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【ザ・ビートルズ(THE BEATLES)】 キャント・バイ・ミー・ラヴ 録音の秘密 〈12JKI00〉

ビートルズ1812qnNDdgdL._AA1500_ビートルズ初期の名曲、『キャント・バイ・ミー・ラヴ(Can’t Buy Me Love)』に関する録音の秘密を解き明かそう!!

具体的には、1. 間奏のギター、2. モノラル版でのハイハット追加、3. ドラマーは誰か:リンゴ以外のドラマーの存在、についての謎を解く・・・。

楽曲について

『キャント・バイ・ミー・ラヴ(Can’t Buy Me Love)』は、1964年3月20日に発表された英国でのビートルズ6枚目のシングルで、予約だけで英国では100万枚、米国でも210万枚という驚異的なセールスを記録した(全英、全米ともに1位)。史上初の予約だけで100万枚以上売れたシングルで、最終的に英国で150万枚以上、米国では300万枚以上が販売されている。当然ながらカヴァー曲も多いヒット曲だ。ポールの歌詞は、「ほんとうに欲しいものはお金じゃ買えない」という内容でビートルズ初のメッセージ・ソングとなった。またジョージが初めて12弦ギターを使用したことでも有名。

1964年1月29日にフランス、パリのパテ・マルコーニ・スタジオにおいて1時間弱で4テイク録音され、アメリカ演奏旅行から帰った2月25日に英国アビー・ロード・スタジオでポールのヴォーカルとジョージのリード・ギターをオーバー・ダビングし、ジョージ・マーティンが翌26日にモノミックスを、6月22日にステレオミックスを完成させた。

 

楽器とメンバーの役割

使用した楽器とメンバーの役割分担は以下の通り。ジョンは、ギブソンのエレアコJ-160Eで歯切れ良いカッティング。ジョージは間奏のギターソロなどではグレッチのPX6122 (COUNTRY GENTLEMAN)を弾き、またリッケンバッカー360/12(12弦エレアコ)をオーバダブで演奏し、ビートルズとして初めて12弦ギターをレコーディングで使用した。イントロやブリッジでの印象的なコードカッティングの音色はこのジョージの12弦の成果だ。ポールは、ソロボーカル(ライブではジョンがユニゾンで歌っている場合が多い)をとり、ベースギターは当時の定番ヘフナー500/1だ。リンゴはいつものラデックのドラムセット。

  4トラックマスターテープの第4テイク (現在EMIに残されているテイク)

 Track1:ジョン(ギター Gi J-160E)、ポール(ベース H 500/1)、1ジョージ(ギター Gr PX6122)、       リンゴ(ドラムス)
 Track2 ポール(ボーカル)
 Track3 ジョージ(ギター Gr PX6122)、ジョージ(ギター Ri 360/12 FG)
 Track4 ポール(ボーカル)、ジョージ(ギター Gr PX6122)、2リンゴ(ドラムス)
 Mono Mix 3ノーマン・スミス(ハイハット)

 

 

間奏のギター の実態

ステレオ版のジョ-ジのギターソロは、トラック3とトラック4に録音されているものがダブルトラックで鳴っているものに加えて、もう一つ、ベージックトラックであるトラック1の録音時のジョージの演奏(※1)も消えずに残っている。本来このギターパートはトラック3か4に録音されたと思われるが、後のオーバーダビングにより消失したようだ。トラック1に残存していることが当然問題だが、パリのスタジオの環境のマズさ(他のマイクに拾われた?)によると考えられている。このため最終的にミックスした版に、この本来不要な「オリジナルギターソロ」(遠くで鳴っているエコーのように聞こえる)までもが残った。しかも、後からアビー・ロードで録ったトラックのギターソロとはフレーズが異なり違和感(モノラル版より1音長い、とか)がある。そこで明確にR側に定位しているトラック3(つまりギターソロが際立つ)とは対照的に、トラック1はセンターC位に寄せられて置かれている。このことで全体音の中に埋没させてごまかそうとした様だ。また、「間奏のリードギターについては第1テイクを採用した」との記載があるライナーノーツが存在するが、第2テイクと第1テイク、再び第2テイクという組み合わせになっているのが正しい。

 

モノラルバージョンでのハイハット追加 の状況    

当初のパリ録音でのテープトラブルで高音域(特にハイハット)の音量が低下。そこで2月25日のボーカルと間奏のリードギターの追加録音の時に同時にドラムも録り直した(※2)が、これも音量不足。ボーカルと同じトラックのため単独での補正が出来なかった。そこでモノラル版へのミックスダウンの作業時にレーコンディング・エンジニアのノーマン・スミスが自らハイハットを叩き(※3)、重ねて割り込ませた。この細工については、ビートル達ちも知らなかった様だ。 (ジェフ・エメリックの証言による)

 

ドラマーは誰か:リンゴ以外のドラマーの存在 の真相

ステレオ版のミックスに関しては3月10日にリンゴ不在(映画撮影)のため、外部のドラマーを雇用し録音したが、理由不明ながらこのステレオミックスは未発表。6月22日に再度、ミックス作業は行われたがハイハットの追加補正などはされていない。ステレオ版は上記の2月25日の不満足なバージョンのままリリースされた模様。つまり、リンゴ以外のドラマーが一旦は録音を行っているが、その音源はビートルズの正式な作品としては世に出ていないことになる。 (マーク・ルイソンの記録による)

 

初期のビートルズはモノラル録音に重きを置き、(販売量が極端に少ないと見込まれた)ステレオ版の仕上がりについてはあまり関心を示していない。これは1960年代前半の音楽業界ではごく当たり前のことであり、ステレオ機器が急速に普及してきた1960年代も後半からの状況とは、ミュージシャンやレコードの録音・製作の現場の考え方も大きく異なっていた。つまりステレオ・バージョンに関しては、録音スタッフの自由裁量での(ややルーズとも思える)作業が散見されるため、結果的に音楽的なクオリティが低いことが多い。このためビートルズの初期の楽曲はモノラル版が優れている、という評価が定着していた時期もあるほどだ。

尚、本稿の記述に関しては、異説もあることをご了解頂きたい。

-終-

 

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