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「インフルエンサー/influencer」と「インフルエンザ/influenza」〈JKI24〉

少しばかりお年を召した知人のNさんから、「インフルエンサー/influencer」とは何ぞや?と問われました。まさか病気の「インフルエンザ/influenza」とは関係ないよね、と(笑)。

さて、コロナ感染症に悩まされている昨今、皆さんはこの新型コロナ・ウイルスとインフルエンザ・ウイルスとの違いについては、散々、テレビなどで解説されていますから、病気のインフルエンザに関しての知識はある程度、有していることと思いますが、いま一つの言葉である「インフルエンサー/influencer」とは、どの様な意味の言葉であるかをご存知ですか?

この言葉は、世間一般に与える影響力が非常に大きい人物のことを指すものなのですが、2000年代半ば頃からネット社会において数千人から数万人の読者(フォロワー)を持つカリスマ・ブロガーと呼ばれる人々が出現します。

そして彼らは従来の有名人やタレントといった知名度の高い者とは異なり、旧来のマスコミ等での活動・実績を経ずにSNSなどの普及と相俟ってネット社会を介して様々なジャンルにおいて世の中に影響力を及ぼすことになっていきます。更に2010年代になると、インフルエンサーの代表として多くのYouTuberが活躍する様になり、その影響力は国際的にも絶大なものとなりました。

しかし実はこの「インフルエンサー/influencer」と「インフルエンザ/influenza」は互いに無関係ではなく、英語で influencer は「影響者」を意味しており、感染症のinfluenzaもイアタリア語の「流行/影響」が由来で、語源を遡ると同じ意味に行きつくのです。

病気の「インフルエンザ/influenza」は、最初は16世紀のイタリアで名付けられましたが、当時の占星術師らは天体の運行や寒気などの影響によってこの疫病が発生すると考え、この病名を「影響」を意味するイタリア語のinfluenzaと名付けたのです。この語が18世紀に英国を経て世界的に広まり使用されるようになります。

我国では、古くは平安時代に近畿地方でこの病気らしき疫病が流行したとの記録が残っており、江戸時代には数度にわたり全国的に流行します。「お七かぜ」や「谷風」、「琉球風」、そして「お駒風」等の名称で呼ばれました。また古くから「風邪」と称されるように、悪い風が吹いて人々を病気にするという認識があったのはイタリアの場合と似ていますね。

幕末になる頃には、influenzaの名称が蘭学医により持ち込まれ、1835年に伊東玄朴は『医療正始』の中の翻訳で「印弗魯英撒」との当て字を使用していますが、後には「流行性感冒(流感)」と訳されました‥。

こうして即ち、Nさんの発言は偶然にしては出来過ぎで、その実態はまさに正鵠を射ていたのでした!

〈終〉

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