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ちょっとだけ鉄道夜話 大阪で黒いマンモスを見た!〈17/38TFU03〉

「黒いマンモスが籠の中で展示されている!」という噂を聞いて、筆者は大阪に向かいました。場所は、新大阪駅から地下鉄に乗換え、阪急電車で2駅ほどいった淡路駅から徒歩圏内の大阪府大阪市東淀川区にある東淡路南公園。淡路駅を降り、商店街のアーケードを抜け、高架工事の立派な橋脚を横目に住宅街に入ると、道に向かってものものしい「籠」が見えてきました。ついに到着です。

その籠の中にいたのは、黒い車体に黄色のライン、国鉄史上最大級の電気機関車でその巨体から「マンモス」という愛称で親しまれたEH10型電気機関車でした。

これがマンモスの正体です

EH10型機関車は、1954年に登場した直流電気機関車です。
総勢64両が製作され、東海道本線・山陽本線の貨物列車牽引用に使用されました。登場の経緯は、東海道本線の難所である、大垣~関ケ原間での連続する勾配区間を強い牽引力をもって超えられるようにするためでした。そのため、先行して活躍していた貨物機関車EF15形とほぼ同性能の主電動機を8個(EF15は6個)使用しました。つまり、8動軸式大型機関車となったのです。(EHのHは、動輪の数の8個、アルファベットの8番めのH)

そのため姿も奇異なものとなりました。二つの車体をつなげた姿になったのです。車体間は永久連結器で結合され、金属製の特殊な貫通幌と高圧引き通し線が渡されています。

連結面には小窓がついています

全長がこれまでの機関車以上に長くなったことから、従来の貨物用電気機関車にあった前頭部のデッキは廃されて、非貫通構造となりました。車体デザインは、民間工業デザイナーが手がけました。国鉄車両としては画期的な出来事でした。(だからなんとなくイメージが、他の国鉄車両と違うのですね)

顔つきはのっぺりした印象です

前面の形態は角張っていますが、窓部分が凹んでおり中央で二分割されています。2枚窓は同じ時代の80系電車、また前面窓部を凹ませる手法は72系電車と似ています。
車体塗装は「熊ん蜂」ともあだ名された、黒色に黄色の細帯入れたもので、他の機関車には見られません。これは、従来の電気機関車における茶色塗装に比べて、より力強い印象を与える意図があったようです。また、前面下部にスカートを装着しているのもこの機関車からでした。

電車のような台車といえ、やはり大きいです

台車は電車のような鋳鋼製2軸ボギー台車です。足回りも電気機関車らしくない感じです。
また、在来型の大型電気機関車では曲線のスムーズな通過のために先輪が必須とされていましたが、ボギー台車であるEH10形は先輪をはいていません。
何から何まで、画期的な機関車でした。

昭和49年に新幹線の車窓からとった写真がありました(筆者撮影)

EH10は、1981年4月1日の宇野発吹田操車場行きを最後に、運用を終了し、1982年までに全車両が廃車されました。
保存されたのは、日本でもこの1両(2両で1両?)のみです。保存会の手で大切にされており、車内の公開をされることもあるそうです。次回はその機会に訪ねてみたいと思います。

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