Browse By

2019年真岡鐵道検修庫見学 探訪記〈17/38TFU03〉

筆者は、一度は蒸気機関車が検修庫で整備を受けている様子や、炭水車に給炭をする様子や給水をする様子を間近で見てみたいと思っていました。そんな夢が、ついにかなったのです。令和元年5月18日の土曜日、栃木県の真岡鐵道で検修庫の見学ツアーが行われました。今回はその様子をとりあげてみたいと思います。

このツアーは運転を終えた蒸気機関車の整備風景を、間近に見ることができるというたまらない企画です。定員は30名。職員の方の案内で庫内に入るのです。電話で予約をしましたが「汚れてもいいような格好で来てください。」という本格的なものでした。見学予定時間は15時から16時30分というたっぷりコースです。

14時50分、真岡駅の旅行センター前に、今回のツアーを予約した人たちが並びました。家族連れ、マニアの単独参加、カップル名など年齢も性別もまちまちな方々でした。名前を言って参加費用の3000円を払い、引き換えに黄色いヘルメットを受け取ります。

近代的な外観の検修庫。右は給水塔。

そして15時、職員の方から注意事項などの説明を受けました。指定された以外のエリアには入らない事、安全事項には十分注意することなど、大事なお話でした。そして、列を組んで改札からホーム先端に向かい、本来は立ち入ってはいけないエリアについに侵入。間近に気動車の単行の入線風景を見ることができました。

線路の向こうにはめざす検修庫が。あの中にどんな光景がひろがっているのか、楽しみです。職員に先導されてついに庫内へ。庫内は自由に見ていいそうですし、写真も撮り放題だそう。私はまず天井を見上げ、集煙ダクトの存在を確認しました。薄暗い庫内。油の匂い。工具や部品のラック。いいですねえ。ラックには何気なく、ヘッドライトやスピードメーターなどの部品もおかれていて、雰囲気満点です。そして庫内を探検しようとしたら「ピットにも入っていいですよ」というありがたいお言葉が!

ピットは人が入るのがやっと。床は油でツルツル!

床は油で黒光りし、ピットに降りる階段などは氷の上のようにツルツル滑ります。慎重にピット内へ。ここから機関車を見上げて万全の調整をするのか、と思うと現場の方々の苦労がわかります。入れ代わり立ち代わり、見学者が見ていたら、遠くで汽笛の音が聞こえました。慌てて線路の方に向かうと、再び汽笛が。「そろそろ機関車が来ますよ」と職員の方の声で、庫内にいたほぼ全員が線路に注目。

鉄道設備越しに見るC11。模型のミキストのよう。

ゆっくりとC11が3両の客車を牽いて入ってきました。ロッドの動き。ポイントを渡る音。この目線で線路設備内で見られただけでも、かなりのものでしょう。そしてC11は更新し、側線に入り、客車を切り離しました。「ターンテーブルにご案内します」職員の方に促されて、本来は入れないターンテーブルの際まで!ここでかぶりつきで転回が見られるのです。するといつの間にやら、ターンテーブルの近くまでC11も来ていました。短い汽笛を鳴らし、テーブルに乗りましたが軸の位置が合っていないので、やり直し。機関士に指示を送っています。なんのこと?と見学者たちはあっけにとられましたが、ロッドの位置が合わないと重心がずれてしまうそうです。こういう説明も現場ならでは。

ターンテーブルに乗るのも慎重な出来事でした

そして正しい位置に収まり、ゆっくりとターンテーブルが回ります。観光用にあちこちの動態保存の蒸気でもターンテーブルの演出はありますが、これは演出ではありません。向きを変えたC11は給水と給炭を行います。その作業の間、見学者はなんとターンテーブルに乗せてもらいました!もちろん筆者も生まれて初めての経験。いやー、感激しました。180°向きを変えて降りると、機関車の近くに寄っていいとの案内が。給炭はショベルカーが行っていました。給水は昔ながらのホースのお化けのような装置で行われていました。間違いなく生きた機関車の姿がそこにありました。

一通りの作業を終えると、C11はバックして検修庫に入りました。そして見学者も庫内に戻りました。薄暗い庫内に黒光りする機関車がぴったりと収まっています。

水を飲み、灰を落とし・・。蒸気機関車は生き物のよう。

この光景!鉄道雑誌で、鉄道模型で、何度も見たことのある光景。しかし、現実にその姿を見たとき、ドラマのロケ地を見たような、子供のころに近所の古い工場にそっと忍び寄ったような、なんとも不思議な感じがしました。シリンダから漏れる湯気。ぽたぽたと垂れる水滴。ロッドや動輪に塗られた油。そのメカニカルな硬派な匂い。ボイラを伝って周囲に広がる熱。カメラを構えますが、ファインダーに収まり切れない美しさに嬉しい悩みでした。

立ち上る蒸気。山吹色の運転台の明かり。

立ち上る炎と熱さ。ここから命が吹き込まれているようだった。

すると「どうぞ、運転台にも入ってみてください」という声が!3人ずつ見学ということで、私は親子で来られていた方と一緒に見学しました。熱さと炎の美しさ。なにか畏れ多いような気がして、写真を少し撮ったら外に出ました。私の次のグループの時、急にビーンという音がして発電機が回り始め、ヘッドライトと運転台の照明がつきました。その柔らかな明かりに、古き良きものの暖かさを感じました。

時代の節目を迎え、昭和初期に生まれたC11は何を想う。

見学者たちが見学をしている間、「令和」のヘッドマークを掲示したり他の見学者も飽きないようなニクイ演出がされていました。人の輪をはずれても、庫内のどこにいても自由。ゆっくりとC11と時を過ごすことができました。

静かに佇む蒸気機関車と同じ空間で過ごす。至福の時。

約2時間の見学。あっという間でした。もう大満足でした。機関車の美しさとたくましさもさることながら、職員の方のもてなしと親切さを実感した素晴らしい企画でした。「今後もいろいろ考えていますので」という職員の方の最後の言葉がありましたが、また参加してみたい、と思いました。ぜひ、次回も楽しい企画を待っています。

 

《スポンサードリンク》

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。