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海外雑誌の魅力 -1- 『Esquire』 ~生活と新しいレジャーの芸術~ 〈130JKI07〉

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「Esquire(エスクァイア)」は1933年の創刊以来、米国を代表する総合雑誌(General Interest)であることに間違いないが、元々のその方向性は「男性(服飾)誌」であった。

更に意外なことに、1940年代のエスクァイアは「プレイボーイ」や「ペントハウス」といったガーリー・マガシンの大先輩でもあったのである。

 

「Esquire(エスクァイア)」は、1933年に大恐慌下の米国シカゴで創刊された男性誌の草分け的存在で、創刊編集長はアーノルド・ギングリッチ、発行人はデビッド・A・スマート、W・H・ワイントローフである。創刊部数10万部、値段は当時としては破格の50セントという高額で、創刊1年は季刊、2年後からは月刊となり、3年後には発行部数は55万部となった。

そもそも発行人のデビッド・スマートは、「ジェントルマンズ・クォータリー(現在のGQ)」や「クラブ・キャンパス」などの男性向けファッション誌を発行していて、「Esquire(エスクァイア)」の編集長となったギングリッチもそれらのファッション誌でコピーライターをしていたという。そしてメンズ・ストアで販売できる雑誌を新たに創刊しようという彼らの試みが、「Esquire(エスクァイア)」して結実したそうである。しかし、ギングリッチに「エスクァイア 男性季刊誌」と名付けられたこの雑誌は、メンズ・ストアではなく、ニューススタンドで売られることになり、米国を代表する総合雑誌・文芸誌への道を歩むことになる。

当初の執筆者にはアーネスト・ヘミングウェイダシェル・ハメットジョン・ドス・パソスダグラス・フェアバンクスF・スコット・フィッツジェラルドなどが名を連ねており、当時の米国文学の代表的な作家が揃っていたことで注目を集めた。

ヘミングウェイは、厚遇な条件(他の作家の倍の原稿料)で創刊以来3年にわたり紀行文的なコラムを掲載していたが、やがて『キリマンジャロの雪』という短編小説を「Esquire(エスクァイア)」に載せた。

第二次世界大戦が始まると、「Esquire(エスクァイア)」も国策を反映して戦地の兵士たちに迎合するかの様に掲載した、A・ヴァルガスの描いた「ヴァーガ・ガール」というイラストの女性ピンナップが大好評を得て男性誌としてのイメージを強くし、次代の「プレイボーイ」などのガーリー・マガシンの先駆者としての役割を果たした・・・。このピンナップは一時期は、「エスクァイア・ガール」という、実写の女優がポーズをとったものに発展した。

しかし、ギングリッチが1952年に編集長として復職した以降は、再び文芸誌路線に戻る。その後は、洗練された高い知性と気品に満ちた誌面創りで常に米国雑誌界をリードし続けた。特に文芸作品への評価は高く、例えばトルーマン・カポーティの『ティファニーで朝食を』が最初に発表されるなど、米国を代表する名作が数多く掲載された。

1976年7月のアーノルド・ギングリッチの死後、経営が悪化し、クレイ・フェルカーのもとに経営権は移る。このフェルカー時代の「ESQUIRE(エスクァイア)」は、隔週刊となり、内容も「お洒落なタウン情報誌」といった趣となり、それ以前とは異なるコンセプトで発行された。このコンセプトは読者には支持されず、77年には再び経営権が移る。新たにオーナーとなったフィリップ・モフィットは、従来の文芸路線に方針を戻して、トルーマン・カポーティやトム・ウルフノーマン・メイラーゲイ・タリーズといった作家の作品が誌面を飾った。

その後は、高い文化性と上質な誌面づくりを維持しながら、「健康」や「ビジネス」に関する話題等も幅広く取り入れて現在に至っている。各種のインタビュー記事や文化批評として評価の高いレビュー記事など、また高品質な紳士用品の紹介やライフ・スタイルの提案などにも、一貫したこだわりが感じられる。紆余曲折を経ながらも、結局のところは洗練された都会の香りが漂う、まさに、アメリカ文化の王道雑誌として長い歴史を紡いできた。

現在は、ハースト・コーポレーションがオーナーであり、世界20か国で発行されている。その内容は重厚な文芸作品よりも最新のライフスタイル関連の情報記事が主体のようである。

 

尚、日本語版は1987年に創刊され、所謂「ライフスタイル・マガジン」のコンセプトを確立した。ファッションやカルチャーなどのコンテンツを幅広く掲載し、22年間にわたり多くの読者の支持を受けたが、残念ながら2009年5月に休刊となっている。

しかし最近では、ハースト・コーポレーションの日本法人であるハースト婦人画報社が発行している男性向けファッション誌『MEN’S CLUB』(誌面及びHPにて)にて、「Esquire(エスクァイア)」の一部コンテンツが紹介されている。

今後の完全復刊を、是非、期待したいところだ。

-終-

 

 

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