は国が主導する形で“就活ルール”を存続させることを決定しました。採用活動の解禁日についても、当面は従来通り3月に説明会を、6月に面接を解禁とするとしていますが、来年度以降も改めて採用日程に関して検討を行うとしています。

 

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