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【警察小説名作選】「マルティン・ベック警視」シリーズ 〈4169JKI00〉

【警察小説名作選】の初回として、マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールーの「マルティン・ベック(Martin Beck)」シリーズのご紹介記事です。

 

私が中学2年生の頃に初めて読んだのが、「マルティン・ベック(Martin Beck)」シリーズの4作目にあたる『笑う警官』でした。次いで『消えた消防車』から『ロゼアンナ』へと遡り、その後はほぼ発行順に読み進めました。

前半の5冊は文庫本で、後半の5冊は単行本を購入しました。また『笑う警官』が MWA(エドガー)賞 最優秀長編賞(1971年)の受賞作品だったことが、この本を手に取るきっかけになったと思います‥‥。

さて、このシリーズはスウェーデンのおしどり作家 マイ・シューヴァルとペール・ヴァールー夫妻の二人によって、1965年の第1作『ロセアンナ』から1975年にペール・ヴァールーの死により最終作品となった『テロリスト』まで、ほぼ年1作のペースで合計10冊の長編作品が刊行されました。

因みにこのシリーズは、各巻其々の事件を解決に導くミステリ小説であると共に各作品に対応した10年間(1965年~1975年)のスウェーデン社会の変遷を描いた大河小説でもあり、例えば物語の途中、スウェーデンにおける国家警察の統合問題なども盛り込まれていて、マルティン・ベック(ストックホルム警視庁殺人課主任警視)の所属する警察組織の変遷もきっちりと描かれています。

即ち、10年間にわたるスウェーデンの社会とストックホルムの街の移り変わりゆく様相を捉えた社会派小説でもあるのです。そして主人公のベックとその同僚刑事たちもやがて各々歳をとり、出世をしたり、あるいは転勤し、そしてある者は命を落とすのです。

その為、『ロセアンナ』から順に読むことを極力おススメします。シリーズ全体で大きな一つの物語となっていることから、刊行順に読むことを前提に書かれていると作者もインタビューで答えています。ここでは理由は明かしませんが、くれぐれも『警官殺し』からは先に読まないように‥‥。

ミステリ小説としては、捜査の網を絞り込んでいく中で刑事たちが順次得る犯人の手がかりや、徐々に明らかとなる謎・犯罪の実態などが整然と組み込まれた緻密なプロット構成が大きな特徴です。

また、その堅実な捜査方法や日々の警察活動などを丹念に描くところはリアルな警察小説としても一級品で、個人的な問題を抱えつつも常に実直で沈着冷静なベックの行動を中心に、彼の同僚・部下たちの捜査活動や日々の生活などを淡々と積み重ねて描いていく手法が、作者のその客観的で簡潔な文体と相俟って、半世紀を経ても充分に記憶に残る、味わい深い作品となりました。

【作品リスト】

1. ロゼアンナ(Roseanna )

2. 煙に消えた男(Mannen som gick upp i rök )/蒸発した男

3. バルコニーの男(Mannen på balkongen )

4. 笑う警官(Den skrattande polisen )

5. 消えた消防車(Brandbilen som försvann )

6. サボイ・ホテルの殺人(Polis, polis, potatismos! )

7. 唾棄すべき男(Den vedervärdige mannen från Säffle )

8. 密室(Det slutna rummet )

9. 警官殺し(Polismördaren )

10. テロリスト(Terroristerna )

以上

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