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日本の鉄道博物館訪問シリーズ 第7回  長浜鉄道スクエア〈17/38TFU03〉

長浜鉄道スクエアは、滋賀県長浜市の旧長浜駅舎(第1回鉄道記念物)に隣接して2000年に長浜鉄道文化館が開館し、さらに2003年には隣接して北陸線電化記念館が開館し、この3施設を総称して「長浜鉄道スクエア」と命名されました。現在の長浜駅からは歩いて3分の位置にあります。知る人ぞ知る、的な鉄道博物館ですが、そこには「日本ではここだけ」の要素があちこちにありました。(2019年7月訪問、写真はすべて筆者撮影)

長浜鉄道スクエアの中心的な存在の旧長浜駅舎は、1882年完成のイギリス人技師・ホルサムが設計した洋風2階建ての建物で、日本で現存する最古の駅舎建築です。ここはかつて北陸線の始発駅として建設されました。日本の鉄道の歴史は、1872年の新橋~横浜間の開通から始まりますが、時の政府は東京と京都を結ぶルートと、日本海と太平洋を結ぶことが当時の至上課題でした。その一番重要な地点に長浜が位置していました。1882年、長浜~敦賀間の鉄道(柳ヶ瀬トンネル部分を除く)が開通します。京都から長浜までのルートは京都寄りの大津から長浜までは琵琶湖を走る鉄道連絡船として航行がはじまりました。この船は官営(国営)ではなく、民間の連絡船を就航させて、鉄道ができるまでの代用にしたのです。1882年5月、民間の太湖汽船会社は鉄道連絡船の運航をはじめました。1883年9月に就航した2隻の蒸気船、第一・第二太湖丸は、湖をゆく船としては日本最初の鉄船でした。
この船は約500トン、350人乗りで、14 ノット(時速26km)で快走しました。14 ノットというスピードは当時としては大変な高速船でした。長浜駅舎のすぐ横に設けられた桟橋から発着し、長浜~大津間をおよそ3時間半で結び、旅客と貨物の運送にあたりました。1889年7月に長浜~大津間が鉄道で結ばれると、鉄道連絡船は廃止されました。わずか7年あまりでしたが、これが日本で初めての鉄道連絡船でした。関門海峡よりも、津軽海峡よりもはるか前に、ここ長浜が大きな鉄道の要所であったことがわかります。

さて、敷地内を入るとすぐ、旧北陸本線のトンネルに掲げられていた扁額(石額)や旧長浜駅29号分岐器ポイント部などの明治の鉄道遺産も展示しています。扁額を揮毫した人も錚々たる面々です。伊藤博文、黒田清隆などの元勲達です。この路線にかける意気込みがわかります。
おしゃれな洋館風の駅舎は、鹿鳴館調の石灰コンクリート造りです。壁の厚さはなんと50cmもあるそうです。四隅の角には花崗岩の切石を積み、窓枠と出入口は装飾として赤レンガを使っています。駅長室や待合室などもそのまま保存されています。一等・二等と三等の待合室やかつての駅長室など、内部も状態よく残されています。
日本でも珍しい陸蒸気、鹿鳴館並みのおしゃれな洋風建築、高速船。明治初期の長浜は、先端の設備を取りそろえて、活気を呈していたと思います。

改札口を抜けて回廊をとおり、「北陸線電化記念館」と名付けられた機関庫風の建物へ。中にはED701号機とD51793号機が保存されています。
かつての北陸本線の米原~福井間は、急坂やトンネルが多く、蒸気機関車の煙に悩まされ、スピードも遅く、輸送力も低い状態でした。そこで長いトンネルを掘り、電化・複線化して輸送力の増強を目指したのです。まず1957年に田村~敦賀間が複線化、交流で電化されました。さらに1962年には当時は日本最長だった北陸トンネルが開通して、福井まで電化されました。この2両の機関車はそんな時期に活躍した機関車です。

D51 793

製造は1942年、配置は1948年 大垣、1957年 木曽福島、1968年 糸魚川。1969年にこの機関車の外観上の特徴である左側のデフの三角切り込みが行われています。ナンバープレートとロッドは緑色。そして1970年6月25日 金沢で廃車。廃車後は当初、長浜城公園内に保存されていましたが、1995年に移転、旧長浜駅にて屋外保存されていました。北陸線記念館設置に伴い室内へ移動、2003年7月13日より公開開始されたそうです。キャブ内の部品もそろい、(ただ緑色がきついものもありますが)状態は良好です。

ED70 1

日本で唯一保存されている交流専用の電気機関車です。1957年、三菱重工三原工場で製造。同年、敦賀第二機関区に配置され1972年に廃車となりました。その後は敦賀機関区で保存されていましたが、2003年に北陸線電化記念館に移転してきました。量産機とはいえ、試作的な要素も強かったこの電気機関車。活躍した期間も短いようでした。

機関車の近くに、「展望デッキ」と書いてある階段があったので、上ってみました。すると線路を望むデッキとともに、屋根裏のようなところにも出られて、機関車を屋根上から望めました。梁で見づらいですが、特に交流専用機の屋根上が見られて、興味深いものがありました。

また、長浜鉄道文化館の資料展示室は、9月まで期間限定で天賞堂の鉄道模型の企画展が開かれていました。機関車だけでなく、電車や外国型もズラリ。模型店でも、これだけの規模はないのでは?なおかつ、店員の視線を浴びることもないので、ゆっくり見られました。さらに中二階にはレイアウトがあり、HOゲージの113系電車と、C56が12系を牽引する「SLびわこ号」をイメージした列車が、ボタン一つで周回していました。レイアウトもなかなか良くできていて、楽しめました。また、館内の天井はヨーロッパのターミナル駅を模し、木造のアーチ作りとなっており、くつろげる空間でした。

【講評】たった2両の機関車の保存展示ですし、あまり期待していませんでしたが、知れば知るほど面白いという記念館でした。訪れたのは平日の午後でしたが、他に見学者はおらず、さらにゆっくりと見ることができました。広さもほどよく、見学する順路も無理がなく、ふらりと訪れても発見があると思います。時間があれば、スクエア向かい側にある慶雲館(明治天皇も訪れた迎賓館)、少し足を延ばして長浜城址など、歴史的な見どころも多い場所です。

【勝手に採点】  ※ 満点は☆が5つ
行きやすさ                 ☆☆☆
車両の見やすさ               ☆☆☆
保存状態                  ☆☆☆☆
貴重な車両の多さ              ☆☆☆☆
鉄道知らない人でも楽しめる度        ☆☆☆☆
また行ってみたい度             ☆☆☆☆

【開館時間】

開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
入館料:大人300円、小・中学生150円
休館日:12月29日~1月3日
アクセス:JR長浜駅西口より徒歩約3分
※企画展「天賞堂鉄道模型展」を,2019(令和元)年9月30日(月)までの間,開催しています.

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